エミヤがカルデアにやって来たのは三つ目の特異点を終えた後だった
カルデア内部は落ち着きを取り戻し、サーヴァントも増えてきた頃である
「サーヴァント、アーチャー。召還に応じ参上した」
3つの筋が現れサーヴァントの確証に胸が沸き立つと、赤い外装を翻したアーチャーが現れた
それはマスターである立香が待ちわびた姿だった
「エミヤさん?兄貴はその人に一番来てほしいの?」
「一番ってのは何かちげーが、そいつは腕もたつし何より飯が上手ぇ。まぁその分偏屈な頑固者で誰よりもお人好しなくせに小言が多いオカン体質だけどな」
「オカン体質って、、、そっかぁでも兄貴のお墨付きの腕があって優しくて料理上手で、ブーティカさんみたいな男性なのかな」
「あー、確かに胸はでけぇな」
「ちょ、兄貴!エミヤさんって男性何だよね?!そしてブーティカさんを変な目で見るなー!」
「ははは、まぁこればっかりは男の性さね、勘弁してくれや」
エミヤの話を聞いてから、弓の種火が切れないよう、いつでもエミヤを迎えられるように準備万端整えていたところにとうとうやって来た赤い弓兵、エミヤ
その瞬間マスターである立香はエミヤに飛び付いてた
「貴方ねエミヤって!兄貴から話は聞いていずっと待ってたの!」
突然飛び付いてきた年端もいかぬ少女に驚きながらも、エミヤは少女を見下ろし、何時もの問いを尋ねた
「君が私のマスターかね?」
「えぇ!まだまだ頼りないけどそうなるわ。今回の召還は特殊みたいで、もう何人ものサーヴァントが召還に答えてくれているの」
「何人もだと?」
「おうよ、俺とかセイバーもいるぜ」
召還室の騒がしさに気付いた兄貴こと、槍ニキ、そしてセイバーことアルトリアが現れるとエミヤの瞳が驚きに見開かれた
「何てことだ、、、記憶も引き継がれている召還自体初めてだというのに、、、そうか、今回は私は掃除屋としてでなく、この手で世界を救う為に力を使えるのか」
「はい、ここでは貴方の力が必要です」
生前から夢見た"正義の味方"
未熟者の憧れと捨てていたが、心に刻まれたモノは何度心が空になろうとあり続けたものであった
そしてエミヤの召還が成され、着実に再臨も成されレベルが上がり戦闘にも駆り出されるようになったある日の事であった
「エミヤ!」
「怪我は無いかね?マスター」
「私は大丈夫!でもエミヤがっ」
「何、大したこと無い。それより引き続き指示を」
エネミーとの戦いでマスターを庇い腕に傷ができたエミヤだが、戦闘を無事に終えると何事もなくカルデアへと帰還した
「ママ!お帰り」
「只今ジャック、ナーサリー達とおやつ食べたかい?」
「うん」
エミヤの面倒見の良さに子供組サーヴァントがなつき、いつの間にかママと呼ばれるようになっていた
エミヤも初めは改めようとしていたが、今では諦め優しい笑顔を浮かべることも増えていた
「よ、お疲れさん。怪我したんだって?」
「キャスターにランサー。二人揃ってるのも珍しいな。いやなに、一番マスターの近くに私がいて、上手く助けられなかった私の落ち度だ」
「本当にごめんねエミヤ。ドクターのところ行こう」
「そこまでのものではない」
駆け寄ってきたジャックと自然と手を繋ぎ首を振った瞬間だった
「お前!」
「離れろジャック!」
キャスニキとエミヤの声が被さり、手を繋いでいたジャックがエミヤの手により突き飛ばされた
「くっっ!?!!!」
「お、おい、どうしたんだ」
「エネミーの攻撃で魔力が暴走していやがる」
キャスニキの説明の間にもエミヤは自身を抱きしめ荒れ狂う自身の魔力を抑え込もうと丸くなる
その側では駆け寄ろうとするジャックをマスターが抱き止め通信でロマンに助けを求めていた
「キャス、ター、、、結界を、はやっくぅぅ。ぐはぁぁっっ」
キャスターに結界を頼んだ瞬間だった
エミヤの体を突き破り剣が投影された
「エミヤ!」
駆け寄りたいのを我慢し、ジャックを抱き締めながらマスターが声をあげると、騒ぎに気付いた他のサーヴァントも集まりだした
キャスターは素早くルーンでエミヤの周りに結界を張ると近付き
「自力で抑え込めそうか」
「ぐっ、抗、魔力の低さが、かはっ、、仇に、、、なって、いる」
会話の間にも、エミヤの体を貫き意思とは関係なく剣が投影されていく
キャスターの結界のお陰か固有結界や結界外への投影はされていないのが唯一の救いだ
「キャスター!どうしたら!!」
駆けつけたロマンも手出しできず、必死に解決策を考えている時だった
一つの光が現れエミヤに近付くと、結界の中のエミヤに鎖を巻き付けた
「なっ!」
「これはもう使い物にならん。此方で回収する。新たな分霊を置いていくゆえ好きに使え。今度は感情も記憶も消しておいた。使いやすかろう」
「何者だ貴様」
「アラヤ、こやつの飼い主だ」
「アラヤだって?!」
ロマンが、いや、その場にいたもの達が驚きの声をあげる
それを受け流し光が更に強さをますと、鎖がエミヤの心臓部分に突き刺さった
「手間を、掛ける」
「何、自分の持ち物の管理はせねばな。ほれそこのマスター、新たな分霊を置いていくぞ」
いつの間にか何の感情も浮かんでいない、まるで人形のようなもう1人のエミヤが立っていた
「待って!エミヤはエミヤしかいないの!新しいのとかいらない!私達に必要なのはそのエミヤなの!!」
「人の子よ、何を躊躇う。サーヴァントはもとより兵器。使えなくなれば取り替えればいい。あぁ此度の召還では育成しなければ使えぬのであったな。ならば、今のこれと同じ力を使えるようにしよう」
完全にモノ扱いされても何も言わないエミヤに対しても、立花は怒りや悲しみから涙があふれでてきた
「エミヤを道具扱いしないで!エミヤは、兄貴が言ってた通り頑固だし小言言うけど、それがエミヤなの!感情の何が悪いの!?私は兵器なんていらない!仲間が欲しいの!ジャックたちのママで、キッチンで楽しそうに料理して、何だかんだ言いいながらもお願いを聞いてくれる。優しいエミヤが、好きなの!私はマスターとして未熟だから、アラヤとか名乗られても分からない。エミヤの飼い主とか言われても知らない!だって、エミヤはエミヤだもん!あなたが飼い主だと言うなら私はマスターよ!エミヤをモノ扱いするような人に渡せない!!」
威勢よく啖呵を切った立花の頭を槍ニキがポンッと撫でると朱槍を構えた
「よく言ったマスター。確かに俺たちサーヴァントは兵器だ。けどな、感情を持つ権利くらいある。その気色の悪い分霊連れてさっさと消えやがれ!小言充分!それくらい張り合いがねぇと詰まらんからな」
「俺たちのマスターが所望してるのは、感情がある弓兵だ。マスターの希望を叶えるのが俺たちの役目」
「ママを連れていかせない。私のママを返して」
それぞれが武器を構える
アラヤに渡してなるものか
それが全員の一致した意見だった
「アラヤ、エミヤを返して。ドクターとダヴィンチちゃんならエミヤを治せる!換えなんていらない!!」
「マス、ター、、、本当に、君も、頑固だな」
今まで黙っていたエミヤが口を開くと視線が一斉に集まった
「アラヤ、済まないが、どうやら今回のマスターは、壊れた未熟な私でいいようだ。君の顔に泥を塗らないよう最善をつくそう。もう暴走するほど、私の魔力も残っていない。ならばドクターロマンの治療に託して貰えないか」
声に力無くも、瞳に力強い輝きを持って懇願するエミヤの顔を見、周りの武器を構えるサーヴァント、そして人理修復の要である立花をみてからアラヤは溜め息をついた
「ならば思う存分壊れてくるが良い」
そう言い残し、感情のない分霊をつれて去っていった
ドサッ
それからは慌ただしかった
縛られていた鎖が消えキャスターの結界内に落ちた エミヤを槍ニキが抱き上げダヴィンチの工房に運び、魔力暴走の原因を探り治してからは、断るエミヤを説き伏せ、抑え込み、志願した槍ニキの血を飲むことで消えかけた魔力を補給し、暫しの休養を言い渡された
入院中も動こうとするエミヤの見張りに、ジャックを初めとした子供サーヴァントが絵本やおもちゃを持参し、エミヤはベッドの上で子供たちとゆっくりした時間を気付けば取らされていた
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- 銃鬼March 12, 2020