カルデアのお母さん、本当に母になる
※男性妊娠ネタです!苦手な方はブラウザバックお願い致します。
クーフーリンって半神半人なんだから、普通の人間だったサーヴァントとはちがってもしかしたら人を妊娠させられる力あるんじゃないのか?
よしそれならエミヤとおめでたになってもらおう。
そんな軽薄な考えから生まれた物語です。
今回は導入部分だけですので兄貴はまったくもって出てきません。次から出てくると思います。
軽い気持ちでFGOをプレイしていたら驚くほどハマり、ZEROとUBWも見てしまいました。7月半ばからの新参者ですので間違いは多いかと思いますが温かい目で見ていただければ幸いです。
あとエミヤはうちに来てません…いつくるんだろう…。
徐々に兄貴達が強くなりつつエミヤが来るのを待ってます
最近ランサーのサーヴァントばっかり出るのはZEROとかみた影響でしょうか
女子に人気91位ありがとうございます!
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カルデアという機関に召喚されて、アーチャー、エミヤは立派なみんなのおかあさ…否、カルデア食堂の番人として腹を空かせたサーヴァントやカルデアのスタッフ、マスターの為に美味しい料理をほぼ毎日振舞っている。
生前よりも熟練されたその腕前はどんな英霊でもがっちり胃袋を掴ませた。元来よお人好しの性格もあってか、色んな人や英霊の世話を焼きーそのエピソードは省略しようー幼い精神年齢の英霊たちにおやつを振舞っていたりしたため、ジャック・ザ・リッパーなどからは「ママ」と呼ばれるようになっていた。
ちなみに、彼の恋人ことランサー、クー・フーリンは「こいつ、人妻だから取るなよ」とみんなの前で宣言したことでエミヤに半殺しにされたのは新しい記憶だ。
今までの聖杯戦争とは違う理想に近い目的のために現界した今、こうして敵対するしかほか無かった英霊たちが味方になって共闘し、暖をとって食事ができ、比較的平和に過ごせることはなによりエミヤの心を穏やかにさせた。
今日もゆるゆるな未熟マスターと共にさして変わらない1日が始まるーーー筈だった。
(物凄くダルい…)
起きてからずっと吐き気がする。召喚されてから、自分自身の体調面はしっかり管理していたつもりだ。が、今回は今迄にないほどの気持ち悪さがエミヤを襲う。吐き気と怠さを訴える身体にムチを打って身体をふらつかせながらも食堂に向かう。今日の朝食は自分が作る番なのだ。おちおち休んでもいられない。
しかし、いつもであれば食欲をそそるはずの匂いはエミヤの吐き気を更に悪化させ、挙句の果てにその場で吐いてしまった。幸い咄嗟に口を抑えて床にしゃがんだので料理に被害は及んでいない。吐瀉物を処理しようとするもその吐瀉物をみてまた嗚咽をもらす悪循環。朝食の様子を見に来たブーディカがエミヤを見て慌てて駆け寄る。
「ちょ、ちょっとエミヤ大丈夫かい!?顔真っ青だよ!」
「…ーー」
「ああ、あたしがやっとくからエミヤは口すすいでおいで。匂いが充満したキッチンにいたらまた気持ち悪くなるからそのまま休んで」
「……す、……すま」
「いいって!ほら!喋ったらまた吐いちゃうよ!」
自分の吐瀉物を処理するのでも気持ちいいものではないのにあまつさえ女性であるブーディカに自分のを処理させるとは情けない。
彼女は人のいい顔で外まで送ってくれた。今度何かお礼をしなくては。そう回らない頭でぼやっと考えつつトイレで押し寄せたものを吐き出し、水場で口をすすげば少しだけ気分が良くなった気がする。だが、まだ気持ち悪さが抜けた訳では無い。少し回復した体力でマスターの部屋へ向かう。今日は種火狩りに行く日だったがこの体調じゃ行けそうにない。
ドアを控えめにノックすると中からはーいと間延びした声が聞こえた。
「すまないマスター、失礼する」
「おはようエミヤ。どうしたの…って凄い顔色悪いけど大丈夫!?」
「その事なんだが、今日は種火狩りにいけそうになくてだな…」
「全然!まずは体調第一だよ!休んでエミヤ!じゃないと俺がランサー兄貴に怒られるから」
「む、何故そこでランサーが…。まあいい、お言葉に甘えて休ませて頂く」
「あと、ドクターの所に行っておきなよ。俺じゃサーヴァントが体調崩した時の対処法とか全然わかんないし」
「そうだな、ではマスター」
「うんお大事にね」
マスターの部屋を退出しほっと一息つく。マスターと話す手前いかにも吐きそうですという顔は出来ない。体調の悪さから出てしまう顔色は致し方がないが。
一度自室にと戻ろうかと考えたが、ここからだとドクターロマンの部屋と化している医務室の方が断然近い。無理をするとそれこそ何て言われるか分からないのでゆっくり歩みを進めながらドクターがいる医務室へと向かった。
ウィーンと無機質な音を立てて扉が開くとなにやらごそごそしているロマニアーキマンの姿があった。
「ドクターロマニ」
「う、うわぁぁ!!!なにも!!!なにも食べてないよ僕は!…てあれエミヤくん?珍しいね」
「…なにをこそこそ隠して食べていたかは今度聞こう」
ロマニがダ・ヴィンチちゃんにだまって甘いお菓子を自室に持ち込んでは一人でこっそり食べていることはマスターやダ・ヴィンチちゃんからしっかり聞いている。現在最高責任者として寝る間も惜しんで激務をこなしているためエミヤも目を瞑って何も問いただしていない。先ほどの言葉も実際に聞くつもりなど毛頭ない。
「あとが怖いぞう…。で、めちゃめちゃ具合悪そうだけどお酒飲みすぎたりした?」
「いや一滴も飲んではいない。だが今朝からずっと吐き気を催しててな。私の身体に何か異常があるのだろうかと」
「風邪ひいたとか…?サーヴァントが風邪をひくなんて聞いたことないけど。魔力は?擦り切れてたりはしない?」
「いや、十分に魔力は供給されている。…だからこそこの吐き気の正体が分からない」
そう、大抵の事であれば怪我であっても魔力供給さえすれば万全な状態に戻る。ヒトと同じ形を持っていても根本が違うため風邪など病気にかかることは無いのだ。エミヤ自身も体調を崩すことは今迄無かった。
加えてエミヤはサーヴァントの中でもお酒が弱い。過去に色んな英霊に酒を勧められ断れずに飲んでいたら気づけば記憶が飛んでしまうほどべろべろに酔っ払ったことがある。それからというものの自分はもっぱらお酌したりつまみを作ることに勤しんでいる。
ロマニもパッとした原因が思いつかず、んーと顎に手を当て考える。
「とりあえず、君の身体を解析した方が早そうだ」
そう言われ、エミヤは指示されたベッドに横たわる。別段人間のようにCTを撮るという訳ではなく、辛そうだからという理由である。
エミヤだけではなく全サーヴァントとカルデア職員、マスターの藤丸立香の状態がモニターで分かるようになっている。レイシフトの際に状態異常起こした場合即座に観測、対応するためだ。
ピッピとモニターを操作する音が二人しかいない静かな医務室に響く。横になった事で緊張していた身体が解れ、吐き気によって体力を削られたエミヤは急に眠気に襲われる。医務室の独特のにおいがエミヤの鼻腔を刺激する。まるで自分の学生時代に同じような状況で横たわった事があるような…。断片的な記憶は引っ掛かるだけで思い起こされることはない。ロマニの結果を聞くまで休んでいようと本格的に寝ようとした途端、「えええええ、エミヤくん!!!!」と大声で呼ばれた。
「あ、ごめん。眠ろうとしてたのに」
「大丈夫だ。それで結果は出たのか?」
「えっ?あ、うん。出たんだ、出たんだけど…」
しどろもどろになりながらなにやら言いにくそうな雰囲気だ。エミヤは怪訝な顔をしてロマニを見る。ロマニはその表情を見て、真面目な顔を取り繕った。
「エミヤくん、聞いても驚かないでね」
「私はそんなに酷いのか…」
ロマニの真剣な表情を見て、大きくため息をつく。サーヴァントとはいえ、自分は英霊ではない。造りもかつて活躍した有名な英霊たちとは根本的な物が違うはずだ。不調が起きてもおかしくはないし、それなりの予想はしていた。言われたところで、とうとう来てしまったか位にしか思わない。ロマニがそんなエミヤの心理を表情で感じ取ったのか全力で首を横に振る。自分の考えは的が外れたらしい。ではこの体調の悪さはなんなんだ。
「あ、いや、君が思っているような悲しい話ではないんだ。むしろ…その、なんというかおめでたというか…」
ますますこの男の言いたいことが分からない。最終的にもにょもにょと口籠もってしまったので正確には聞き取ることが出来なかったが「おめでた」というワードが出ていたのは気のせいだろうか。まだ口をモゴモゴしているロマニにもったいぶらないで早く結果を伝えて欲しいと促す。
「ごめん。僕も正直10年間カルデアに勤めて初めてのことだから戸惑ってるんだ。君の身体を調べたところ、体内に君だけではないもう一つの生体反応があった」
「私はなにか変なものを食べてしまったのか…?」
カルデアの料理番であるエミヤは色んなサーヴァントたちがレイシフト先から持ってきた物を調理して味見をしたりする。その中で生きたまま体内に住み着いてしまったのだろうか。もしその生命が自分の魔力を吸うものであれば対魔力の低い自分はすぐに空っぽになってしまうだろう。
そうであれば、普通に危ないと思うのだが。
「いやそれは無い。単刀直入に言うとねエミヤくん。君、
ー妊娠、してるんだよ」
「ーーーは?」
我ながら気の抜けた返事だったとエミヤは思う。曰く体内に男性ならあるはずが無い子宮が作られており、そこに生命反応があるのだと言う。サーヴァントが子を宿すなんてことは聞いたこともなく、観測史上初めてのことらしい。いや普通そうだろう。生きている人間ではないのだ。自分たちは元々過去に存在していた者なのだから。混乱しながらも大発見に立ち会えた嬉しさが抑えきれないと目の前のゆるふわ男は興奮しながら語った。
もう聞いてられないと顔を片手で隠すと、ロマニは我に返り顔を引き締め、一大事には変わりは無いからマスターに伝えてくるとそそくさと医務室を後にした。医務室と廊下を跨ぐその足取りは楽しそうで取り繕うのが下手くそな男だとエミヤは思った。
そのままいるようにと言われたので、先ほど寝ていたベットに座り頭をうなだれて誰もいない医務室で大きなため息をつく。
「なんでさ…」
昔の口癖が出てしまっていることに気づかないくらい頭は回っていなかった。何故自分がこんなことに。昔からエミヤを苦しめる幸運Eを恨めばいいのか、はたまた前例にないサーヴァントが子を宿すーしかも自分は男性だーのを喜べばいいのか分からない状況にエミヤは本日三度目となるため息を精一杯吐いた。いつの間にか忘れていた嘔吐感が迫ってくるのを押し殺すように。
拝啓 、カルデアのお母さん担当は本当にお母さんになりました。