《あちこちに痕跡が》渥美半島の“地の果て”まで…87年前に“完成間近”で消えた幻の路線「渥美線未成区間」の跡をたどる
〈東海道新幹線「のぞみ」の“ナゾの通過駅”「豊橋」には何がある?〉 から続く 愛知県は、カニさんをひっくり返したような形をしている。もう少し具体的にいえば、南側の海に向かってカニのハサミのように、2つの半島が突き出しているのだ。西が知多半島、東が渥美半島である。 【写真で見る】神社脇の小径を抜けて、用水路の先には…87年前に“完成間近”で消えた幻の路線「渥美線未成区間」の痕跡をたどる そして今回は、渥美半島に行こうと思う。何しろ 渥美半島の玄関口・豊橋までやってきた のだから、少し足を伸ばして渥美半島へ。ちょうど按配のいいことに、豊橋鉄道渥美線というローカル私鉄が走っている。さっそく、この小さな電車に乗って、渥美半島の旅に出かけよう……。
電車に揺られて終着駅へ
豊橋鉄道の電車は、新豊橋駅を出発してしばらく市街地の中を走ってゆく。愛知大学前駅などがあるから、このあたりは学生の利用も多いのだろう。ターミナル・豊橋までほんの10分程度なのだから、線路沿いには大学以外にも住宅地が広がっている。 それでも少しずつ車窓はのどかさを増してゆく。 渥美半島は、全国屈指の農業地帯だ。特に電照菊をはじめとする花卉の生産、またキャベツやらブロッコリーといった野菜類もよく作られている。沖合に黒潮が流れ、温暖な天候に恵まれて……というヤツだとか。訪れたのは凍えるような冬の日。けれど、渥美半島に行けば少しは春を感じられるのだろうか。 そんな期待をほんのりと胸に抱きながら、電車に揺られること30分とちょっと。終点の三河田原駅に着いた。渥美半島の大部分を占める、田原市の玄関口である。 だが、あれ、おかしいぞ。寒いじゃないか……というのはさておいて、地図を見ると渥美半島のまだ半分までしか来ていない。むしろこれから先が本番なのに……というところで線路が途切れているのだ。さてはて、どうしたものか。 実は、かつてはここから先にも線路が延びていた。すっかり市街地になっていて、駅前の道路がそれの跡なのだろうと推察するしかないが、三河田原駅から黒川原駅まで2.8kmは、線路が続いていたのだ。