リスニング力向上に貢献するトレーニング方法
この記事では、主にリスニング能力を伸ばすために有効なトレーニング方法について説明しています。前半で、「そもそもリスニング、聞き取りとは何か」といった原理的内容について解説し、後半で、具体的に何をするとよいか、という手段について説明しています。
リスニングは、音の理解と意味の理解という2つの直列のステップで構成されます。
音の理解について
音の理解、つまり、一連の音を聞いてそれがどのような特徴を持つ音なのかを理解することが、意味を取り出すために必要になります。音の特徴を十分に捉えることで、後続のステップである意味の理解が容易になります。
分節音と超分節音
音は、分節的特徴と超分節的特徴という 2 つの特徴が重なった状態で聞き手の耳にやってきます。
分節的特徴とは、音を構成するそれ以上分割できない要素(=分節音、英語の場合は母音と子音)の特徴です。辞書にのっている発音記号のひとつの文字が、ひとつの分節音に対応していると考えてよいと思います。
対して、超分節的特徴は分節音にまたがり(かぶさって)あらわれる特徴であり、英語の場合はアクセント、イントネーション、リズムなどがこれに該当します。ちなみに、超分節的特徴の違いだけを手がかりに意味を識別する言語もあり、中国語やタイ語などの声調言語がこれに該当します。英語は声調言語ではありませんが、疑問文と肯定文の区別を超分節的特徴の違いで示します
音の理解は、分節音(母音と子音)の特徴をとらえる、超分節音(アクセント、イントネーション、リズム)の特徴をとらえる、という 2 つのレイヤーで構成されていることになります。いずれかの特徴だけを取り出して話すことも可能ですが、この 2 つの特徴は常に重なってやってくることが普通です。
物理的に完全に聞き取る必要性はない
ここまでで、音的特徴は分節的特徴と超分節的特徴に分割できることを説明しました。
そして、これら 2 つの特徴を完全に聞き取る必要はありません。虫食いで不完全な状態でもシルエットを把握できるのと同じように、分節的特徴と超分節的特徴の一部をとらえることができないとしても、まわりから補ったり、過去の経験から何があるか類推できることがおおいにあるからです。これはとてもうれしいことで、というのも、全部聞こえなくても意味を完全に復元できることを意味するからです。
ひとつ例を挙げて説明します。たとえば:
とある歌のメロディだけ聞く
プロの歌い手が歌うとある歌を聴く
ヘタクソが歌うとある歌を聴く
のいずれでも、その歌の「曲名」をあてることはできるはずです。歌の上手い人だな、とか、歌のヘタクソな人だな、みたいな印象の違いはありますが、音の特徴をとらえてそれを理解する、ということがメインの目的の場合、1 から 3 の違いは結果的な音の理解に影響しません。
意味の理解について
ここまでは、音の理解のメカニズムについて説明しました。以降では、その後続のステップである意味の理解について説明します。以降で使用する「意味」という言葉は、イメージ、コンセプト、概念、メッセージなどの言葉で置き換えることも可能です。
音からメッセージ(意味)をとらえる
音的特徴には意味が紐づけられています。そのため、一連の音的特徴を理解することに成功すれば、自然とその意味(イメージ)が脳内に想起されます。そして、音の理解からのイメージの想起は頑張って行うものではなく、嫌でもイメージされてしまう、イメージしちゃう、という特徴があります。
実際、耳をふさぎたくなるような怖い話を誰かが近くでしているとして、聞きたくないのに聞こえちゃう、意味がイメージされちゃう、という状況はありますよね。語り手のナラティブがうまいとこれがさらに発生しやすいものになります。音の理解からのイメージの想起は基本的に、自分の意思で止めたり開始したりできるものではありません。
そしてあたりまえですが、意味が紐づけられていなければ音を理解しても意味を想起できません。これを言い換えると:
知らない単語は絶対に聞き取ることができない
単語を聞き取れる人はその単語を声に出せる(発音のよしあしは別)
となります。
音と意味の紐づけは訓練で可能
音を理解することでそこに紐づけられた意味を理解できる、紐づけられていなければ意味を理解することは絶対にできない、と説明しました。
そして、音と意味の紐づけはトレーニングで行うことが可能です。意味をイメージしながら感情をこめてその音を出せば、意味→音のリンク構築を達成できます。
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