寝ないと、受からない? 受験生の睡眠時間が合否を分ける理由と、親ができること
3:受験生の睡眠時間の実態
多くの受験生が、焦りから深夜まで机に向かいがちですが、深夜の勉強は、日中に比べると効率が低下しています。夜更かしが習慣化すると、体内時計が後ろにずれ込み、午前中の論理的思考力が高まる時間帯に脳が働かなくなるという、非常にもったいない状況が生じています。 健康食品メーカーの株式会社ファイン(大阪市)が2024年12月に実施した調査によると、受験生の約9割が「睡眠は大切」と感じている一方で、約4割が「よく眠れていない」と回答しています。その理由として多かったのは、「勉強時間を確保したい」「不安で眠れない」「寝つきが悪い」「寝ても疲れが取れない」といった声でした。さらに、睡眠を重視する理由としては、「寝ないと集中できない」「寝ることで記憶が定着する」「寝ないとパフォーマンスが悪くなる」など、自分でも睡眠の重要性を理解している受験生が多いこともわかります(参照:体調管理・睡眠に関する意識調査|PR TIMES)。 しかし現実には、約9割の学生が平均睡眠時間8時間未満という結果が示されており、これは厚生労働省が推奨する中高生の理想睡眠時間(8〜10時間)を大きく下回っています。つまり、受験期の多くの高校生は「睡眠の大切さを理解しているのに、十分に眠れていない」というギャップを抱えているのです。 このように、睡眠不足は脳の回復や記憶の定着を妨げ、翌日の学習効率を下げる要因となります。「夜遅くまで頑張る」ことが、結果的に「学習効果を落とす」ことにつながるといったことが、今の受験生に見られる現実です。
4:受験生にとっての理想的な睡眠時間とは
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」では、中高生には8〜10時間の睡眠が推奨されています。これは、成長ホルモンの分泌や記憶の整理・定着など、心身の発達にとって欠かせない時間だからです。この観点から見れば、受験期であっても8時間前後の睡眠は本来確保すべき理想値といえます。しかし現実には、第3章で見たように、受験生の約9割が8時間未満しか眠れていません。その理由は、学校や塾、家庭学習などで生活リズムが不規則になり、就寝時刻が遅くなる傾向があるためです。 睡眠は、脳を休めるためのノンレム睡眠と、体を休めるためのレム睡眠が交互に繰り返されるサイクルで構成されています。この1サイクルは約90分であるため、5サイクル(約7.5時間)が、現実的かつ学習効率を維持できる睡眠時間といえます。 したがって、受験生が目指すべきは最低でも7.5時間を確保しつつ、毎日同じ時刻に就寝・起床する「安定したリズム」です。特に受験直前期ほど、記憶の最終整理やメンタルの安定、当日の体調管理のために睡眠をしっかりととることが、合格への近道となります。