寝ないと、受からない? 受験生の睡眠時間が合否を分ける理由と、親ができること
2:理想の睡眠時間と、平均睡眠時間
成長期の受験生にとって、適切な睡眠時間を確保することは心身の健康と学力向上の両面で不可欠です。では、具体的にどのくらいの睡眠時間を確保したらいいのでしょうか。ここでは、医学的な推奨時間と現在の日本における平均的な実態を比較しながら、睡眠時間の目安を提示します。 (1)中高生の理想の睡眠時間 厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」によると、中高生は8~10時間の睡眠時間の確保が推奨されています(参照:健康づくりのための睡眠ガイド 2023 p.15|厚生労働省)。 この値は、成長ホルモンの分泌、記憶の整理、情緒の安定など、心身の健全な発達に欠かせない時間です。睡眠が不足すると、脳の働きを担う前頭前野の活動が低下し、集中力や判断力、感情のコントロールが難しくなります。特に、7時間未満の睡眠が続くと、学業成績の低下や精神的健康への悪影響が生じることが報告されています。受験期には「時間を削ってでも勉強したい」と考える受験生が多いものの、睡眠不足はその努力を相殺してしまう危険があります。夜遅くまで勉強するよりも、しっかり眠って脳を回復させるほうが、翌日の理解力や記憶の定着を高める合理的な学習法といえるでしょう。 (2)学年別の平均睡眠時間 学年が上がるにつれて睡眠時間は短くなり、高校生になると理想とされる時間を下回る傾向があります。学年が上がるほど、学校・部活動・塾・自宅学習などの活動時間が増え、就寝時刻が遅くなりやすいためです。この結果、必要な睡眠時間を十分に確保できないまま翌日を迎える生徒が多くなっています。 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」によると、学年別の平均睡眠時間は次の通りです(参照:令和3年社会生活基本調査結果|総務省統計局)。 学年 睡眠時間 小学生 9.0時間 中学生 8.4時間 高校生 7.7時間 その他の在学者 8.3時間 このデータから、小学生と比較して高校生では約1時間以上睡眠時間が短くなっていることがわかります。受験期の学習計画を立てるうえでは、勉強時間だけでなく「どれだけ睡眠を確保できているか」も意識することが重要です。