ばくわな実戦ファイル
file10 ひも強化策戦(一) KPロープ
■ ワインドアップ作戦総括
file06からfile09まで全四回にわたるワインドアップ作戦は如何でしたでしょうか。
ばくわなで簡単にネコを捕まえることができても、その後の確保過程でさてどうしたものかと途方に暮れたり、無茶してケガをしてもらっても困るな…という思いから、このあたりで確保作業に関してしっかり注意喚起しておかねばなるまい。
私としてはそれが作戦の第一意図だったのだが、その最低限の目的くらいは達成できたかとは思っている。
あと、まったく企図していなかったが振り返ると結果的に起承転結の四話構成でうまくまとまっていたので、これは良い導きがあったなと解すべきか…まあそんな感じで。
最終的にはやはり「各自の奮闘に期待する」部分が多くなってしまった気もするが、捕まえたからにはどこかでネコと向き合うそういう場面が出てくるのは必然である。
もともと人によって環境や捕獲目的などの違いがあるのでそこを一律にどうこうとは簡単には言えないところがある。
なので確保に関してはあれくらいでひとまず良しとしておこうと思う。
■ 残された難題
で残されたのはそう、ネコによる紐噛み切り問題である。
file08 対キリコ戦でナイロン紐が噛み切られたことで前回file09では「紐ガード作戦」で対抗してみたが、とんだ失態を招いた大失策であった。
この噛み切り問題はばくわな考案当初から少しずつ懸念されて来た問題ではあったのだが、ここはやはり何か新たな対策を考えたいところである。
以前言及したベトナムのbẫy mèoは、ばくわなと同様ネコの首を捕らえる罠だがワイヤーを採用している。
たぶんこれも最初は紐でやってたんだろうが、どうしても噛み切られるからワイヤーに替えたのだろう。
それならばくわなでもワイヤー使えば?となるかも知れないが、ばくわなの場合紐の柔軟性がかなりのキーポイントになってネコを捕らえている部分が大きいので、単純にワイヤーのような素材を使うのは難しいのである。
作って仕掛けてネコを捕まえるまでなら小学生でもできる、がばくわなの当初からのコンセプトであるからには、ここでも極力簡単な方法から探りたい。
ならばワイヤーとまでいかなくてももう少し噛み切れなさそうな紐というものはないものだろうか…とまず考えてみる。そのような代用できる強い素材があれば事は簡単である。
ナイロン紐というのは確かにネコの牙でもすぐには噛み切れないくらい強いものだが、一方柔軟で表面的にもやわらかい紐なのでネコにしてもこれは噛みやすいのではないか…という気がしないでもない。
もうすこし硬そうな、簡単には歯がくい込まないような紐、具体的には↓この標識ロープみたいなものだろうか、こういうのならどうだろう?と疑問がわく。
こんなのも苦にせずネコは噛み切るものだろうか…よくわからない。
ならば実際に試してみれば話は早かろう。
■ PEロープとKPロープ
と言ってもこの標識ロープを使うわけではない。
このロープ、材質的にはPEロープ(ポリエチレンロープ)というものでこれは太さ6mm、前回少し使ったグリーン紐も同じ素材で太さ3mmのPEロープである。
これは単純に細く加工したプラスチックを束ねてロープにしたようなもので基本硬くて丈夫なのだが、一方すべりやすく結びにくいという欠点がある。
まず硬い素材なので結ぶために曲げることからしてやや難なのだが、そこを力技で結んでも表面がつるつるのプラスチック同士がぶつかるだけでロープ間で摩擦がほとんど生じないので、いわゆる締め付けが効かないのである。
安価で丈夫ではあるもののロープワークが満足にできないロープという、ロープとしてはある意味大きな欠陥があるのだが、その欠点を補完したロープというのがある。
それが今回使うKPロープなるものである。
これはホームセンターに行けば最もポピュラーに売られている紐で、クレポリロープともトラックロープとも呼ばれている。
強力で安価なポリエチレン(黄色部分)と、滑り止め効果のあるポリエステル(白色部分)を混撚した合成繊維ロープである。
硬いポリエチレンロープに柔軟なポリエステル紐をまぜて織り込んであるので、そこにロープどうしの摩擦が生じて締め付けが効く。
つまりKPロープというのは基本プラスチックで硬い上に結びやすいというとても便利に使えるロープなのである。
ダイソーにも太さ4mmのそれらしきものが「黄混ロープ」として売られているのだが、裏面の材質表記を見ると「ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル」とある。
ポリプロピレンが含まれていてホームセンターにあるKPロープなどとはちょっと違う。KPロープの安価版みたいなものなのだろうか。
6mmのPEロープ、5mmのKPロープ、4mmの黄混ロープ の比較。
切り口はそのままだとやはりばらけやすいので、ライターであぶって軽く溶かしておくと良い。
今回は画像にある真ん中の紐、ホームセンターで購入した太さ5mmのKPロープを使う。
これをこれまでのナイロン紐と同様にもやい結びなどを使って罠にセットしてネコを待つことに。
さてどうなるか。
■ 微妙な実験結果
結果の動画がこちら。
これまでのナイロン紐と違い硬い上に三つ編み紐というややすべりにくい紐でもある。さらに太めの紐でもあったのでうまく捕獲できるか少々不安な所もあったが、問題なく一発で捕獲に成功。
ネコの反応速度も相当なものでしたが…。
そのまま三時間ほど放置して様子を見てみた。
映像にもある通りしっかり紐を噛むシーンも見られたが噛み切られることはなかった。
これは実際の今回の使用後の紐の様子だが、噛まれてた所が少し汚れてるだけで損耗などは特に見られない。
これだけ見ればうまくいったかのように見えるが…しかしである。
三時間放置してみたとはいうもののネコが逃げようとして活発に動いてたのは最初の10分か15分ほどだけで、残りの時間はほとんど寝ていただけだったのである。
ロープも少し噛んだだけで早々にあきらめたようで。
歯が立たない硬い紐だったのでそれ以上噛む気を起こさせなかったと解釈すれば思惑通りの成功ではあるのだが…どうだろうか?
総じて今回のネコはやる気なさ過ぎ根性なさ過ぎだったような気がするのである。
この一例をもって成功というのはいかにも早計かなと…。KPロープの噛み切り耐性がナイロン紐と比較してどうかなどはほとんど何も言えそうにない。
実験としては微妙なもやもやが残る結果となった。
■ 再実験
よくあることではあるが、これでは仕方がない、
もう少し噛んでもらわないことには…ということで後日ダイソーの4mmの「黄混ロープ」を使って同様にやってみることにした。
このちょっと頼りない紐ならネコもやる気を出してもっと噛んでくれるだろう、これで様子を見てみようというわけだ。
そしたらこれで捕まったネコが今度はなかなか賢くて根性のあるネコだった。
最初は普通に逃げようともがいていただけだったが、しばらくしたら噛みに専念し出して数分噛み続けたあげく見事に噛み切って逃げて行ったのである。
これが実際に噛み切られた黄混ロープである。
4mmのナイロン紐もネコが噛んでるところは今まで何回か見たことがあるが、数分噛んだくらいで切ったなんて事例は見たことがない。(file08のキリコ以外のネコは数分くらいは噛んでいても結局噛み切れないで終わっていたのである)
これを見てまず実感したことは、KPロープよりナイロン紐の方が噛み切り耐性も上だろうな、ということ。
そしてわかっていたことだが、何よりネコの個体差の方が大きいということである。
うまくいった先の5mmのKPロープも太い分噛みにくいというのもあっただろうが、
本気で噛みに来るネコなら多少時間がかかってもやはり普通に噛み切るだろうなというのは十分想像がついたのである。
■ ChatGPT
さらにその後、というかこれは最近の話。
今回の動画が撮られたのが2025年4月で、その頃はまだほとんどAIなど使ってなかったが、最近は暇な時にスマホのAIにたわいのないことを聞いて遊んでたりすることもあって今回の問題、AIはどんなことを言うだろうか、ふと興味がわいた。
ナイロン紐とKPロープを比較して、ネコの噛み切り耐性はどちらが上か、ChatGPTに聞いてみたのである。
こんな答えが返ってきた。
──────────────────────────────────
結論から言うと、猫などの獣に噛み切られにくいのはナイロンロープの方です。
理由を整理します。
① 繊維の粘り
ナイロン
繊維が強くて粘りがある
伸びるので、噛まれても力が分散しやすい
→ すぐにブチッとは切れにくい
クレポリ(ポリエチレン)
軽くて柔らかい
繊維が比較的裂けやすい
→ 噛みほぐされやすい
② 実際の噛み切り耐性
猫の歯は鋭く、前歯で繊維を引っかけてほぐします。
細いロープ(4〜6mm)なら、どちらも時間をかければ切られる可能性はある
ただし、同じ太さならナイロンの方が持ちやすい
③ 重要なポイント(太さの影響が大きい)
素材差よりも「太さ」の方が影響が大きいです。
例:
4mmナイロン < 8mmクレポリ
→ この場合は太いクレポリの方が噛み切りにくい
④ もっと噛みに強いもの
ロープ自体は「防噛設計」ではありません。
本当に噛み対策をするなら:
被覆ワイヤー入りロープ
ステンレスワイヤー
チェーン
硬質ホースで被覆する
などの方が確実です。
まとめ
比較
噛みに強いのは
同じ太さ
ナイロン
細い vs 太い
太い方が有利
──────────────────────────────────
なるほどである。
確かにネコがナイロン紐を噛む様子を見ると「前歯で繊維を引っかけてほぐす」という表現などなかなか的を射ているなと。
ナイロンは柔らかいから結果粘りがあって強いというのは逆説的で面白い観点だ。
太さの方が重要というのもその通りだろう。
べつに何か有用な答えを期待して聞いたわけでもなかったのだが瞬時にはじき出されたこの答えを見て、素直に感心した。
今回実戦を通して私がなんとなく感じたことを、さらにしっかり理論付けてうまくまとめているもんだなと納得したのであった。
ただ、ナイロン紐がKPロープより噛み切られにくいというのは単純にネコが噛み続けた場合という前提があっての話であって、実際にはそれも違うかもとは見ている。
本当に強い力を持ったネコならどんな紐がこようと関係なく噛み切るんだろうがそんなネコは多くはない。
今回の動画のネコのように、硬い紐が早々にネコの噛む気を削ぐ可能性も十分あるのであって、そうなると5~6mmのKPロープを使った方が同じ太さのナイロン紐と比べても実戦においては結果的に噛み切られにくいかもしれないのである。統計的な確率としては。
そのような検証は実際には難しいしあまり意味があるとも思えないのでするつもりもないが。
結局今回は、KPロープも噛み切り耐性においてたいした強度はないという負の検証をしただけに終わったようなものである。
まあこのような負の検証も次の段階に進むための重要な一歩ではある。
どうもこの噛み切り対策、その場しのぎというかその場の思いつき程度の安易な策ではうまくいきそうにないな、というのがこれまでいろいろやった上での感想である。
今回は、問題提起回として見ればまずまず・・・・かなw
次こそはどんな強いネコが来ても大丈夫な策を考えたいところである。
ということで次回に期待。
2026年2月22日
by 皆ショ計画