日本産水産物輸入問題で立場が一転する韓国の与野党 親日、反日ではなく、与党か、野党かで態度が豹変!
韓国は政権が代わっても、外交の悪習は変わらない。大統領が訪問先で話し合ったことや約束したことを国民に明かさず、ひた隠しにする。正確に言えば、野党の追及を恐れ、また、世論を気にし、しらを切る傾向がある。
何よりも不可思議なのは、与党の時と野党の時とで言動が、立場が豹変することだ。その傾向は外交、とりわけ対日問題で顕著に表れる。
今月9日、国会で開かれた政治・外交・統一・安全保障分野に関する政府への質問で、日本の水産物の輸入問題が取り上げられた。
質問に立ったのは保守野党・国民の力に所属する6期連続当選の朱豪英(チュ・ホヨン)議員である。元党院内代表で、現在は国会副議長を務める重鎮だ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)前政権下の2024年7月からは韓日議員連盟会長を務め、韓国屈指の「知日派」とされる。
朱議員は金民錫(キム・ミンソク)首相に対し、李在明(イ・ジェミョン)大統領が1月に訪日した際、「日本水産物の輸入再開の意思を示した」との一部報道があったが事実か」と追及していた。
これに対し金首相は「(輸入再開について)議論されたことはないと承知している」と答弁。それでも朱議員は、李大統領が共に民主党代表時代に福島の処理水を「毒物」と表現し、民主党関係者らも反対デモに参加していたことを挙げ、「日本水産物を輸入するなら、まず民主党議員から説得すべきではないのか」と皮肉ってみせた。
さらに朱議員は、金首相が野党議員だった2024年8月、汚染水放流から1年が経過した時点で、当時の尹政権が「韓国の海が汚染される心配はない」と説明していたのに「我が国の海岸に有害要素が実際に到達するまで5~10年かかるとの主張もある」として早期再開に反対していたことを取り上げ、「(再開を判断するまで)10年待つ考えか」と、詰問していた。
これに対し金首相は、「民主党議員を説得するかどうかの問題ではなく、現在輸入が制限されている日本水産物が一定期間を経て十分に安全と見なせるかどうかについての科学的判断が優先される」とし、「それに対する国民的な共感が形成されれば進めることができる」と答えたが、朱議員は「李大統領が過去に日本水産物を毒物に例えた発言を念頭に置いて判断すべきではないのか」と揶揄。
金首相が「水産物の再開についてはまだ日本とは協議していない」との答弁を繰り返すと、「まだ話し合われていないなら幸いだ」と述べ、尹前政権の輸入解禁に反対していた李在明政権下での解禁に抵抗する姿勢を垣間見せた。
それにしても、金首相の答弁は明らかに虚偽である。
というのも、李大統領は日本訪問直前、NHKとのインタビューで「今回の日韓首脳会談では日本産水産物の輸入問題が重要な議題となる可能性が高い」と述べ、「CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)への加盟において日本の協力を得るためにもこの事案が重要な議題だ」と語っていたからだ。
また、李大統領の訪日に随行した魏聖洛(ウィ・ソンナク)青瓦台国家安保室長に至っては日本で行った韓国同行記者団向けブリーフィングで日韓首脳会談では水産物輸入規制問題について「日本側から食品安全に関する説明があり、我々はその説明を聴取した」と明らかにしていた。
さらに、外交の司令塔である趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官も先月29日にソウルの寛勲倶楽部主催の討論会で、原発処理水について「汚染水」ではなく、日本政府が用いる「処理水」という表現を使っていた。これは明らかに輸入解禁に向けた環境整備と言えなくもない。
日本水産物の輸入規制問題は、2023年3月に尹錫悦大統領(当時)が来日し、岸田文雄首相(当時)と会談した際にも、日本では「岸田首相が日韓慰安婦合意の履行と輸入規制解除を求めた」と報じられた。しかし尹政権は最後まで「議論していない」と主張していた。
当時、尹大統領は訪日前から日韓の懸案を「グランドパッケージで解決する」と公言していた。日本が半導体素材の輸出規制解除に応じ、韓国を「ホワイト国(優遇対象国)」に再指定すれば、韓国も2013年9月から禁止していた福島などの水産物の輸入を解禁するというのが骨子だった。首脳会談は約85分にわたって行われており、懸案が話し合われないはずはなかった。
いつの時代も、日韓の懸案を処理・解決することは、時の政権にとって重荷である。必ず野党が反対し、世論が騒ぐからだ。
過去には、金大中(キム・デジュン)政権発足まで与党だったハンナラ党(国民の力の前身)が、金大中政権が苦労の末に妥結した日韓漁業協定について、「独島(竹島)」の表記がなく中間水域に含まれたことを理由に辛辣に批判した。竹島問題を棚上げし、日本の要求をのんだとして「典型的な屈辱外交」と非難し、協定破棄を迫ったことがあった。
また、竹島周辺の海底地形の韓国名称申請をめぐり日本と対立した盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権下でも同様の現象が見られた。日本政府が「国際会議で韓国が申請を断念しなければ海洋調査を実施せざるを得ない」と強硬姿勢を示し、衝突を回避するため盧大統領が申請を取り下げると、保守野党は「屈辱外交」「弱腰外交」「売国外交」と罵倒した。
対日問題では、保守であれ進歩であれ、与党(政権党)になれば日本との外交を進める一方、野党に転じれば政府の対日姿勢を攻撃する。これが昔も今も変わらない韓国政界の「掟」である。
(参考資料:韓国は政権が交代する度に対日政策がくるくる変わるから困る)