<阪神3-1広島>◇15日◇京セラドーム大阪
役者の2発で勝った。阪神の4番マット・マートン外野手(31)が同点の8回に決勝9号2ランを放った。前日14日に審判への侮辱行為で退場となっていたが、きっちり4番の仕事を果たした。左膝手術から復帰3戦目の福留孝介外野手(36)も4回に右翼5階席に先制の超特大5号ソロアーチ。左膝痛で2軍調整中の西岡も今日16日には1軍に戻ってくる。ベストの布陣で首位巨人に食らいつく姿勢をみせる。
戦い終わった直後の場内に、期せずして、コールが起こった。マートン、マートン…。前夜に「職場放棄」した4番をファンは見捨てなかった。温かいシャワーのような声援は、一塁側ベンチに届いた。お立ち台に上がり、日本語で叫んだ。
マートン
チョットスイマセン、バカ・ガイジン、デ、ゴメンナサイ!
前夜、ストライク判定を巡り、審判に怒鳴り散らした。侮辱行為で来日初の退場処分。4番の早期離脱は完敗の要因になり、ファンを失望させる行動だった。
マートン
昨日はごめんなさい。本当に今日の試合はファンに支えられた勝利。チームメート、スタッフ…、みんなに支えられて打ったホームランだった。
同点の8回1死一塁。広島永川勝の内角ストレートを強振した。打球はセンターに鮮やかな弧を描いた。決勝の9号2ラン。すべてを水に流すアーチになった。
球児の汗で、初心に帰った。午前中に向かったのは、甲子園球場だった。作新学院と熊本工が猛暑の中でひとつのボールを追っていた。ネット裏から、食い入るように見つめた。
マートン
春に少し見たけど、夏は初めて。すごいと思った。高校野球は人気があると知っていた。雰囲気を味わいたかった。少年に戻った気分で、見られたよ。
NPBからは罰金10万円と厳重注意の処分が下った。甲子園を後にし、ドームで和田監督、高野球団本部長と相次いで会談。試合前練習には笑顔で登場。気持ちの整理はついていた。
マートン
昨日は昨日。ああいう形で行動をとって良くないと思う。プロなので、終わったことと切り替えてやるだけ。審判の方も、今までと変わらず、同じ態度で接してくれたのは感謝している。
後半戦は波に乗れず、チームの雰囲気もよくない。その中で起きたマートンのトラブル。和田監督は「切り替えてくれた。いい場面で4番の仕事をしてくれた」。自らのバットで騒動を沈静化したのは大きい。流れは変わるか。猛虎が土壇場で息を吹き返した。【田口真一郎】<マートンのトラブル>
◆まだ2死なのに…
11年5月26日ロッテ戦(甲子園)。2点を追う8回1死二塁で右飛を捕球してチェンジと勘違い。ボールをスタンドに投げ入れてしまった。走者は生還。集中力を欠いた前代未聞のプレーに「言い訳も何もできない」。
◆ノウミサンキライ
昨年6月9日オリックス戦(甲子園)。1点を追う4回2死二塁の守備で、前進守備のマートンが右前打を捕球したが、本塁へ悪送球の間に失点。試合後「I
don’t
like
Nohmi-san.ニルイドウゾ。Go
ahead」と発言。「能見サンが嫌いだから、二塁走者をかえした-」ともとられかねない内容だった。
◆造反で2軍
昨年8月17日ヤクルト戦(神宮)。3回、左翼で拙守を連発し、懲罰交代させられた。試合後はベンチ裏のミーティング中に逆上。関川外野守備走塁コーチに詰め寄り、一触即発状態に。その後は同コーチと約1時間話し込んだ。宿舎到着後は和田監督に2軍降格を告げられた。