「第31回 関東甲信越身体障害者野球大会」千葉ドリームスターが歩んできた連覇への軌跡
慣れ親しんだマウンドで躍動し、MVPを受賞
決勝戦の先発という大役を任された上原投手は、慣れ親しんだ地元でのマウンドでその実力を発揮した。 「アトムにいた時も一度決勝で投げさせてもらって、2度目の決勝での先発でした。緊張はなく、とにかくワクワクしていました。 同時に相手が準決勝でアトムを相手にサヨナラで勝ち上がってきたチームなので、勢いを抑え込むために先に点を絶対に与えないという想いでマウンドに立ちました。 初回に先制してくれたのもあり、2回以降は常に流れをチームに持ってこれるような投球を心がけました」 ストレートと変化球を駆使し、打たせて取る投球で内野ゴロの山を築く。バックも固い守りでアウトを積み重ね、その言葉通り自身の投球でリズムをつくった。 そして5回もマウンドに立ち、無失点に抑えると大会規定により7−0でコールド勝ち。一人で投げ抜き1安打完封勝利を成し遂げた。 「準決勝でコールド勝ちした勢いそのままに決勝でも先制したことで、とにかく雰囲気は最高潮でした。グラウンドとベンチが一丸になっていたと感じました。 また、守備力が本当に高いので、三振を取るよりも脱力しながらコーナーにどんどんストライクを投げ込むことを意識しました。 打たせて取ることができて、5回を約60球で終えられたのは自信になりました」 上原投手は優勝の原動力となったことが評価され、大会MVPを受賞した。「テーマに掲げていた関東甲信越大会優勝と最優秀選手賞が取れたので感無量です」と語り、立てた目標を全て勝ち獲ってみせた。
日本を代表する遊撃手が攻守で牽引
ここまでチームを引っ張ってきたのは、主将である土屋来夢選手。純一監督を父に持つ来夢選手は、23年に行われた「世界身体障害者野球大会」の日本代表として、世界一に導いたメンバーの一人。 昨季から主将の番号である背番号「10」を身にまとい、就任一年目にして関東甲信越大会優勝に輝いた。 連覇に向けて言葉そしてプレーで牽引してきた来夢選手は、今季のチームを「以前よりも組織的な野球ができるチームになってきた」と手応えを感じていた。 大会2試合とも「3番・遊撃」と攻守の要を担った来夢選手は、決勝の初回に大仕事をやってのける。走者1人を置いて迎えた第一打席、6球目を振り抜くと打球は伸びてスタンドへ。 審判団による協議の末、一度フェンスに当たったとし三塁打になったものの、先制打となり勢いづけた。これまでの広角に打ち分ける打撃に加え、パワーも付いたことを証明した。 「綺麗に捉えられたので手応えはあった。外野の頭は越えると思いましたが、まさかスタンドの近くまで飛んで行くとは自分自身で驚きました。 怪我をする前を含めても野球人生で一番の飛距離でした。普通ならドライブしたりスライスしたりするような打球が直線的に飛んで行ったのは何年も取り組んでいる練習の成果だと思います」 そして優勝の瞬間を上原投手同様にグラウンドで迎えた来夢選手は、昨年とは違う心境を明かしてくれた。 「安堵の気持ちでしたし、素直に『やったー!』と思えました。 チームの雰囲気が本当に良かったです。何より2試合とも完封勝ちで終えられたのはチームの武器である守備力が発揮されたのが要因です。 連覇を果たしたことで実力を示せたと感じましたし、何よりドリームスターのメンバーで野球をする楽しさを改めて実感できました」