“アイドル声優”という概念が必要なくなった
「“顔出ししたくないから声優になりたい”という声優志望者の子の一部が、今はVTuberに流れているのかもしれません」
自身も声優として20年近いキャリアを持ち、事務所「トイプリッズ」の代表を務める古川小百合さんはこう話す。
「一時期のアイドル声優ブームは明らかに落ち着いたといえますね。コロナ禍で長期間ライブやイベントができなくなったのは、大きな影響があったと思います。会えないままの3年間は長すぎます。
一方で、VTuberは家から応援できる。見た目は年を取りませんし、正体が分からないからこそ、ファンは余計な情報を知らなくてすむメリットもあります。
ほかにもTikTokなど色々と表現の場が生まれて、直接顔出ししなくても人柄や喋りだけで勝負できる環境が整いました。役者としてではなく、自己表現のひとつの場として声優という職業を目指していた子たちが、自分に合う表現を求めて、色々なジャンルに分岐していったんだと思います」
かつては、推しの声優に恋人の存在が発覚するとネットが炎上騒ぎになったものだが、そうした事例もめっきり減った。
「ライトに楽しむ方も多くなり、声優ファンの年齢層も本当に幅広くなりました。何より、コンテンツそのものに“アイドルもの”が増えた。『BanG Dream!(バンドリ)』もそうですし、『ラブライブ』『アイマス』もそう。
キャラクターを応援するというゲーム性が最も重要で、生身の人間をアイドルのように推す“アイドル声優”という概念自体が、今の時代ではもう必要なくなったのかもしれませんね」