木下グループ社長、黎明期からのペア支援が実る りくりゅう快挙の陰の立役者/フィギュア
ミラノ・コルティナ冬季五輪第11日・フィギュアスケートペアフリー(16日、ミラノ・アイススケートアリーナ)ショートプログラム(SP)5位と出遅れた愛称「りくりゅう」の三浦璃来(24)、木原龍一(33)組=木下グループ=が、フリーで世界歴代最高得点をマークし、ペアで日本勢初のメダルとなる金メダルを獲得した。 【写真】木原龍一のアルバイト同僚が聞いた三浦璃来のすごさ 「りくりゅう」の所属先でペアを長年支援してきた木下グループの社長兼CEOの木下直哉氏(60)がサンケイスポーツの単独インタビューに応じ、ペアやアイスダンスを黎明期から支えてきた歴史や、「りくりゅう」へのサポートについて語った。(取材構成・鈴木和希) 木下グループがフィギュアスケートに初めて関わったのは、「ジャパンオープン」の大会協賛を務めた2006年。当時から日本連盟の知人に「2014年のソチ五輪から団体戦ができる。このままでは日本はカップル競技が弱いが、強化費が回らない。支援してくれないか」と口説かれていた。そこで視察として全日本選手権を訪れると、衝撃を受けた。当時はまだシングルに比べてペアやアイスダンスのレベルは低く、人気も乏しく会場はガラガラ。「シングルとのレベルと人気の落差で支援することを決めました」。何かを変えられるかもしれない─。可能性を感じ、09年からアイスダンスのキャシー・リード、クリス・リード組へのサポートを始めた。 以降はペア、アイスダンスの支援を継続。「りくりゅう」もペア結成時の19年からサポートしている。シングルに比べてペアやアイスダンスは2人分の費用が発生する中、海外を拠点に練習する2人の活動費や遠征費などを負担。さらに、22年からは「りくりゅう」の応援バナータオルを製作し、その売り上げを活動費に充当する運動を開始。「当社は製作費があるので、タオルをつくればつくるほど赤字なんですよ」と笑うが、「『りくりゅう』をたくさんの方に知っていただきたい。応援していただきたいんです」との親心が込められている。 高橋成美さんとペアを組んでいたときから10年以上、木原を支援している木下社長。須崎海羽さんとのペアで出場した18年平昌五輪では、現地で木原に「あと何年かしたらコーチをやらない?」と打診したこともあった。それでも三浦と組んだ後は「体つきがガラッと変わった。1日に7回もご飯を食べていると言っていた」。肉体の成長とともに世界トップレベルのペアにまで駆け上がり「コーチの話はまだまだ先でしょうね」とうれしそうに笑う。
「りくりゅう」の活躍が光り、22年北京五輪では団体で初の銀メダルを獲得。今大会は団体で銀、ペアで日本勢初の金メダルを獲得した。「昔はカップル競技は『シングルには通用しない』という烙印を押されるような感じでしたよね。でも今はそうではない。いろんな人がやっていくのはいいですよ。競技者が増えると層が厚くなって競争が起きますから」。今大会に出場したアイスダンスとペアの日本代表選手は全員木下グループ(木下アカデミー)所属。日本のフィギュア界の躍進の陰には、黎明期から15年以上カップル競技を支え続けてきた企業の存在があった。