氷室冴子先生が「銀の海 金の大地」の執筆開始を決意するきっかけとなった(?)1990年5月の新聞記事に載っていたドラクエ風のポスター(遠隔複写申請用)
氷室冴子、伝説の古代転生ファンタジー開幕!
「銀の海 金の大地1」
(著者:氷室冴子、装画:飯田晴子)
「銀の海金の大地」特集!
飯田晴子先生の試し読み漫画もあります✨
【要点】
①「氷室冴子読本」p.205に載っていた「1990年5月の新聞記事」は
朝日新聞 東京版 1990年5月28日朝刊29面「水道週間ポスター、一夜で“蒸発” 若者
狙いアニメ使用」でした。
② 国立国会図書館の遠隔複写サービスを利用してこの新聞記事のコピーを取り寄せできます。
(申請方法)
③地元の図書館でも、朝日新聞(東京)縮刷版やがされていれば記事の閲覧、複写ができます。郵送依頼もできます。(申請方法)
【追記】朝日新聞クロスサーチが導入されていれば端末で記事の閲覧、プリントアウトも可能です。
④おまけ:許諾の壁
⑤ポスターの作者は菊池通隆(麻宮騎亜)先生でした!!
⑥新聞記事に載っていたポスター、これです。
①『氷室冴子読本』
には、氷室冴子先生が「銀の海 金の大地」を「書きたい」と明確に思いたった(?)瞬間が以下のように書かれています。
ああ思いおこすも懐かしい、今から3年前の1990年の5月。東京都だかどこだかの水道局が制作したマンガイラストのポスターが、あっというまに盗まれるという新聞記事を読んでいるとき、そこに載っていたヒロイック・ファンタジーのヒーローみたいなイラストをみて、なぜか天啓をえる。「あー。もうダメだ。こういうの書きたい。こういうハッタリきいた歴史ファンタジーふうの物語が絶対、書きたいのよう! 雑誌の連載がどうしたとか、そんなこといってる場合じゃない。いま持ってる全部の連載きって、古代ものの準備しよう」と思いたって、コバルト担当の川野氏に「古代もの書く準備したいから、無期限でコバルトの仕事、やすみま~す」といっていたという……
(著者:氷室冴子責任編集、徳間書店、1993.7)
※補足ですが、氷室先生は「クララ白書」(1980)に劇中劇「佐保彦の叛乱」を登場させ、1986年には古代ファンタジー「ヤマトタケル」を書かれています。
氷室先生が長年、古事記をモチーフにした古代ものをいつか書きたいという気持ちを持ち続けていたところでこの新聞記事(ポスター)と出会った、という経緯(おそらく)なのでポスターのイラストを見て突然古代ものを書こう!と思いついたわけではありません。
※「氷室冴子読本」は国立国会図書館のデジタルコレクションの送信サービスで閲覧できます。(無料。本登録必要)
この文章を読んで、「氷室先生が見たポスターって、どんなポスターだろう。見たい」と思い、色々検索しましたが見つからず、
結局、地元の県立図書館のリファレンスサービスを利用しました。
そうしたら、翌日にはもう回答が来ました。
有能すぎる…!
回答を受け取って図書館に行って閲覧しようか郵送で複写依頼(切手+定額小為替が必要)しようか考えつつ、「郵便局はもう閉まっているし、とりあえずスマホですぐに依頼できる国立国会図書館の遠隔複写サービスを先に依頼しよう」と思い立って依頼しました。
(後日、地元図書館にも郵送で複写を依頼しました)
②国立国会図書館(NDL)の遠隔複写サービスで1990年5月28日の新聞記事のコピーを取り寄せる方法
(遠隔複写申請にはNDL本登録が必要です)
・このURLを開いて「出版年: 1990年5月」を選択する。https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000054633?from=0&f-year=1990&f-month=1990-05&select=5134777#archive
・「申込カートに入れる(遠隔複写)」を選択し、以下の通り入力して申請する。
【タイトル】
朝日新聞、[東京]
【巻号年月日など】
19900516-19900531
【記事・論文名 】
「水道週間ポスター、一夜で“蒸発” 若者狙いアニメ使用」
【巻号、ページ 】
朝日新聞 東京版(朝刊)
1990年5月28日29面
・コピーが届いたら料金を支払う。
(コンビニ支払い用の払込取扱票が同封されて来ます。銀金振込でもOKです)
複写申請したので@140×2になっていますが、
5月28日の記事だけなら数量1なので
もう少し安いです。
③地元の図書館で閲覧・複写する方法
閲覧する場合はカウンターで「朝日新聞 東京版 縮刷版の1990年5月分を閲覧したい」と伝えれば良いそうです。
事前にメールか電話か蔵書検索で朝日新聞縮刷版の所蔵の有無を確認しておくと安心です。
朝日新聞縮刷版
1990年5月28日朝刊 29面
「水道週間ポスター、一夜で“蒸発” 若者
狙いアニメ使用」
※ちなみに翌5月29日朝刊の27面に訂正記事が載っています。(訂正内容:ドラクエ3のキャラクターデザインは菊池氏ではなく鳥山明氏)
図書館に行くのがむずかしい場合は郵送での複写申請も可能です。
料金や依頼方法は図書館によって違うかもしれたせんが、私が問い合わせた県立図書館の場合は、5月28日の記事と翌日の訂正記事の複写料金と送料をあわせて
130円でした。(国立国会図書館に複写申請するより安いですね)
※ちなみに定額小為替50円を買うのに手数料100円かかりますが、県立図書館に行くための電車賃とバス代だけで往復2000円弱かかるので、郵送で済むのは辺境民には本当にありがたいのです。(近くの市立図書館には縮刷版がなかったのです…)
【2/21 0:52追記】
白百合女子大学の山中智省先生が投稿してくださったのですが、「朝日新聞クロスサーチ」というデータベースを導入している図書館なら、
縮刷版を出してもらわなくても記事のpdfが閲覧できるそうです!!
調べてみたら、我が県の県立図書館の「アクセスコーナー」にもありました!!
図書館が近くにある方はぜひ!
(特に大学図書館って、このあたりのデータベースがものすごく充実してますね…!)
→氷室先生がご覧になった新聞記事は
朝日新聞 東京版 1990年5月28日朝刊29面「水道週間ポスター、一夜で“蒸発” 若者
狙いアニメ使用」です!
『朝日新聞』の場合、近隣の大学図書館や公共図書館が「朝日新聞クロスサーチ」を導入していれば、オンラインで当該記事をPDF等で確認可能です。https://t.co/y0wgDeFvrV
— サンチュー (@tomo_int) February 20, 2026
記事のプリントアウトもその場で可能かと思います。
例:東京都立図書館https://t.co/fYiqk6nynH https://t.co/QJwX1Lf19C
④おまけ: 許諾の壁
国立国会図書館から取り寄せた新聞記事のコピーを手にして、本当に感動で心が震えました。
マイクロフィルムから印刷した新聞記事なので、写真は結構黒く潰れていて、なんとなくしかわからないけれど、それでも「これが氷室先生が見た新聞記事なんだ。このポスターを見て先生は銀金を『書きたい』と思われたんだ…」と思うと、黒っぽい写真の中のポスターが輝いて見えました。
「このポスターを、他の氷室冴子ファン、銀金ファンの方たちにも見て欲しいな…」と思った私は「朝日新聞の記事だから、著作権利用料?を支払って記事の二次利用の許諾を得ればnoteに載せられるのかな?」と、ダメもとで公式サイトから申請をしてみました。
すると、2時間ほどで朝日新聞の関連部門担当者様から返信がありました。(爆速!)
要約すると
・記事を個人のsns(note記事)で利用→可能
・利用料金 22,000円(税込)
・承諾期間は最長1年間
(継続する場合は再度申請が必要)
利用可能!!
ありがとうございます!!(心の声)
ダメもとだったのに!!
と、しばらく大喜びしていましたが、ふとメールを読み直すと…さらっと注意事項に
「ポスターは三鷹市と国(厚労省)に著作権があるからそっちの許諾も取ってね⭐︎」(意訳)みたいなことが書いてあります。
三鷹市と…国(厚労省)…!
しゅ、主語が大きい…!
まあ、一応確認してみよう…ということで、三鷹市水道局(当時)を吸収した(?)東京都水道局の公式サイトから指定の手順に従って「写真等提供申請書」を送信してみたところ、
担当者の方からお電話がありました。
どうも、吸収以前のことは三鷹市の管轄らしく、そちらに問い合わせて欲しいと…。
同時に厚労省の問い合わせ窓口(総合案内)に問い合わせしてみたところ、水道局は現在は国土交通省の管轄らしく、そちらに問い合わせて欲しいと…。
うーん…冷静に考えて、利用料を支払えば許諾をもらえる新聞社(ありがとうございます)とは違って、「SNSで他のファンの人に共有したいんです♪」という個人に
三鷹市と国道交通省から転載許可が出るとは思えない…
ということで、「正式に許諾を得てnoteに新聞記事の写真を載せる」というのは一旦諦めました。力不足で申し訳ありません。(※⑥に元になったポスターの現物写真のリンクがあります)
ご興味のある方はぜひ、国立国会図書館の複写申請サービスか地元図書館をご利用ください。
ちなみに、『氷室冴子: 没後10年記念特集 私たちが愛した永遠の青春小説作家 (文藝別冊)』(河出書房新社、2018.8)の中の「1992年 氷室冴子インタビュー」には「ドラクエのポスター」と書かれています。(※ 元々は『あかね』第38号、共立女子短期大学国語研究室、1993年3月、に掲載されていたインタビューの再掲だそうです)
記事には「ドラゴンクエストⅢ」のキャラクターをデザインした若手イラストレーター」を起用した旨が書かれていました。このイラストレーターは菊池通隆氏だと書かれていましたが、翌日の訂正記事には「キャラクターをデザインしたのは菊池さんではなく、漫画家・鳥山明さん」と書かれていました。→⑤参照
35万円で依頼して、500部印刷したそうです。
盗まれた数枚以外は公共施設、学校、水道の指定工事店などに貼られたそうです。
(こんな構図なんです!と伝えたいのに
伝わらなくてすみませんの図↓)
⑤ポスターの作者は菊池通隆(麻宮騎亜)先生でした!!
1990年5月29日の訂正記事を読んで「へえ、ポスターを作成したのは菊池通隆先生ではなく、鳥山明先生だったのね」と思ったのですが、
ポスターの絵柄を見ると、なんとなく鳥山明先生の絵柄より、菊池通隆先生の絵柄に似ているような気もする…?(不鮮明なので自信なし)
5月28日の記事には
>このポスターはテレビゲーム「ドラゴンクエストⅢ」のキャラクターをデザインした若手のイラストレーター、菊池通隆さんを起用。
(朝日新聞 東京版 1990年5月28日朝刊29面より)
とあり、翌5月29日の訂正記事には
>キャラクターをデザインしたのは菊池さんではなく、漫画家の鳥山明さんの誤りでした。
(朝日新聞 東京版 1990年5月29日朝刊27面より)
とあるので、ポスターを作成したのは鳥山明先生なのかと思ったのですが
訂正が「ドラクエ3のキャラクターデザインをしたのは誰か」という部分に関する訂正なら、
「ポスターを制作したのは菊池通隆(=麻宮騎亜)先生ですが、ドラクエのキャラクターデザインは(菊池先生ではなく)鳥山明先生でした」という意味かもしれません。
どっち…!?
という疑問をXでつぶやいていたところ、
なんと菊池通隆先生=麻宮騎亜先生ご本人から
「あー、それ、僕が描いたヤツです。三鷹市水道局の」
というご回答をいただきました…!
ひいっ!恐れ多い…!!
ありがとうございますーー!!
あー、それ、僕が描いたヤツです。三鷹市水道局の。原画はうちにあると思います。
— 麻宮騎亜™@KIA_ASAMIYA ボックスアート「ヤマト、銀英伝、ブレードランナー他」 (@kia_asamiya) February 19, 2026
鳥山先生の名前が出たのは、ドラクエの仕事を僕がやってたからじゃないですかねぇ。当時って、今ほどいろいろなことが紐付けされてない時代で、その辺のファジーな事が多かったですよね。… https://t.co/pjTcmVawhS pic.twitter.com/ZwMSgiBGF3
しかも、このイラストは先生の画集に収録されているとか…!買うしか…!!
⑥新聞記事に載っていたポスター、これです。
一方、ほぼ同時にフォロワー様が「これですか?」とポスターの現物写真(カラー)のリンクを貼ってくださいました。
これですー!!
画像は貼れないのでこのリンクを見てください!
新聞記事のポスターの写真集と構図が全く同じなので、おそらくこれです。
というか、新聞記事の写真はマイクロフィルムの拡大だからかけっこう黒く潰れていたので「こういう絵だったのか!」と驚きました。
これが、氷室先生が見たポスター(のカラー)です!!
isaさんありがとうございます!!!
https://one.sellelfnop.click/product_details?id=9161968732140
これが…氷室先生が見たイラスト…!!
新聞記事のコピーだと黒く潰れてよく見えなかったのですが、銀金の執筆を開始するきっかけとなったイラストの主人公が女戦士だったと言うのもなんだか嬉しいです…。
追記:
このイラストはカードゲームにもなっているようです。
「初出:三鷹市水道週間ポスター(90年度) 原画/菊池通隆」と書かれていますね!
studio Tron gemini カードダス マスター Michitaka Kikuchi SP2
このnoteは最初「氷室先生がご覧になった新聞記事は特定できてコピーも取り寄せできたけれど、権利関係が複雑だから新聞記事の写真はノnoteに載せられないので、せめて記事を見たい人が遠隔複写サービスや地元図書館で閲覧するときに少しでも手軽に申請や閲覧しやすいように情報を載せよう!」という目的で
書き始めたのですが、isaさんや麻宮騎亜先生(ご本人!!)のおかげで
実際のポスターの画像も見つかったり、作者が麻宮騎亜先生(菊池通隆先生)だと公式に(?)判明したりと
奇跡の連続で修正しまくってるうちに、
なんだかまとまりのない記事になりました。
申し訳ありません💦
「銀の海 金の大地」本当に面白いので、飯田先生のイラストも最高なので、今なら古本じゃない新品の本が書店で買えるので(感動)…電子書籍もあるので…
よかったら読んでください!!(宣伝)
(おわり)


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