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正念場の奈良での日韓首脳会談 「タカ」の高市首相と「ハト」の李大統領は相思相愛?

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
南アフリカで開かれたG20首脳会議で懇談した高市首相と李大統領(写真撮影:大統領室合同記者団)

 韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が明日(13日)、高市早苗首相の地元の奈良を訪問し、首脳会談を行う。日程では李大統領は14日に高市首相と世界遺産の法隆寺を訪れた後、帰国する予定である。

 李大統領は昨年8月にも来日している。昨年6月4日に就任してから1年もしない間に韓国の大統領が2度も訪日するのは極めて異例である。

 前任者の石破茂首相を含め李大統領が日本の首相と首脳会談を行うのは5回目となるが、高市首相とは昨年10月に韓国慶州で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での会談に続き公式では2回目となる。昨年11月に南アフリカで開かれた主要20か国(G20)首脳会議での懇談を含めるとすでに3回も会っている。

 高市首相は保守タカ派で、李大統領は進歩ハト派と称されている。鳥類の世界ではハトはタカを怖がるのだが、李大統領はどうやら高市首相とは表面上は気が合っているようだ。

 李大統領は高市首相の印象について「会って、話してみたら、心配がなくなった。(高市首相は)同じ考えを持つ素晴らしい政治家だと思った。今後、韓日関係はしっかり協力して今よりはるかに良い段階に進めることができる」と、高市首相との相性を語っていた。

 高市首相は日本初の女性首相で、李大統領よりも3歳年上である。「姉さんパートナー」ではないが、目上の人に敬意を表するのが韓国の習わしなので李大統領が高市首相に丁重に接するのは至極当然のことだ。

 何よりも二人には意気投合してしかるべき共通点がある。その一つは、共に支持率が高いことだ。

 李大統領の最近の支持率は「韓国ギャラップ」(9日発表)の調査では60%(不支持率33%)、「リアルメーター」(12日発表)の調査でも56.8%(不支持率は37.8%)あった。支持する理由については「韓国ギャラップ」では「外交」がトップで、続いて「経済・国民生活」、「意思疎通」の順だった。「リアルメーター」の調査でも「外交・経済分野の成果が支持率上昇につながった」と分析されていた。

 高市首相の支持率は李大統領よりも高く、最新のJNN(11日発表)の世論調査によると、78.1%(不支持率18.6%)となっている。支持する理由についてはこれまでの各紙の世論調査をみると、「人柄が信頼できる」「首相の指導力に期待できる」「経済政策に期待できる」が上位を占めている。

 世論調査を見る限り、李大統領は外交で躓かない限り、高市首相も指導力を問われない限り、支持率を下げることはないだろう。それだけに気になるのは奈良での日韓首脳会談で最大の懸案である領土問題と歴史問題について触れるかどうかである。

 まず、領土問題では高市首相は来月22日に迫っている「竹島の日」の島根県主催の行事に「堂々と大臣が出ていったらいい。(韓国の)顔色をうかがう必要はない」と、政務官ではなく、格上の閣僚の出席をこれまで主張していた。また、慰安婦問題や元徴用工問題で謝罪した「村山談話」についても「勝手に謝っては困る」と、韓国の反発を買う発言を繰り返していた。

 台湾問題で中国を刺激する「一言」で中国との関係が悪化した教訓から流石に高市首相は客人として招いた李大統領の前では過去の発言を繰り返すことはないであろう。中国から韓国を引き寄せるためにも「竹島」については封印するのではないだろうか。

  

 しかし、歴史問題は避けては通れないかもしれない。李大統領の訪日に随行する魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長はすでに戦前、水没事故で死亡した元徴用工(136人)遺骨発掘や遺骨のDNA鑑定に関する実務レベルの協議が行われている山口県宇部市の海底炭鉱、長生炭鉱問題などについて「両国が人道的な側面から協力できる契機をつくりたい」と発言しているからである。

 議題に上がれば、高市首相は日本の過去の負についても「一言」発せざるを得ないであろう。遺憾を表明すれば、支持勢力が失望し、表明しなければ、李大統領が落胆する。どちらにしても困った状況が生まれることになるであろう。

 もう一つの共通点は互いに選挙を控えていることだ。

 高市首相は2月早々にも総選挙を検討していると伝えられている。李政権も6月には全国地方選挙を控えている。

 過半数割れで政局運営に苦しんでいる高市政権としては高支持率を維持したまま選挙戦に突入し、単独過半数を獲得し、政権の安定を図りたいところである。李政権もまた、ソウル市長や釜山市長選で敗れるなど前回大敗した自治体選挙で圧勝し、政権基盤を強固にする必要性に迫られている。

 こうした選挙事情からも高市首相も李大統領も共に日韓首脳会談の失敗は許されないという点では運命共同体にあると言っても過言ではない。

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ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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