専門家の役割云々よりも
『進化思考批判集』を出版して1年。
大して売れたわけでもないのだが、東京6大学をはじめとして、大学図書館が結構購入配架してくれたようでありがたい限りです。
(まえがき等はこちらで公開しています。)
この件をきっかけに共著の松井実先生と芸術工学会の特設委員会として『批判的デザイン研究会』を立ち上げました。
Discord上で定例会や書評などやっています。
芸術工学会員以外にもオープンにしておりますので、興味がある方はお気軽にどうぞ。
大学院生が一番参加するメリットがあるのでは?と我々は考えています。
さて、正直『進化思考』についてはもう必要十分なだけ批判したのでもう興味はほとんどないのですが、年内に一応ちゃんと対応しておかないといけないなと思っていた案件が1つありました。
河田雅圭氏のnote「『進化思考』の生物学監修の経緯と専門家の役割」です。
なぜ私が本書の生物学監修を引き受けたか、について改めてお伝えしたい。
ということで、随分時間が経ってから書かれたやつです。
まあお気持ちを表明されること自体は自由だとは思います。
全体を通して「批判」に対する考え方とか全く同意できないですし、『批判集』で書いたことで反論は終わっていると思うので、特に書くことはないと思っていました。
しかし…大学教員という立場上、見過ごすこともできないので、仕方なく書きます。
今年中に書き上げたかった論文が書き上がらず(というか量が増えて2本に分割せざるを得なくなり、結局終わっていない)という状態の中で時間を割く気にもなれず後回しにしていたらクリスマスになってしまったのですが。
まず、研究者というより大学教員として以下の文はいかがなもんですかね。
私が生物学監修を引き受けたのは、私個人の責任である。現在、私はたまたま進化学会の会長に選任されている(増補改訂版に関わった時期は副会長)。太刀川さんも私が進化学会の副会長であることを理由に、権威づけをしているわけではない。学会役員であることと、今回の監修を引き受けたこととはまったく関係のないことである。
一個人と個人の社会的な立場とを切り離し得る、という考え方を示されていますが、ジェネレーションギャップなのでしょうか、氷河期世代の私の感覚では「通るかっ‥‥‥!こんなもん‥!」て感じですけど。
無責任すぎませんかね。
まあ仮にそこは個人の考え方の相違だとしても、別の角度でヤバめなことがこのnoteには書かれていました。
そして、私は、後述する理由により、監修依頼を引き受け、知り合いのポスドク研究者とともに、生物進化についての指摘と修正に協力した。
「知り合いのポスドク研究者」に手伝わせてるの・・・???
これまでも河田氏とは別の人物が存在しているようなことは書かれていたと思いますが(あれは誰なんだろう、と話題には上っていた)、「ポスドク研究者」という、アカデミアにおける弱者の立場にいる人物だと判明してしまいました。
同僚くらいの感じで「知り合い」とさらっと書かれていますが、会社の役員と就活生、くらいの立場の違いのある「知り合い」ですよ。
「手伝って」と声かけられたら断れないでしょうね。
しかも匿名扱い。
アカハラとまでは言わないですが、やりがい搾取と見做されても仕方がないですね。
ゴーストで仕事をさせるのであれば、ちゃんとギャラを支払い、その代わりゴーストのままその存在は秘匿し続けるべきだし、そうでないならちゃんと名前を出してその人の業績にしてあげるべき。
もし河田氏がこの仕事によって「ポスドク研究者」の経歴に傷がつく、と思って守ってあげるために匿名にしているのだとしたら、そもそもそんな仕事するな、という話です。
ポスドクの立場だとしたら、経歴として書けそうなものは一つでも欲しいものだと思いますがねえ。
大学によっては調書のテンプレートが「著書」にも1頁割いている場合もあります。
本の監修なら「著書」欄に一応書けるでしょう。
空欄と、一つでも書くことがあるのとだと、随分と見栄えが変わります。
もし「ポスドク研究者」が匿名を希望しているのだとしたら、「ポスドク」という情報も明かしてはダメでしょう。
東北大の「総長特命教授」という立場の人として、この件かなりまずい振る舞いをしている自覚はないのでしょうか。
同じ分野の研究者は強く言えないと思うので、
(私も建築の大御所に「木が腐って大変そうですね」とか言えない)
門外漢から言いましょう。
研究者はともかく、もう大学教員はお辞めになったらいかがですか。
もしくはもう時代が違うので、キャッチアップしてください。
あと、進化学だけしか手に負えないのであれば「生物学」監修とか名乗らないでいただきたいと思います。
私は分野としては植物生理学を数年かじっていたわけですが、正直「えっ進化学って生物学に含まれるの?…まあ言われてみればそうか」くらいの感じでした。


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