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立浪監督のリーダーシップの問題はどこにあるのか

今日は野球の話を書きます。というのも、中日ドラゴンズの成績がとんでもないことになっていて、愛知生まれの自分としては言及しないわけにいかないからです。

中日ドラゴンズの成績は8月26日の試合終了時点で41勝69敗の「借金28」で断トツの最下位。2年連続の最下位の可能性が高くなっています。ですが、元々投手力は12球団随一の評価があり、打線も今年は新戦力の台頭もあり打率は前半戦でリーグ4位と、それほど最悪でもありませんでした。

ですが、結果としては最下位にあえいでおり、首脳陣の指導力の無さが指摘されています。とりわけ立浪監督の采配が批判の対象となっています。

私は野球の専門家ではないので采配の是非は判断できませんが、「リーダーシップ」の観点から見ても立浪監督にはいくつか問題点があるように思います。立浪監督の何がいけないのか、いくつか考察をしてみたいと思います。

「主観」で選手を評価している

昨年から立浪監督のリーダーシップには既に疑問符が付き始めていましたが、一つのきっかけとなったのは昨年5月の「京田選手の2軍強制送還事件」でしょう。

確かに当時、京田選手のプレーは精彩を欠いていました。二軍に落とされても仕方がない状況でしたが、最終的な理由として立浪監督が「戦う顔をしていない」という表現を用いたのが話題となりました。

リーダーが部下を評価するとき、特に悪い評価をするときほど「客観的な事実」に基づいて行わないといけません。プロですから単純に「成績が出ていないから」で良いのです。「戦う顔をしている」かどうかは主観的な評価ですから、言われた本人も納得がいかないでしょう。

ビジネスでも、例えば「もっと気合を入れろ」といった「主観に基づくフィードバック」はNGとされています。なぜならば主観による判断は一貫性が担保されず、公平性を欠くからです。誰が気合が入っていて、誰が気合が入っていないのかは客観的に説明が出来ないでしょう。

もうひとつの理由は、「改善に繋がりにくい」からです。「戦う顔をしろ」と言われても、本人は全力で頑張っているつもりであれば改善点が良くわからず、フィードバックした効果が得られません。「エラーを減らせるようもっと練習しろ」と言われた方がずっとマシです。

このように、リーダーが主観によるネガティブフィードバックをしつづけると、リーダーの顔色をうかがう組織が出来上がってしまいます

部下の専門性を信用していない

同じく昨年5月に、打撃コーチを突然更迭するという事件がありました。

部下であるコーチを入れ替えるということは時にありえることですが、シーズンが始まったばかりの5月に配置転換というのは異例の事態なので、いったい何があったのか?と話題になりました。それ以外にも、立浪監督はコーチを飛び越えて選手を直接指導する場面が多いことで知られています。

企業でも「トップが中間管理職を飛び越えて指示を出す」というのは悪手中の悪手です。飛び越えて指示を出されると、中間管理職のメンツはつぶれてしまいます。そしてその行為によって「お前たちを信用していない」という明確なメッセージが出てしまうので、それ以降中間管理職が主体的に行動することは無くなってしまいます。

特にプロスポーツチームのような世界では、コーチを専門家として扱うべきです。監督として自分は全体を見るけれど、打撃のことは打撃コーチ、投手のことは投手コーチに、コンディションのことはコンディショニングコーチに(栄養のことは栄養士に)、など各分野のプロとして任せるべきです。そうでなければ、チーム全体を強化することはできないでしょう。

比較になってしまいますが、以前も取り上げた栗山監督は「コーチに任せる」ことについて、以下のように書いていました。

コーチにはそれぞれに考えかたがあり、コーチを任命したのは他でもない私です。ならば、彼らを信頼して任せるべきでしょう。私がやるべきなのは口 を出すことではなくコーチの話をしっかりと聞き入れ、それでいいのかどう かを判断することなのです。コーチ陣にはいつも、「僕より野球をよく知っ ているから、ここで仕事をしてもらっているのだよ」と伝えています。

『栗山ノート』より

リーダーの仕事の成果は「どれだけ自分より優秀な人に働いてもらえるか」で決まります。部下の仕事に口ばかり出していては、優秀な人は逃げていってしまい、どんどん組織のレベルは下がっていきます。

立浪監督は現役時代、天才プレイヤーで知られていたので彼より優秀な人はあまり周りにいなかったかもしれません。ですが、リーダーの立場になった今は、優れた側近を集められるかどうかが大きな課題になっているのではないでしょうか。

「部下を守る」ことが出来ていない

直近のゲームですが、二軍から上がってきたばかりの近藤選手に10失点させても交代させなかったことが批判の対象になりました。

あまりの惨状に敵チームの応援団からもエールが飛んだり、終了後は相手選手からもフォローが入ったりする状況でした。「酷なことをした」と自分でわかっているのであれば、早く交代させてあげるべきでした。そうしなければ、若くて才能のある選手の将来がつぶれてしまいます。

上司の仕事は部下を守ることです。部下が全力で仕事ができるよう、環境を整え、例え失敗しても次につながるように安心させてあげること。それによって部下に「このリーダーのために頑張ろう」というモチベーションが湧くのです。今回の対応はその逆であるばかりか、他の選手の士気をもそぐリスクがあるような行為ではないでしょうか。

他にも立浪監督は、敗戦を部下の責任にするような発言が多いと言われています。

「今年は昨年よりひどい状態になっている。ピッチャーはもう1回攻める気持ちをもってやってもらわないと。」(8月22日、敵地13連敗後のコメント)

▼敵地で3連敗 「試合なので勝ち負けはあるけど、同じチームにね。われわれもいろいろ策を練らないといけないけど、選手も悔しさをもってやってくれないと変わっていかない。選手の責任にするつもりもないけど、ガッと向かっていく気持ちを出して戦ってほしい」(8月10日、3連敗後のコメント)

▼今季はバンテリンで勝てていない 「打線が点を取れてないというのもあるけど、ただやっぱり攻める姿勢みせないと変わってこないかなと思う」(8月6日、敗戦後のコメント)

中日スポーツ「立浪監督語録」より

毎回ではないものの、最後は「選手に〇〇してほしい」というコメントで終わることが多いです。特に「気持ちを出してほしい」という発言は、上述した通り「主観」なのであまり効果的ではなく、これを言われたからといって奮起には繋がらないと思います。

もちろん、別なインタビューでは「結果は全て受け止める」という発言をしているものもあります。ですが、多くの場合、その後に「選手たちも受け止めてほしい」といった、"他責"の言葉がくっついていることが多いです。そしてたいていは、後に出た言葉の方が本音です。こうしたなにげない言葉の端々に腹の中で思っていることが表れてしまうものです。

確かに選手やチームに対してもどかしさはあるのでしょうが、「敗軍の将、兵を語らず」と言います。結果を自分で受け止める姿勢が無いと、部下はついてきません。

立浪監督はリーダーとして経験不足

立浪監督は他にも、戦力の供給源である二軍との連携が取れていなかったり、練習を十分にしていない守備位置につかせてしまったり、明らかに采配ミスと思われるような指示があったりと、随所にリーダーとしての経験不足が露呈してしまっています。

しばしば言われるように、プレイヤーとリーダーの仕事は似て非なるものです。「自分が動けば動くほど、結果が出なくなる」という点においては、ある意味で真逆ともいえる仕事です。

多くのプレイヤーが、人を指導する立場に身を転じた時に、同じようなことにつまづきます。そうしたリーダーとしての能力は、実際に苦労しながら人を指導して、初めて身に着く能力です。コーチ未経験で監督になった立浪監督には、残念ながらそうした修業期間が不足していたのではないでしょうか。

以上、今日は立浪監督のリーダーシップについて考察してみました。

若くて有望な選手が豊富な中日ドラゴンズですから、これから成績が上向いてくることを期待しています。



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コメント

3

大変分かりやすかったです。
立浪監督の例があるので尚更😅

主観のフィードバックNGは
日本に定着する企業には
まだ新鮮かもしれません。

ぜひ投稿や著書を引用させていただきたいと思いました!

Jack
Jack

はじめまして!コメント頂き嬉しいです!
確かに、巷で行われるほとんどのフィードバックは主観かもしれませんね。
「社外メンター」素敵な響きです、、、ニーズ沢山ありそうですね!

お返事ありがとうございます😊

ニーズはありそうなのですが
営業が下手です🤣

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