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呪われし存在

呪われし存在 - 春風の小説 - pixiv
呪われし存在 - 春風の小説 - pixiv
5,389文字
ナツキ・スバルの人生上映会
呪われし存在
久しぶりに全員喋らせれた!(クルシュさん以外)
やっぱスバルくんぶち殺しゾーンはみんな喋るね🎶

気分が萎えてて書けなかったんですけど、TikTokで流れてきたオボレルスバルくんがかわちくて書けました♡
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1722105,664
2026年1月4日 22:07

『――旦那くん、しかめっ面はいけないよ』
『……は?』

『おい、おいおい、ちょっと待ってくれ…… ――『死に戻り』した?』

『――旦那くん? さっきから、より眉間に皺を寄せてどうしたんだい?』
『あ……』
『僕の助言を聞いていなかったのかな? 眉間に皺を寄せていては幸いが逃げる! 逃げたものを追うのは至難の業だ! 僕は基本、牛車の上だからね!』

​───────​───────​──────

「──スバル……」

 エミリアが短く言葉を切り、眉間に皺を寄せる。

「人があんまりいない場所じゃ危ないわよね……? 人がたくさんいる場所に行ったら……」

「エミリア様、それではあまり意味がないかと。こういう手合いは、人前でなら事故に見せかけて殺しにくると思います」

「そうか、そうよね……なら、どうしたら……」

「──あの人が機転を利かせる可能性に、レムは賭けます」

「そうね、私もそうするわ」

​───────​───────​──────

『フロップさんは、なんで俺たちにこんなに良くしてくれるんだ?』

『僕と妹は昔、そりゃもう生き死にもギリギリという生活をしていてね! 親に捨てられ、みなしごを引き取る施設で育ったんだが……そこがなかなかひどい環境だった! 毎夜、同じ境遇の子らと肩を寄せ合い、その状況から脱すると心に決めていたものさ。そして、僕や妹は機会を得て、そこから逃げ出すことができた。初めて、殴られることなく越えられる夜を迎えて、僕は誓ったんだよ。――復讐をね』
『復讐って……その、みなしごの施設の人に?』
『いいや、違う。――世界にだよ。僕や妹は、施設の大人に殴られて育った。だが、僕を殴った大人たちは、僕を殴りながら幸せだっただろうか? 違うんだ。彼らも不幸なんだよ。不幸な大人が、不幸な子どもを殴っていたんだ。こんな救われないことがあるだろうか。暴力を振るう大人たちでさえ、幸せではない。僕は商人となり、自分と妹を不幸から抜け出させることにした。そしてできるだけ、多くの人にも不幸から抜け出してほしいと思っている。あの夜、僕たちを連れ出してくれた人のように』
『それが、世界への復讐?』
『そうだとも。僕と妹は、不幸を押し付ける世界に復讐するために足掻いている。君や奥さんたちを助けたのも、その一環さ』

​───────​───────​──────

「──こんなことを、僕は旦那くんに話しただろうか……?」

 フロップが、不思議そうにそう口にする。
 そして、それを聞いて、

「──待ちなさい。あなた、この会話に記憶がないの?」

「ああ、ないとも。旦那くんは、急に大声を出していたような……」

「──それが真実なら、バルスは死ぬわね。それも、一回ならいいけれど」

 ラムが、表情を変えて、思案に沈むような顔で舌を打つ。

「──まずいわね、かなり」

​───────​───────​──────

『フロップさん、この道は風水的にあまりよくない卦が出てるんだ。だから、違う道を使わせてくれないか?』

『そのケについてはわからないが、君の真剣な表情は気に入った。少々遠回りになるが、違う道を使って向かおうじゃないか』
『そうしてくれると助かる! なるべく人の多い、大通りを通っていこう』
『心得たとも! では旦那くん、こっちの道から――』

​───────​───────​──────

 瞬間、スバルの首が、喉が、思い切り裂かれる。

「スバル!!」

 ベアトリスが、それに目を見張り、動揺を隠しきれない顔で、震えた手のひらで視界を遮る。

「──酷いわ、こんなん」

 アナスタシアが、ぽつりと、口から言葉をこぼす。
 あまりに惨いそれに、言葉を紡ぐことすら難しい。

「────」

 呆気に、とられる。

​───────​───────​──────

『――旦那くん、しかめっ面はいけないよ』

『ふ、フロップさん、今日は、その、風水的にマズい日だ。いったん戻ろう……!』
『フースイ? しかし、その顔色では少し休んだ方が……』
『いや、休んでも無駄だ! レムに手を握ってもらわなきゃ収まらない発作なんだ!』
『そ、そうなのか……それは難儀だな! 旦那くん! 手がものすごく冷たいぞ! 早く奥さんに温めてもらった方がいい!』
『ああ、一刻も早く、レムの顔が見たい。──いや』

『ダメだ、フロップさん! 宿には戻れない。レムと会うなんて言語道断だ!』
『さっきと言っていることが違わないかい!? 旦那くん? 大丈夫か? いったい何に思い悩んでいる? 僕が力になれることであれば、まず話してみるといい。様子が変だぞ』

​───────​───────​──────

「バッスー傍から見たら情緒不安定ですよ!」

 焦燥感と切迫感からだろう、整合性のない発言を繰り返すスバルに、セシルスが軽く笑ってしまう。

「昴! クソ、敵が粘着質すぎるな……」

「うーん、これは……バッスー何とかできるんですかね?」

「ああ、旦那くんは生きているからね」

「確かに!」

 そう言葉を切り、セシルスは、

「──大変ですねえ、バッスー」

 誰に知らせる気もない感情を乗せて、いつも通りに笑った。

​───────​───────​──────

『実は誰かが俺たちを追って……』
『──なんだ?』
『え?』

『な──っ!?』
『旦那くん、あぶな――』

​───────​───────​──────

「──竜車……?」

 フェリスが、そう口にして、瞳を見開く。

「なんなの……ここまでする必要、あったの?」

「──並の執着ではないの、だろうね」

 ラインハルトが、そう低く言葉を切るのを聞いて、フェリスは顔を顰める。

「──嫌になる」

​───────​───────​──────

『――旦那くん、しかめっ面はいけないよ』

『――っ! フロップさん!』
『な、なんだね!?』
『――フロップさん、走ろう!』
『急な話だな!? どうしたんだ!?』
『どうもこうもない、人生は限られてるんだ! 一秒も無駄にできないだろ!』
『人生は短い。僕や妹の目標を達するためにも、時間は大事にすべきだが……』
『走ろう! すぐに酒場に駆け込むんだ! 細かいことは後回しでいい!』

​───────​───────​──────

「スバルちん……」

 ミディアムが、悲しそうに眉を下げる。

「うう、あたしに出来ることがあったらなあ……見てるだけっていうのは、なんだか性にあわないよ……」

「そういうても、変なことしたらそれこそあの子が危ないんとちゃう?」

「そうだよね……どうしようあんちゃん……」

「──この会話も記憶にない……旦那くんは、」

「──フロップさん、気に病まないでくださいね。あの人がトッドさんと敵対したのは、間接的にはレムのせいでもありますから」

「そんなことないわ、レム。そんなふうに自分を責めちゃダメよ」

「エミリア様……」

​───────​───────​──────

『――ここで一番の腕利きを雇いたい?』

『……ここらで一番の腕利きっていや、ロウアンのことだろうよ』

『ああ、ロウアンならそこの、端っこで潰れてるのがそうだよ』
『端で潰れてる……? あんまり聞きたくない表現なんだが。……あれが腕利き、なのか?』
『酒癖が悪いのは間違いないが、腕は立つ。酒癖は悪いがな』
『二回言われると、不安しか立ち込めてこねぇ』

​───────​───────​──────

「──酒場で護衛を……彼相手にそれで凌げるのかーぁな?」

 ロズワールが普段と変わらぬ顔のままそう口に出す。

「──なるほど、妙縁ですね」

 セシルスが、瞳を細め、唇の端を吊り上げる。

「ふむふむ、やはり面白い! 最高です!」

 にこにこと楽しそうに笑う。
 内心までは、分かりかねたが。

​───────​───────​──────

『なぁ、ロウアンさん、ちょっと話を聞いてくれないか』

『ロウアンさん、単刀直入でいこう。俺たちはあんたに酒は奢らない。ただ、あんたが酒を買うための報酬を支払える。仕事を引き受けてほしいんだ』
『ああん、仕事らとぉ……?』
『そうだ。頼みたいのは護衛だ。それも、今この瞬間から』
『……やけに語気が荒い。兄さんたち、さては結構危うい立場かぁ?』
『ああ、笑い事じゃなくな。どうだ? 払えるのは、これが限度額いっぱいだが』

『某の腕は高い……と言おうと思ったところが、初手でこれとあっちゃなぁ』
『言っとくが、賃上げ交渉には応じられないぜ』
『疑っちゃいない。遊びじゃないって話も、本気らしい。返せと言われても、返せやしねえぜ?』
『惜しいけど、返せとは言わない。ちゃんと仕事をしてくれたら』

​───────​───────​──────

「──僕でも、ここまで酔ったことはありませんけどね……腕は確かだと、思いますが。雰囲気から、恐らく」

 オットーがそう言葉を切る。
 スバルの身に悲劇が起こらないことを願って。

「──昴、大丈夫……よね……?」

 嫌な予感が、心臓を掴むような錯覚に襲われる。
 冷や汗と耳鳴りが、この先に起こる悲劇を必死に伝えようとしていた。
 信じたくない、けれど、こういう時の人間の勘は、鬱陶しいほどよく当たるものだった。

​───────​───────​──────

『──待て』
『ロウアン、さん?』
『……妙な気配だ。さては兄さん、つけられてやがったな? いったい、誰に追われてる?』
『……冗談抜きに、相手はわからない。ただ、外にいたら仕掛けてくると思った。だから急いであんたを雇ったんだよ』
『なるほどなぁ。もうちょっと吹っ掛けてもよかったかもしれんわけだ』
『ロウアンさん、相手は……』
『ビクビクする必要はねえさ。相手が何者だろうと、某の正面に立つなら真っ二つにするのみ。酒も入って、某の剣は絶好調だ』

​───────​───────​──────

「随分な自信だな」

「まあ、それがダメだったからバッスーは殺されたわけですけども」

「セシルスさん、なんだか言い方にトゲがありませんか? そもそも、決まったわけでは」

「一緒にいた方が覚えていない会話がある時点で、決まったようなものでは?」

「────」

 言い返す言葉が浮かばず、レムは、押し黙る。
 正直、スバルは殺されるのだと、レムも確信している。
 だが、

「──それでも、信じたい」

​───────​───────​──────

『――っ! フロップさん! 離れろ!』

『フロップさん!』
『ぶ、無事だ、旦那くん! だが、これは……』

『こん、な……』
『しっかりしろい、雇い主! ここで倒れられちゃ、某も困るんだよ!』
『店長! 裏口から出るぞ! 正面は見張られてる!』
『わ、わかった! こっちだ……!』
『雇い主と、そっちの兄さんも! 死にたくなきゃ、今すぐ動け!』
『し、死ぬわけにはいかないとも! まだ、僕も妹も道の途上だ……!』

​───────​───────​──────

「──スバル様!」

 フレデリカが、顔を顰め、唇を噛む。

「恐ろしい相手ですわね……一般人の犠牲も、辞さないとは」

 フレデリカの言葉に、エミリアが頷き、

「──ひどいわ。こんなやり方……ロウアンさんが、スバルを守りきってくれるといいんだけど」

 それも、フロップの言葉を聞くに、おそらくは叶わなかったのだろう。
 だが、スバルが死ぬ未来など、エミリアは考えたくもない。
「スバル、スバル……っ」

​───────​───────​──────

『――! 裏口が開かない!』
『マズいぞ! 正面の入口は潰れてしまっている! このままでは……』
『ええい、どいてろい! このぐらいの扉――ようし! 開いたぞ! 全員、姿勢を低くしろい!』
『ロウアンさ──』

『き、君はいったい、何者なんだ。どうしてこんなことを……こんなことが許されると――ぉ』
『なん、で……なんで……なんで! なんでぇ!』
『――お前さんにゃ何も教えないぜ? また逃げられたら困るだろ?』

​───────​───────​──────

「──っ」

 ユリウスが、息を詰まらせる。
 動揺と、それ以上に、嫌悪感が端正な顔に絡みつく。

「──理解ができない」

 大罪司教を見るような目で、ユリウスは吐き捨てる。
 そして、その後ろから、

「──理解しようとすること自体が、間違いなのかもしれませんな。大罪司教と同じ、倫理の外側にいる者なら」

「──そんなのばっかに襲われて、お兄さんが不憫だわあ」

「全くだッぜ。大将が……クソ、」

 メィリィとガーフィールが、眉を顰めるのが見えた。
 それを見て、エミリアは、

「──スバル……」

 硬い音が、耳から離れなかった。

呪われし存在
久しぶりに全員喋らせれた!(クルシュさん以外)
やっぱスバルくんぶち殺しゾーンはみんな喋るね🎶

気分が萎えてて書けなかったんですけど、TikTokで流れてきたオボレルスバルくんがかわちくて書けました♡
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2026年1月4日 22:07
コメント
アイル
アイル
1月5日
レイラ
レイラ
1月5日
十色
十色
うおお、更新ありがとうございます。トッド戦を楽しみにしていました
1月4日

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