昨季、プロ野球新記録のシーズン60本塁打を放ったヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(29)が13日(日本時間14日)、妻に対する監禁と暴行の疑いで、米捜査当局に逮捕されていたことが分かった。12日に離婚協議中のカルラ夫人(32)とフロリダ州マイアミ近郊でトラブルに発展し、近隣住民の通報により逮捕された。現在は代理人の顧問弁護士が容疑者となった同外野手と接見し、保釈手続きを進めている。ただ、出演するCMが打ち切られるなど波紋は大きく、球団も事実関係の確認を急いでいる。

 「バレンティン逮捕」のニュースに、早朝から衝撃が走った。昨季、プロ野球の新たな歴史をつくった希代の本塁打王が、容疑者に転落した。

 警察の記録によると、同容疑者は現地時間12日(日本時間13日)にカルラ夫人宅を訪問したが、入室を断られたために台所の窓から侵入。逃げる夫人の腕をつかみ、寝室の鍵をかけて監禁した。その状況を目撃者が警察に通報し、2歳になる長女ミアちゃんの目の前で逮捕されるに至ったとみられる。約6年前にベネズエラ出身の夫人と結婚したが、昨年から離婚に向けて話し合いをしていたという。本塁打新記録に挑んでいる時期でも、夫人と長女が来日することはなかった。

 主砲逮捕の一報に、球団も朝から対応に追われた。衣笠剛球団社長兼オーナー代行(64)は、まずは「皆様方にご迷惑をおかけして申し訳ございません」と謝罪。午後2時過ぎに2度目の会見を行い、接見した代理人の顧問弁護士の報告を発表した。同容疑者の話によると、夫人に会うために訪問。屋外で話をしていたが人目もあるので、家の中で話をしようと夫人の手を引っ張って入っていったという。夫人はけがなどはしていないとのことで、衣笠社長は「その時の行為が、今回の話の内容につながっているのではないかと言ったようです」と説明した。

 現地とは時差もあって情報が錯綜(さくそう)しており、事実関係に食い違いがみられる。衣笠社長も「もっと具体的に、何のために行ったかとか知りたいのですが、伝わってきた話は以上です。事実関係はバレンティン側と奥様側で食い違うところがあると思うので、私の方からはそれ以上は申し上げられません」と困惑を隠せない様子だ。

 今後の状況次第では、今シーズンにも大きく影響する。当初は2月1日のキャンプインに向け、同容疑者は28日までに来日し、30日にキャンプ地の沖縄に入る予定だった。だが衣笠社長が「とにかく予定通りに進められることが最善。そう願っています」と話すしかない状況で、調整だけでなく来日スケジュールにも狂いが生じる可能性が出てきた。今季からの3年契約については「情報を確認できてから考えること」と言うにとどめ、球団が処分を科すかについても「(結論を出す)その段階ではまだない」と明言しなかった。

 現地では顧問弁護士が保釈申請の書類を提出したが、同容疑者は逮捕翌日の13日(同14日)も拘束されたまま。衣笠社長は「受理されれば、一両日中には釈放されると思う」との見通しを示した。球団は今後も代理人を通じて情報収集に努めていく。

 ◆ウラディミール・バレンティン(Wladimir

 Balentien)1984年7月2日、オランダ領キュラソー島ウィレムスタット市生まれ。セント・ポール・コーリション高から00年ドラフト外でマリナーズに入団し、07年に初昇格。09年7月にトレードでレッズ移籍。大リーグ通算170試合、113安打、15本塁打、52打点、打率2割2分1厘。11年ヤクルトに入団し、3年連続本塁打王。昨年は日本記録を更新する60本塁打でMVP。185センチ、100キロ。右投げ右打ち。今年から総額750万ドル(約7億8750万円)+出来高の3年契約。今季推定年俸2億円。

 ◆同郷の先輩も

 バレンティンと同じキュラソー島出身で、楽天と契約直後のアンドリュー・ジョーンズ外野手が12年12月25日、ニコル夫人への暴行容疑で逮捕された。米アトランタ郊外の自宅で友人を招いたパーティーを開催。夫婦で飲み直した後、口げんか。夫人が「夫にDV(家庭内暴力)を受けた」と通報したため逮捕された。約7時間拘束された後、2400ドル(約25万2000円)を支払い保釈された後、不起訴になった。夫人は裁判所に離婚を申請したが、その後マスコミに対し「私たち夫婦は互いに敬意を持ちながら、家庭内の問題解決に取り組んでいます」とのコメントを発表した。