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「下町ボブスレーを通じて、お互いの連携や会話ができる集いを作りたい」 株式会社マテリアル 代表取締役 細貝淳一さん

本記事は2016年に対談したものです。情報はその当時のものですので、ご了承ください。

●人とのご縁で今がある

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enmono(三木) 2016年3月18日、第124回マイクロモノづくりストリーミング本日も始まりました。司会を務めますのは株式会社enmono三木でございます。本日は株式会社マテリアルさんにお邪魔して、社長の細貝さんに色々お話を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

細貝 よろしくお願いします。

enmono まずは創業のあたりのお話を伺ってもよろしいですか?

細貝 創業はもう24年前になるのかな。ずっと材料屋さんで働いてて、「ある時期が来たら暖簾分けして独立させてあげるよ」って話だったんです。いざその時になって名刺を作って社長に挨拶に行ったら、「今まで開拓したお客さんに行くな」って、いきなり言われちゃったんです。

細貝 後継者に息子がいるからやっぱり息子に対して何かを残さなければいけないという社長の親としての思いがあったんだろうな。(お客さんを取っちゃうと)ライバルになっちゃうから、暖簾分けはあんまり良くないなという話になってね。まぁそれでほっぽり出されたというのが独立創業の時の一番最初の暗い話だよ(笑)。

enmono そこからどういう風に新規開拓していったんですか?

細貝 実は会社をやると1年目って実態がないわけですよ。決算書がないから。仕事をしたい相手の会社がウチを調べても「まだ実態がない」と信用してもらえないんです。それだとお客様は取引する気になれない。だから、まずは一所懸命1年の決算を作ろうと、夜バイトして昼間は開店休業。売上を作らなきゃいけないんでアルバイトで得たお金は売上として入れて、なんとか決算を迎えて。

enmono それで1年?

細貝 そう。開店休業だから8時から5時は仕事してるフリはするじゃん。まぁやってるんだよ。営業行ったり色んなことするんだけど売れない。で、夜は6時くらいからのバイトで売上が出て夜中3時くらいまでかな。

enmono どういうバイトをされてたんですか?

細貝 舞台装置の溶接をやらせてもらったの。独立した時は板金屋さんの片隅を借りて。板金屋さんが長船製作所さんっていうところで今も舞台装置やってる会社なんだけど、そこの社長が「手伝えよ、そしたらお金になるから」って言ってくれて支えてくれたの。

enmono すごいいい話ですね。

細貝 それでなんとか1年の決算を迎えて、新しい取引先が増えてきた。(前の会社で)自分で開拓したお客さんのところへ行けないから、色んな別の会社にオファーをかけに行って、そこから売上が立ってきた。ただ仕入れはすごく困った。材料屋さんなのに仕入れさせてくれないのね。信用ないから。お金貸すようなもんだから。

細貝 でもそんな時、今の東証一部の白銅で係長だった方がいて、その人が「おまえには熱意があるから何とか助けてやりたい。悪いんだけど最初は保証金払ってでもウチと付き合えよ」って言ってくれたの。で、50万円払って取引させてくれた。それをずっと続けていくと、白銅というブランドの会社と仕事ができたから仕入れの方も信用がついて、どんどん買えるようになっていった。今その係長さんが白銅の社長をやっている。すごい男なんですよ。いい男だなって。大先輩ですよ。

enmono 人のご縁で徐々に売上が上がってきたと。

細貝 本当に人と人との出会いが自分を成長させてくれていますよね。ありがたい話です。

enmono それで今はこういう……。

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細貝 そうです。後ろにあるのは展示できるようなものだけですけど、社会インフラだとか防衛産業だとか宇宙とかそういったものの部品を作っている会社です。最初はマテリアルっていう名前だから素材メーカーから入ったわけです。土日でもお客さんが困っているところに材料を卸せたらいいなぁみたいな、そういう会社を作りたいなと思ったので。

細貝 その中で付加価値というものを知った。材料は100円で売って、5円とかしか儲からないけど、加工ってすごく魅力的で僕がサラリーマンの時に100円の材料を加工屋さんに納めたわけ。「これいくらで売れるんですか?」って言ったら「10万円で売れるんだ」って言うわけ。100円が10万になるって、ここって付加価値すげーな。技術ってお金になるんだなって思うわけ。それが世の中の発展に繋がったり、色んなことにモノづくりってことで貢献できるから、だったら材料から加工までできる会社を作りたいなと。

細貝 そうするとさ、材料屋さんって材料についてお客様に教えるじゃないですか。「こんな削り方したら歪んじゃうよ」とか「曲がっちゃうよ」とか「精度が出なくなるよ」とかレクチャーするわけです。ということは材料をすごく知っているから加工方法に早く行ける。そんな会社だとプロデュースしながら色んな会社に貢献できていくなと思った。それがマテリアルの原点なんです。

enmono 材料を知っているということも付加価値なんですね。

細貝 と思いますね。色んな材料を扱うし、新製品が出てきた時にはメーカーからレクチャーを受けます。そういった時にはすごく我々は便利なポジションにいると思います。

●製造業としてはめずらしいプロデュース視点

enmono 先程プロデュースという言葉が出ましたけど、今はモノづくりだけではなくて、それ以外のことも様々なプロデュースをされていますよね。

細貝 プロデュースしてんのかわからないけど、とにかく「自分たちの持っているものをどう活かすか」ということではなくて、「人がどういうことを望んでるのか」ということを考えた時に、それを形にして実現できるようになったら、すごく面白いことが起きるんじゃないかなと思って。だから色んなことを起ちあげて、色んなことをマネジメントしています。

enmono そういうところが普通の製造業の方とは発想が違うなと思います。製造業の方は技術者が多くて、モノを作ることにすごいこだわりを持っていて、あまりプロデュースするという発想にならないと思います。

細貝 僕は後発だから、例えばモノづくりのプロフェッショナルの方々ってたくさん歴史を持っているんですよ。そこにたかだか20数年くらいの会社が行って技術だ何だ言ったって、そういう人たちから比べたらもうカスなんですよ。

細貝 そこに追いついてるか追いついてないかということよりも、原点を持った人たちを繋ぎ合わせることの方が、すごく瞬発力があって、色んなものを時間をかけずに作っていけると思うんですよ。

enmono そうですね。

細貝 「俺が俺が」ってやって、全部自分で作って一から技術を取得してなんてことをするよりも、人がやらなかったことをフォローしていきながら、あるものとミックスさせていくという方が早いと思うんですよね。色んな意味で自分たちも技術を高めないといけないから、5軸のマシンだって入れるし、無人化だってやってるんだけど、やっぱり一番は「どう動かしていくか」ということがモノづくりでは大事なんじゃないかな。

enmono ビジネス全体をプロデュースというか設計しているということですか。

細貝 経営が好きなんだと思う。モノづくりっていうのは我々の最強の武器であって、それをどう活かすかっていうのは経営にかかってるし、人材育成もそうだけど社長が人を育てていったっていうのはほとんど昔の世界で、今は経営者って成長するための環境に投資してると思うんですよ。

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細貝 人間って自己啓発しないと成長しようと思わないじゃないですか。だからなんかワクワク感のある会社づくりをして、例えば「機械こんなの欲しいなぁ」って言われても「高いから買えないよ」って言うんじゃなくて、「今は買えないけど、再来年くらいまでには何とかしよう。そのためにはこうしようよ」って説明している時に、「あ、これって経営なんだな」って気づいたことがあってですね。だから、そういうのを徹底した自分の立場を持っていた方がいいんじゃないかなと。

細貝 社員はみんな優秀なんですよ。自分で国家資格を取ったりだとか。ウチもオペレーターが今11人いるんだけど、30代から20代かな。9人が国家資格1級を持っているんで、そういった意味では彼らの自己啓発を誘発する投資をしていったり、接したりっていうことをするのが僕の一番の役割なんじゃないかなと思っています。

enmono その辺の感覚っていうのは、どの辺で身につけていかれたんですか? やりながらですか?

細貝 調子よく「昔からこんなこと考えてたんです」とは言えないね(笑)。段々と変化していきました。色んなことを原理原則で考えていくと、やっていくうちに「こういう事実があるから、こういう結果になったんだな」というのが人との出会いで出てくるわけですよね。

enmono やっていく中でうまくいったことをフィードバックしていくとか?

細貝 あと成功した人の話。ちょっと盛ってるとは思うんだけど。盛りは引いて、事実で考えていくと、すごくいいこと言ってるなっていう人たちがたくさんいるわけです。ただ、人それぞれ置かれている環境が全部違うんで、自分の立場で考えた時のプラス三段階マイナス一段階くらいのクリアランスの中でどうやって成長させていくかというのを志向したビジネスモデルを作っていくということです。

細貝 モノづくりって、モノを作ったから「これって何かに転用できないかな」っていう立場もあるんだけど、でもそういう人ばっかり集まっていたら押しつけの技術になっていくじゃないですか。だから人に向いている技術っていうのが、一番大事なんじゃないだろうかっていうのが僕の中にはあって。

細貝 中小企業だからできるんだよね。大きい利益を生まなければいけない、毎年成長させなければいけないっていうことよりも「緩やかでいいんだ」っていうことができるのは中小企業の強みだと思っています。

細貝 その代わり売上は日本の経済状況に振り回されるところが多いんだけどさ。そこは切り詰めながら蓄える時は蓄える、出す時は出すっていうことを長期的に考えなきゃいけないとは思うんだけど。そんなに売上をドーンとやらなきゃいけないっていうプレッシャーは大企業に比べたらあんまりないじゃない。だからそういう自分たちの強みとかスタイルをきちんと作って行けば、モノづくりって一番面白い分野ですよね。

●大企業との関わり方

enmono 多分多くの中小企業が大企業とどういう風に付き合っていけばいいのかという悩みがあると思うんですけど、そのあたりのお考えやポリシーがあれば。

細貝 一つはその会社の一部になること、気持ちになることが大事なのかなと思うんですけどね。やはりお客様も成長していくわけじゃないですか。色んな設備を入れたり、色んな事情があったりするわけですよ。それで同じものを揃えたら生産率が上がるだけで、実は何のサポートにもなってないと思うんですよね。そうすると「じゃあ、お客様が持っていないものを我々はどう経営に反映させていくか」ということを考えながら、お互いに進んでいくということを常に共有することを心がけています。

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細貝 そうは言えども、我々中小企業はバッファになる時がありますよ。やっぱり親がしっかり仕事がない場合は子から切っていくしかないんです。だから切られないようにするにはどうしたらいいか。あまり人間的な関係ばかりを重視するわけじゃないですけど、やっぱり困った時にはここだっていう色んな企業の中から選ばれる要素を一つ持つことが大事なんだと。例えば「こんな技術があるから」「どこよりも速くできるから」「今までの不良率がゼロだった」とか、色んなことが積み重なってきて信用を蓄積していくことが大事なんだと思います。

enmono 今の日本の経済状況を見ると、必ずしも大企業だからといってすごく成功しているとか成長しているという状況ではなくなってきていると思っていて、あまりにも組織が大きすぎて例えばスピードが足りないとか、イノベーションが起きにくいとか、市場の変化について行けないとか、色々あると思うんですけど、中小企業側が大企業にそういった点で影響を与えていける可能性についてはどうお考えですか?

細貝 大企業だからこそ、10億だとか100億になる市場が見込めるなというものに投資をドカンとしていこうとなる。いわばハードルが高いわけです。それに対して僕らのハードルは低い。だから、例えばチャレンジするものは中小企業に任せちゃって、それに対して色んな種を大企業が蒔くわけです。大量産になっていくとか、世界に大展開するっていう時に、そこから大企業の役割が出てくるんじゃないかなと思うので。僕は小さいことや手間のかかるものっていうのは中小企業の重要な役割だと思うんです。

細貝 中小企業との関わり方は大企業もわかっていると思うんです。ただ、今はコンプライアンス重視になっているので、キチッとした認証資格を取っていない会社とかバランスシートが悪い会社だとか色んなことがあると思います。

細貝 もしも資産を中小企業に預けたことが原因で倒産してしまったら、というリスクを考えると、やはりバランスシートをキチッと見ていなければいけないとか色々あると思うんです。

細貝 だから僕はモノづくりの企業にとっては、技術的に「これができる」ということも大事ですけど、「会社の組織がしっかりしている」という部分も重視すべきだと思います。

●下町ボブスレー

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enmono 今回の本題、ボブスレーについて伺いたいと思います。これはたくさんの中小企業が集まって、大企業じゃなかなかやりにくいところを一つのモノに仕上げたイノベーションだと思うんですけど、そのきっかけはなんだったんでしょうか?

細貝 なんでボブスレーをやったか。一つは中小企業同士の連携が少なくなってしまったこと。昔僕が独立した頃は醤油の貸し借りができた――というのは玄関先が開いているような工場ばっかりだったのね。「すいません、工具ないんでちょっと貸してもらえませんか?」って平気で言えて、貸してくれたり、仕事がないと図面くれたりしたわけよ。

細貝 そんなフランクな地域だったんだけど、今はほとんど板金屋さんの音が出てたり煙が出てたりする仕事以外はみんな閉まってるじゃん。そうなってくるとお隣が何やってるのかわからない、会合で人に会って「何やってんの?」って言っても説明もあんまりうまくないからわかんないじゃん。そうするとさ、俺たちの接点ってどこなんだろうって思うと、ちょっと深く入れない。意外とオープンな環境ではないんだよね。

enmono 近くであっても隣で何をやっているかわからない。

細貝 だけど噂で聞くとさ、「こんな1/1000の穴にチャレンジしてる会社があるんだぜ」とか「こんなこと成功したんだぜ」っていう武勇伝がいっぱい出てくるわけ。噂話なわけよ。それだったらお互いを知り合うような集いを作れないかなと思ってたの。

細貝 そのためにやるんだったら、僕は何か意味を持っていきたいのね。これをやったんだったら、この先には何が起こるのかというのがやりたいので、一つはまず連携をしたいなという意味。

細貝 もう一つはそれに対するモチベーションを高めるためにはこの地域宣伝したいじゃん。てことは「一番のPRってなんだろう」「オリンピックで使われる道具をみんなで作ったら、これは最大のPRになる」。あなたの作ったワッシャーが平昌オリンピックでビューンとボブスレーで走って、子どもに言うんですよ、「あれは俺が作ったボブスレーだ」って。そうすると色んな絆ができてくる。
もう一つは市場的にボブスレーにトライしたのは炭素繊維じゃなきゃダメだったから。

enmono あ、そういう条件があるんですか。

細貝 うん。未来に自動車に変わる産業って何かって考えると、命に関わるものって一番日本に作らせたくない? そうするとMRJとか色んなものができて、航空機産業ってボディは炭素繊維になる。実はあの中にはアルミとか色んなものが入ってるんだけど、そういった市場をキチッと取り入れる環境を我々も作らないといけない。ってなってくると、炭素繊維で作っているもの、もう一つはオリンピックに出られるもの……なんじゃろかーって。

細貝 僕は2008年~2009年頃にアーチェリーをやろうと思ってたんです。アーチェリーって炭素繊維と金属でギューッとやるじゃない。あ、これいいなぁと思って。大手メーカーがやめたばっかりだったし。これって面白いなーみんなで作れないかなーと思ってたけど、やっぱりクリアしないといけないハードルが出てきたり、ちょっとこれって単純にはいかないと思って模索していたら、2011年に……震災の後ね、大田区の職員の小杉っていうのがいて、こいつが震災でみんなすごく大変になっている時に「やっぱり地元の連携が大事だよね。細貝さん、ボブスレーでも作って、なんか町興ししませんか? 炭素繊維でいいですよコレ」っていう話だったんで、それで始めたんです。

enmono 大田区の方から。

細貝 そう、職員がね。

enmono 普通の経営者の感覚として、それは話は面白いけど利益になるかどうかの判断をまずすると思うんですけど、いかがでしたか?

細貝 最初ね、ボブスレー作る時に一番大事なのはお金じゃん?

enmono はい。

細貝 「いくらかかんの? コレ」って聞いた。そしたら「2~3千万じゃないですかね」って。サラリーマンってすごいなーって思った。2~3千万を簡単に言うよなコイツって思ったんだけど。さっすが公務員だって思いながらチラチラと考えてみた。

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enmono まずどうすればいいのか……。

細貝 そう。まずどうすればいいのかって思った時に、部品は集いを作ってタダで作れば材料費くらいで済むって思ったわけ。そうすると中の部品でまぁ半分くらいかかるだろうから、炭素繊維どうするか。炭素繊維の型作ってなんやかんややって、1千万以上かかっちゃうだろうなぁと思った時に、これはみんなでタダでやってるから悪いけど半値でやってという話になるかなとか……最終的に出るお金は1千万くらいの借入だったらできるのかなと思ったの。それでなんとなく、最後は自分一人で作ってもなんとかなるかなとか色々思いながらリスクマネージメントして、受けたの。

enmono (大田区職員と話をした)その瞬間に?

細貝 30分くらい考えましたよ。

enmono 30分(笑)。30分でリスクマネージメントを終えたんですか。


enmono(宇都宮) 持ち帰ったんじゃないんですか。

細貝 だってそこに(職員さんが)いるんだもん。来ちゃったから。

enmono (笑)。

細貝 その時からソチオリンピックまでだとすごい短期間なので「これヤベェなとか思いながら」、スケジュールはいつものことながら漠然と臨機応変で、計画書も出さず人を集めていった。

enmono そこで借入を起こして?

細貝 借入を起こしたのはどのくらいだったかな。2千万くらい起こしてたのかな。

enmono 銀行さんがよく……。

enmono 30分で決断して、そこから色んな人を巻きこんでいかないといけないという。

細貝 いや、なんとなくね。ポジティブに考えるんで、人は集まるだろうなって。3500社も大田区の中にいるんだから、こんな面白いことやるなら、まぁ誰かやってくれるよなと思った。もしダメだったら日本中の製造業の知り合いがいるから、じゃあオールジャパンでやればいいんだって考えたわけです。

enmono もう頭の中で。

細貝 そう。技術の強い会社がいっぱいいるからさ。この方々ならできるよねって思っちゃうわけ。自分の知ってるヤツらで。ウチよりプロフェッショナルな会社はたくさん大田区にいるからさ。そういう人たちを巻きこめば大丈夫だなと思ったんで、あとは金の問題と、CMをどうやって打っていくか。そういうことから始めた。

enmono 巻きこめると思ってました?

細貝 常に大丈夫だろうって思っちゃう。まぁ一応やってみようかなと。

enmono そこがすごいですよね。

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細貝 ずっと妄想したままで一歩を踏みださないでいると現実になるチャンスもないし、僕も人生相当失敗してますからね。トライ&エラーっていう(笑)。そんなエラーばっかりなんですけど、だけど中にはいいことがあったから今生きてられるんで。だから挑戦していくことっていうのは自分の中で独立創業っていうのが一番の挑戦だったので、それから比べればもう今は色んなものが整っているんで、ちょっとのカスタマイズで挑戦ができるなっていう安堵感がある。それで進んできたんです。

●今できあがっているものは、もう古い

enmono 初号機の形ができてきたのは、スタートしてどれくらいの頃だったんですか?

細貝 童夢カーボンマジック(当時。現在は東レ・カーボンマジック株式会社)が炭素繊維で協力してくれたのが一番でかかったの。炭素繊維やってくれるところがなくて、やるんだったらそういう会社じゃなきゃダメだよねというのがあって、設計製作もできる会社でカーボンもできる会社っていったら童夢カーボンマジックしかない。そうすると、そこに応援を頼むしかないなと思って小杉ちゃんがまたファインプレーするんだけど、とりあえず展示会出てるから行ってきてよという 話になったわけ。そこで直交渉しかねぇだろうなっていう話で行ったら、その時に奥社長がいたわけよ。小杉ちゃんが話して一所懸命やったんだろうな。そしたら「昔俺も長野オリンピックの時にボブスレーチャレンジしたんだよ」という話になって「協力するよ、ぜひ」ということになっちゃった。

enmono その場で?

細貝 そう。小杉ちゃんから電話があって「社長やりましたよ! 童夢さん協力してくれるって」ていう話になって、この方の存在が今すごく我々の底力になっている。もう折れそうになった時も必ず助けてくれる。

enmono 素晴らしい。

細貝 すっげぇ名言があって、(俺たちの間では)「坊主でも仕事の中身は見せちゃいけない」って言われてたの。俺たちの作ったものを。そしたら奥さんが「今見せたって大丈夫だよ。今ある技術はもう古いから」って。カッコイイ! 俺もそれ使っていこうっていうくらい。今あるもの、できあがっちゃってるものはもう古い。次にもう開発をかけてるんだよ。かっこいい人なんですよ。漢で す。もうねぇ、俺がなよなよしてるからみんな支えてくれるんだよね。


細貝 そういうところから集まって、だけどね、なかなかスタートしなかった。集まりはしたけど誰がリーダーシップとっていくんやって色んなことがあって、とりあえずその時は大田区の広報で奥田が日刊工業から帰ってきたばかりで、記者会見やろうと。

enmono その時のことはすごく覚えてますね。

細貝 その時にケツに火つけちゃえばやるしかねぇだろうなと。メディアにボーンと出して。実はその年の11月にJIMTOFがあったの。JIMTOFの展示会の 前年度、GT-Rのエンジンばらしたり、すげぇパフォーマンスやったところを貸すよと。日工会(日本工作機械工業会)が。東京ドームとどっちにしますかと いう展示会が二つ来てさ。これはモノづくりだからJIMTOFだろうとJIMTOF選んで、そこから記者会見やって、現物がなかった状態から一気に作っ た。

●自然とできあがっていったチーム

enmono その時コアメンバーは何人くらいだったんですか?

細貝 最初に集まった時は10人くらい。10社じゃなくて。

enmono その発表した反響というのは最初どんな感じだったんですか?

細貝 やっぱりね。なんで地味ーなボブスレーをやるんだろうなって不思議に思ってる人が集まってきた。

enmono そもそもボブスレーってみんなその時知らなかったと思うんですけど。

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細貝 俺もだから。まったく知らなくて、まぁやるかっていう感じでやりはじめたんですよね。ただ、「中小企業が挑戦するっていうなら、ちょっと見守ってやろう」 ぐらいな感覚で皆さん集まってくれたんだと思いますよ。そこで展示会に出た時に、なんとか間に合いましたと。

enmono それはもう完成していたんですか?

細貝 ボブスレー作る前にランダムで集まってもらって、図面200枚ダーッと出しといて「作れるもの持ってってー」って。俺は夢を語りましたよ。このボブスレー を大田区から出して世界戦に出るんだと。そしたら世界中が大田区に注目して仕事がガサガサ集まってきますよっていう話をするわけですよ。で、図面バーッと 並べて、ババババッとみんな取っていってくれる。そこで注意書きを一つだけ読む。「皆さん、タダでお願いします!」

一同 ハハハハッ!!(笑)

enmono ピタッと止まりそうですね。

細貝 違うよ、「バタッ」(図面を机に叩きつける感じ)だよ(笑)。あれは「正直だな人間って」と思った。気持ちで思ったことが行動に出ちゃうんだよ。

enmono でも、よく皆さんタダで……。

細貝 そこで今の國廣とか西村とか残ってくれてるメンバーが中心になって板金と切削に分かれてくれて長になってくれて、まとめあげてくれようとしてる。自然に。なんの打ち合わせもなく。

enmono それはすごい。

細貝 そういうヤツらがいたから今があったんだなって思うんだけど、結局それで40社くらい来て、27社(図面を)持ってってくれた。そこで中小企業の実情も見えた。若い経営者が集まってくれるんだけど、図面持って帰るじゃん。持って帰る段階で返事してるんだからいいじゃん。もう終わりじゃん。なんだけど、引退した会長に「なんでこんなの持ってくるんだ」って言われるところも出てくるわけ。そうすると板挟みになっちゃうじゃん。やるって言ったんだけど、親父がダメって言うんだよね……とか。

細貝 俺はやっぱりお父さんはもう口出さない方がいいよと思う。アドバイスはアリ。だけど、経営者のためにも決定権は持っちゃいけない。その時に思ったね。二代目三代目って大変だなぁって。それがない会社はすごくスムーズ。やっぱり権限持ってやってるんで、自分にもリスクを考えなきゃいけない、返事の仕方もちゃんと考えなきゃいけないっていう、考えられた経営者になっていく人がたくさんいる。

enmono それは今後二代目問題の希望になったというか。

細貝 ほんとにそういうもんなんだ……と思った。俺も初代の経営者でしょ。今度受け継ぐじゃん、誰かが。俺も口出すんだろうなぁ。

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enmono (笑)。

細貝 アレはダメだ、コレはダメだって。だけど、なんだろうなぁ。そういうところを実は今、継承した社長たちにすごく学ばせてもらってる。バトンの渡し方っていうのはやっぱりインターバルがあって、受け取る側も渡す側も、ちゃんと考えた時期にインターバルって出てくるんだろうなって。ここをどう受け継ぐか、受け渡すかっていうのは、今このボブスレーのプロジェクトで、色んな年下の社長たちがいるんだけどいつも刺激を受けてます。すげぇなぁコイツらって思う。

●想いがある者たちには、力がある

enmono ちょっとお話が戻るんですけど、自然とチームができてきたというのがあったじゃないですか。

細貝 うん。

enmono 細貝さんがいて、板金と切削のチームが自動的に……自動的にというか。

細貝 なんかこう自発的に。

enmono そういう流れをどうやって起こすかという話なんですけど。

細貝 僕はね、来た人たちに思いがあるからこそ来たんだと思う。何かの仮題があって、何かで解決したいなっていうことだとか。そういったものはたくさんあったと思うし。もう一つはバーターで、もしもうまくいったらすごい宣伝効果になるよねっていうことも経営の一つだと思うんだよね。

enmono そういうチームが自然とできるっていうのはリーダーシップが相当重要だと思うんですが、細貝さんがすべて責任を取るからおまえらやってくれというようなお話をされたんですか?

細貝 そこまで言ったかどうか覚えてないですけど、正直これを受けた時にはもう責任を取るつもりで受けてるから、言葉にしなかったかもしれないし、したかもしれないけど、人のせいにはできない。

enmono そういう腹は多分言わなくても伝わるんですよね。

細貝 みんな僕より優秀だからさ、あいつらがいてくれたからこそ今があるね。

enmono 理想的な感じですよね。

細貝 平たい関係が好きなのよ。歳が上でも下でもオープンに話をしてくれるというか、溶け込んできたというか。僕は取っつきにくい方らしいんだけど、そういうのを排除してくれて、付き合ってくれてく関係ができたから色々できてるんだと思うし。

enmono そういう組織ができあがっていくのはすごいことだと思います。

細貝 あともう一つ、自分の経営の中にも言えてるんだけど「任せる」。

enmono 任せる。

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細貝 信じる信じないじゃなくて、そこは信頼があるからこそ集まってるので。そういうことじゃなくて。同時に動かさなきゃいけないものっていうのは、ある程度自分が描いているものに対して、すべてを指示するなんていうことは多分このプロジェクトじゃ間に合わない。

細貝 もう一つ、会社に帰れば「オイおまえ」って言ってる社長をコントロールすることなんてできない。会社で指示してる者が平たい関係の中でトップがいてね、「オイおまえ、アレやってこい、コレやってこい」って言われたら、多分ね気分よくないんだろうなって。まぁどうしようもなく、「こうしてほしい」っていう時はそうやる時もあるんだけど。

細貝 走らせなきゃいけないんですよ。もうこの分野はこれでやってね。あとはお願いしますっていう感じで。

enmono オリンピックがあるから色々スケジュールがあるじゃないですか。それにキチキチと合わせて順調に進んだんですか?

細貝 一応順調。実はそこのスケジュールだけはすごく細かくやってる。

enmono それはもう細かなシートを作って?

細貝 いやいや、やらない。いやまぁ、そういうのはあるよ。ちゃんと事業計画というかスケジュール帳というのは童夢が作ってくれたんです(笑)。今は東レ・カー ボンマジックね。そういう人たちがやってくれるんだけど、実は……これは放送すると俺のテクニックがバレるかな。いつも前々日数の納期。いわゆる嘘ついてるっていう(笑)。全部そうやってるのは、最終誰もやってくれなかった時のための保険。1号機の時もそうだったんだけど、あれは12日間で作ったの。

enmono すごいですね、12日間で。

細貝 実はそれプラス2週間あった。なんでそうしたかっていうのは、ウチの会社に図面見せたら「2週間かかるよ、社長」と。2週間あればできると社内で言われたの。板金屋さんとか色んな協力も含めて。もしも投げられた場合はここで作っちまおうていうのがあったんで、そしたら12日間でバシッと作れちゃったから。 さすが大田区! やっぱり腕自慢が多いからね。嵌合部品なんか本来は一社に頼むじゃん? それをバラバラに手配したから、オスとメスを別の会社が作ってるわけですよ。それがさ、お互いで話をしてくれるわけよ。俺1/100縮めるよ、1 /1000通すよってやってくれて、サクッと入っちゃった。

enmono 同じ会社でもなかなかそうはいかないですよね。

細貝 モチベーションが高いんですよ。みんな。だからやる時はやる。やんない時はやんない。だけど、やる時のギアかかった時には力持ってるからさ、おったまげるくらいやるよ。感動したのはそこ。

●順風に見えたその先に

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enmono モノができてきて、段々とスポンサーがつくじゃないですか。

細貝 まだその段階ではスポンサーがいなくて、冒頭話した白銅の社長とか昔繋がりがあった場所には申し訳ないんだけど、ちょっと出してくれないかなと相談して、融資が集まってくれた。だけど、そんな金額じゃ収まらない事件が起こって。もう順風で展示会もオッケーで、今度全日本選手権にもオファーがあって。展示会 の時に北海道から選手が来てくれたんだよ。テレビ見て。川崎さんっていう女性がね。俺たちもトークショーやってたから面白いから来なよって特別出演してもらったら、同じスポーツで応援してますって色々やってくれて、そこから全日本選手権が近いよっていうことはわかってたんで、シェイクダウンしないといけないから――。

enmono シェイクダウン?

細貝 一番最初の試走ね。それをしなきゃいけないんで誰か頼もうかと思ったら、テレビでも少し知名度があがったから、バンクーバーオリンピックに出た浅津このみさんっていう方がやってくれて。女子用ボブスレー作って。

enmono 女子用が先?

細貝 なぜ女子用なのか。これは男子との世界のタイム差が絶対に勝てない。すんげー幅が広くて。女子はまだ歴史が浅いからまだこのくらいなの。だから女子の方が チャンスがあるんじゃないかなと思って女子を選んだわけ。シェイクダウンは前回のコースレコードを1/100秒上回った。そしたらその選手たちが全日本で貸してくださいと言ってくれた。メンテナンスして、じゃあよろしくって。そしたら前年度よりも1秒以上差をつけて優勝した。

enmono 順調じゃないですか。

細貝 うん、コースレコード。すげーっと思っていたら、いきなり連盟がそこへ絡んできて、「細貝さん今回は残念なことに男子チームしかオリンピックに行けません」「なんでー!?」って理由を聞いたら、予算がないから1チームだけって言われた。

enmono なるほど。

細貝 そうしたら今まで女子女子って言ってたのが仇になってしまった。男子チーム側は面白くない。今さら俺んとこへ来やがって。女子女子言ってたじゃねぇかと言われて。ソリ自体はオーソドックスに作ってたから大きさもマックスで男子でも乗れるのよ。もうオリンピックまで1年ちょっとしかないから、「男子チーム用のを作るからチャンスくれ」と。

細貝 だけど、レギュレーションチェックしなきゃいけない、試しもしなきゃいけないから、双子ちゃん2台作って、1台はレギュレーションにヨーロッパ行かせて、もう1台は日本に戻してバグが出たものを全部直す。だから2台作ろうとなった。そうすっと最初でも3千万だと言ってたものが倍かかるじゃん。これはヤバイなと思ってスポンサー集めに行かなきゃいけないと思った。

細貝 大手の懇親会に行った時に、ひかりTVの社長に会ったわけよ。すごく粋な社長でかっこいいなと思ったんで、懇々と色々説明してちょっとスポンサーとして やってもらえないかなと、100万でいいんですけどという話をして。そしたら「わかりました、やってみましょう。ただ、ちゃんと説明してもらわなきゃいけないよ」ということでプレゼンをさせていただいて、週が明けた、大田区に吉報が入りました。「細貝さん、絶対来ないと思っていたメインスポンサー枠の1千万、ひかりTVさんが応募してくれました!」「やったー!」

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enmono いきなり10倍の(笑)。

細貝 「なんでー!?」と思って社長に聞きました。そしたら「どうせやるならメインでいきましょう」。

enmono ああ、メインで。

細貝 そう。メインスポンサーで全面的に応援したい。モノづくりっていうものの大切さと、そういったものの絡みで我々も支援したいという気持ちになりましたと。 それでもまだまだ下町ボブスレーは創業直後みたいなものだから、20数年前のウチの会社みたいに信用がない。ここで安倍さんが総理になられた時、施政方針演説ってあるじゃないですか。あそこで大田区の企業が下町ボブスレーというプロジェクトで世界を目指していると。

enmono 言ってくれたんですね。素晴らしい。

細貝 下町ボブスレーに対して信用がついて、そこでスポンサーが集まった。連盟ともね、その年の10月、オリンピックまであと4ヶ月という時に共同記者会見、新型機発表、やるわけじゃないですか。チーム・オブ・ザ・イヤーというサイボウズの賞もとって(2013年ベストチーム・オブ・ザ・イヤー一般部門を受賞)、色んなことがチー ムとして評価されて「いやぁ順風だ」と思ってた瞬間の表彰式の裏では……採用するかしないかっていう話になってたんです。

enmono なるほど。その辺も色々あるとは思うんですが……。

細貝 その時に僕らで共同開発しましょう、ソリの性能を高めていって、一緒に成長しながらオリンピック出ましょうということで協力協定を結んだ。けれどもいつし かすれ違っていて、1コンペにさせられてしまった。我々は1ベンダーになってしまった。協力協定っていうのとベンダーっていうのは違います。

enmono 違いますよね。

細貝 だから、ああこれって通じなかったんだなと。ライバルのラトビアのソリと戦って、まぁ日本で戦ってないからどんな状況かわからないけど、いいソリですよ、ラトビアも。歴史があって優勝とかもしてるから。だけど、僕らのソリも引けを取らないくらいのところまで、たった1年で行った。まぁ若干負けたんですけ ど。ていう形になった。そこまではいいんですよ。これをより成長させながら、ラトビアより速いソリを作ろうというのが協力協定。でも1ベンダーになってしまったんで、「あ、これは難しいな」ということでソチオリンピックは断念。

●新たなパートナー――ジャマイカチーム

enmono それが1年半くらい前ですか。

細貝 そうね、2013年だから。その時は断念してもソチオリンピック見に行った。その時はジャマイカと一緒に日本は走った。すごく粋な人種なのね。チャランチャラーンとしてるような、ウチの國廣みたいな――だけどあいつも仕事をやる時はビシッとなるわけですよ。それがあって、なんとなくジャマイカ人とウチの 國ちゃんがうまくやれるんじゃないかなと感じた。

細貝 ソチオリンピックではジャマイカがビリだったのね。だけど、身体能力がめちゃくちゃあって、パイロット技術が伸びれば次はビリになんねぇと思うわけ。それを少しでもサポートしたいなという思いがその時芽生えてたの。ボルトもいるし、世界の身体能力一番の国だから、それと世界一の技術力が組めば――なんて世界一じゃないけど、そんなかっこいいこと言っていくとメディア的にもいいかなって――なんて妄想しながら、ほんとに真摯にジャマイカとやりたいなと思った。ゼロから行こうというところをやってみたいなと思って、ジャマイカにアプローチをかけたんです。

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enmono それは去年くらい?

細貝 去年の4月にはジャマイカ大使館に打診していました。発表を今年の1月16日に東京でやりました。

enmono 約1年くらいが交渉期間ということですか?

細貝 いやいや、実は大使館に行っても、交渉成果はさほどなかった。最終的には外務省が色々やってくれたっていうところが大きかったと思う。ジャマイカの大使も色々やってくれてたし、色んな有志の方々が自発的に動いてくれて、今回に至ったんです。

enmono 本格的に話が進んだのは去年のいつくらいなんですか?

細貝 えっとね。何を隠そう、不採用って食らって2週間後だから去年の11月の末じゃないかな。11月の末には絶対にここでやってやるって思ってた。発表が翌1月の16日だから、もうそこにはすごいドラマがありますよ。たった1ヶ月ちょっとで。

enmono 現地へ行かれたんですか?

細貝 いや、行くことよりもまず自分の陣地に呼ぶこと。その時に僕は長野に連れてきたいと全員ご招待。ドーン。見てちょうだい。長野で走ってちょうだい。ということで走っていただいた。そこでは1週間で仮契約はしたいなと。

enmono すごいですね、もうなんか……。

細貝 プロジェクトX!

enmono そうですよね(笑)。

細貝 なんとかその1週間で結果を出して。

enmono センスですかね。

細貝 営業センスじゃなくて、みんなで勝ち取ったんじゃないですかね。とにかく人と会った瞬間にインスピレーションって絶対あるし、そこの入りがどう相手に伝わるかっていうのが一番印象に残るでしょう。そこにはすごく僕たちは力を注いで。決定権の時にはきちんと言うことは言って。お互いのすれ違いがないかを確認して、ちゃんとプロセスを見て、やっていきましょうと。一気に決まりました。
細貝 あ、でもね。ジャマイカだけじゃないんだよ。オファー来たの。

enmono あ、そうなんですか。

細貝 ルーマニア、オーストリア。オファーかけたところはみんな来た。だけど、俺たちの大本命はジャマイカだった。

enmono 現在の状況としては?

細貝 今日、メカニックの鈴木が帰ってきたんだけど、アメリカの大会で我々のボブスレー走ってます。結果的に厳しいのは、すごくいいタイムで行ってたヤツが転倒してしまって数針縫ってしまったんで、まだまだ発展途上の選手なのでこれからが楽しみだなというところがありますよね。

●日本の若者の未来

enmono いやぁほんとにドラマを聞かせていただいて、まだ色々とお話が尽きないんですけど、そろそろお時間の方もありまして、いつも皆さんに最後の質問をさせていただいてるんですけども、日本の○○の未来。○○はご自身で設定していただく形で。

細貝 日本の? 自分のだったら長生き。日本の……俺が一番気になってるのは人口、若者かな。若者に対しての未来っていうのはすごく気になってます。やっぱり労働人口が減ってきて、圧倒的な負の遺産を抱えながら、それからチャレンジしていって僕たち以上の生産率を上げないと……。モノづくりとかそういうものだけじゃないですよ。税金だってそうでしょ。

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細貝 色んなものを考えると、すごく僕らが今を作ってあげてないと未来って言葉に繋がらない若者が増えちゃうんじゃないかな。そんな気がするんだけど……。だか ら未来と今を結局どう結びつけて考えていきながら、次世代にどういうものを残せるかということは、自分にとっての使命なんじゃないかという気はしています。


細貝 自分の子どもたちっていうのがリンクしているのかもしれない。

enmono 子どもたちもこの下町ボブスレーのプロジェクトは見ていると思うので、挑戦してみたいなっていう風に大人たちも子どもたちも思う

細貝 やはり時代のバトンの渡し方というものに対して、自分たちは今一番重要なポストにいると思うんです。だから、大企業を繋げることもそうだし、中小企業・小企業・零細企業をどうやって大企業に結びつけていくかっていうことも大事だし、色んなものが結びつきというものをちゃんとしていかないと。ほんとにそこは 逃げたいところなんだけど、見て、現実を知って、行動して、結果を出さなければいけない時期なんじゃないかなとすごく俺は思ってるわけ。だから自分たちの成功事例っていうのをたくさん作って、次の世代、若者の未来っていうものを僕らは作っておいてあげなければいけない。

enmono ありがとうございます。最後にピシッと締めていただいてありがとうございます。本当にドラマですよね。
enmono(宇都宮) 映画化もされるんでしょう?

細貝 ノーコメント!

一同 (笑)。

enmono はい。本当に今日は貴重なお時間をありがとうございました。

細貝 ありがとうございました。

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「下町ボブスレーを通じて、お互いの連携や会話ができる集いを作りたい」 株式会社マテリアル 代表取締役 細貝淳一さん|zenschool|三木康司と宇都宮茂 / 探求の旅を続ける仲間
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