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Conversation

西周成先生、はじめまして。 西先生はロシアの専門家ですので、すでにご存じのことも多い(そのうえであえて引用RPなさっている)ことと理解しておりますが、事情をまったく知らない方々の理解のためにも、重要な事実関係のみ整理させていただきます。 ① ウクライナでは「それまで(=2014年まで)」、ロシア語が「公用語だった」との西先生のご主張ですが、ウクライナの憲法(第10条)は、「国家語」はウクライナ語だと定めつつ、同時にロシア語を含む少数言語の自由な発展・使用・保護を保障しています。 国家レベルでは、ロシア語がウクライナの公用語(国家語)だった事実はありません(国家語はウクライナ語です)。 (ただし地方レベルでは、特定地域でロシア語が「地域言語」等として公的場面で使われ得る制度が置かれた時期があります) ②「ロシア語の公的使用を禁じた」という記述も、不正確ではないでしょうか。 2014年2月23日に、ウクライナの議会は2012年の言語法(いわゆる「地域言語」等の扱いを可能にした法律)を廃止する決議を採択しましたが、当時の大統領代行トゥルチノフは署名せず、成立しませんでした。このため、この時点で「公的使用を禁止する法律」が発効したわけではありません。 ③ 2019年の国家言語法(国家語としてのウクライナ語の機能確保に関する法律)は、行政・公的サービス等の多くの公的領域でウクライナ語使用を「原則化」しました。しかしその同じ本文で、この法律は「私的コミュニケーションや宗教儀礼には適用しない」と明記されています。 つまり「ロシア語を禁止」というご主張は、この点でも正確ではないように思われます。(スクリーンショットのベニス委員会2019年報告書もご覧くださいvenice.coe.int/webforms/docum) なおこの点に関しては、国連人権監視団(OHCHR/HRMMU)の分析ノートも、憲法がロシア語等の「自由な発展・使用・保護」を保障していることを明記しつつ、2019年法が主に「公的生活の広い範囲で国家語(ウクライナ語)の使用を規律する」枠組みであることを整理しています。ukraine.un.org/sites/default/ ④ ウクライナはEU加盟を目指しているので、EU加盟基準に従って、少数民族法、国家語法、メディア法、教育法等の見直しや改正を求められているのは事実です。 この点について、最新(2025年11月)の欧州委員会報告書(加盟候補国にとっての通信簿のようなもの)は、ロシア語話者に限らず、ルーマニア語話者やハンガリー語話者なども含めた非ウクライナ語話者の保護・尊重のための一定の枠組みは整ったと評価した上で、次は運用・実施を進める段階に入った、と指摘しています。enlargement.ec.europa.eu/document/downl …つまりご主張のような「ウクライナはロシア語使用を禁止した」という通説は根強く存在するものの、それは正確性を欠いた記述であると思われます。
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Сюсей Ниси
@ShuseiNishi
民族が違うからと言っていきなり差別し始め、それまで公用語だったロシア語の公的使用を禁じた2014年以降のウクライナ政府には、どんな「理屈」があったのでしょうね。 x.com/AtsukoHigashin…
Readers added context
ウクライナでは1989年以降、ウクライナ語が唯一の公用語とされており、ロシア語が公用語であった時代はありません。 minelres.lv/NationalLegisl… osw.waw.pl/en/publikacje/… また、2017年5月にウクライナは、ロシア語書籍の輸入禁止やTVでのロシア語使用を制限する措置を取っていますが ロシアはその3年前の2014年にクリミアへ侵攻しており、「理屈」があると言えます。 ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD… なお、ゼレンスキー大統領は、ウクライナ東部出身で、ロシア語を母語として育っています。 ウクライナ語は2019年に大統領になってから特訓して身につけたものです。 kyoto-su.ac.jp/faculty/ir/202…