ノベルスキー

作家・字書きや小説など文字が好きな人のためのMisskeyサーバーです。
一次創作、二次創作、ジャンル不問です。読み専の方でもOKです。
(棲み分けはチャンネルとかをうまく使ってね)
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書いたやつ(1次とかノベルスキーネタとか)
書いたやつのクリップ
ときしろ :ablobcathiasobi::ablobcatomizunome:

4/81/12

ときしろ :ablobcathiasobi::ablobcatomizunome:
@to_toki_shiro
これをさらに改稿して書いた短文。百合だよ
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ときしろ :ablobcathiasobi::ablobcatomizunome:
@to_toki_shiro

百合

リップを貸して、と女は言った。
ついさっき、大きなドレッサーの前で深紅の口紅を塗っていたくせに、少し落ちちゃった、なんてずるい言葉を続けた。
「まだ大丈夫でしょ」
そう事実を告げれば良かったものを、しなかった私もずるい女だ。彼女よりも、きっとずるい。
年の割に少女趣味なリップスティックが彼女の唇の上で踊る。思わず焦がれるみたいな目でじっと見つめてしまった。変態みたいだ、間違いじゃないか。
塗り終えたらしい。彼女の唇がんまんまと馴染ませるように動く。ああ、なんて色っぽいのだろう。私がやれば子供みたいなのに。
「ねえ、似合う?」
女は私の少し薄い赤を己の唇の上で混ぜて、艶然と笑う。
「まあまあ」
また、嘘をついた。真っ赤な嘘。深紅相手じゃあんな薄い色はすぐに塗りつぶされてしまう。
ああ、いっそこの卑しい心も一緒に真っ赤に塗りつぶしてくれたらいいのに。
私の心を知ってか知らずか、女はまた微笑んだ。
ときしろ :ablobcathiasobi::ablobcatomizunome:
@to_toki_shiro

百合

リップを貸して、と女は言った。
ついさっき、大きなドレッサーの前で深紅の口紅を塗っていたくせに、少し落ちちゃった、なんてずるい言葉を続けた。
「まだ大丈夫でしょ」
そう事実を告げれば良かったものを、しなかった私もずるい女だ。彼女よりも、きっとずるい。
年の割に少女趣味なリップスティックが彼女の唇の上で踊る。思わず焦がれるみたいな目でじっと見つめてしまった。変態みたいだ、間違いじゃないか。
塗り終えたらしい。彼女の唇がんまんまと馴染ませるように動く。ああ、なんて色っぽいのだろう。私がやれば子供みたいなのに。
「ねえ、似合う?」
女は私の少し薄い赤を己の唇の上で混ぜて、艶然と笑う。
「まあまあ」
また、嘘をついた。真っ赤な嘘。深紅相手じゃあんな薄い色はすぐに塗りつぶされてしまう。
ああ、いっそこの卑しい心も一緒に真っ赤に塗りつぶしてくれたらいいのに。
私の心を知ってか知らずか、女はまた微笑んだ。

1/129/29

ときしろ :ablobcathiasobi::ablobcatomizunome:
@to_toki_shiro

「ああ、今夜は月が綺麗ですね」

彼女はそう言ってふふ、と笑った。電話越しの声はいつものように柔らかで、けれどどこか浮ついたような明るさがあった。金曜の夜である。仕事帰りなのだと言う。一般企業に勤める彼女にとって、今日は「なんだってできる日」だった。
ほら、その証拠にカンカンと鳴るうるさい踏切の音に紛れて、ガチャガチャと金属音が聞こえる。きっとお酒を買ったのだ。飲めばすぐ顔を真っ赤にしてしまうくらいに弱いくせに。
「ねえ、綺麗ですねえ」
上を向いて歩いている彼女を夢想する。少し色素の薄い髪を揺らして、あのブラウンの瞳を月明かりに照らしているのだ。
私は、下を向いた。
「ええ、そうなのでしょうね」
ぽつり、部屋の片隅に落ちていった私の小さなつぶやきは、彼女の方の扉が開く音にかき消されてしまった。帰宅したのだ。
「え?」
「いえ、そうですね、と」
「ああ、ふふ、ねえ。こんなに綺麗な月じゃあ、今夜は月見酒だわ」
おつまみはチーズかしらと彼女はまた笑って、それから少しして電話を切った。

「そうなのでしょうね」

私はもう一度下を向いた。

先月よりも、先々月よりも。
ずっと大きくふさふさとした尻尾が生えていた。


月明かりが私の理性を溶かしていく。
──彼女はもう、酔い潰れただろうか。

9/299/23

ときしろ :ablobcathiasobi::ablobcatomizunome:
@to_toki_shiro

ノベルスキー砂漠

はじめはたくさんの緑がある土地だったのですよ。女性は言いました。豊かな土地だったのです、今だってほら、水はあるでしょう。たしかにちょろちょろと小川が流れています。澄んだ水で、泳ぐ魚の影まで見えました。
どうしてこんなことに? 私は小川があるのにもかかわらず、緑が一つもない乾いた土地を見渡しました。かんかん照りというわけでもないのです。穏やかな気候です。木の一本や二本、あったっていいでしょう。
「このような気候ですから、若葉はたしかに生えてくるのです」
「でもね、〈やつら〉が食べてしまうんですよ」
〈やつら〉という強い呼称のわりに、女性はえらく優しい目をしていました。
「怖いでしょう?」
それが仲間意識なのだと、同胞への愛だと、気づいたときには──。

「ああ、みんなまた若葉を食べてしまったのね」
若葉がはらりと落っこちる音がしました。キャッキャという無邪気な笑い声が〈ノベルスキー〉に響き渡りました。




「あっ新鮮な若葉だ! ……食べなくっちゃ」

9/239/11

ときしろ :ablobcathiasobi::ablobcatomizunome:
@to_toki_shiro

LTLに流すのもなんですけど、お昼盛り上がってたのLTLだったから……。返事をすると食べられる、そんな小話です。頭ふわふわにして読んでね……

「あの沼の底から名前を呼ぶ声が聞こえても、絶対に返事をしてはいけないよ」
おばあちゃんはお散歩のたびにそうわたしに言い聞かせてきたものでした。
「返事をしたらどうなるの?」
そう聞くと、おばあちゃんは瞳を伏せて「食べられてしまうよ」と言いました。あとで知ったことですが、私の祖父、つまりおばあちゃんの旦那さんにあたる人は、その沼に「食べられて」いなくなってしまったのでした。
「もし返事をしてしまったら、大急ぎで呪文を唱えるといいんだそうだよ」
おばあちゃんは何か聞きなれない言葉をわたしに教えてくれました。けれど聞きなれない単語でできていたものだから、わたしはすっかり忘れてしまったのです。

それから二十年が経ちました。おばあちゃんのお葬式のために、私は主人を連れておよそ十年ぶりにこの地に足を踏み入れました。
火葬場は沼の近くにありました。ただでさえ重苦しい道のりがさらに暗く、得体の知れない何かに呑まれていく心地がしました。
そんな暗くて、くねくねと曲がりくねった細い道をのろのろと車で走っていたときです。
突然、誰かの声がしました。女の人の声だったような、男の人の声だったような、老婆の声だったような、少年の声だったような。どうとでもとれて、どれもしっくりこない、そんな声がしました。車の中で、窓も開けていないのに、その声はいやにはっきりと聞こえました。
主人の名を呼んでいたのでした。

「はい?」

車の中だったのです。鍵もかけていました。誰も入ってなど来られないはずです。それなのに。
もぐ、という音が主人の右の親指からしました。
見れば、主人の指は、指は──。

「縺茨シ」

主人の足元からもぐもぐという音がしました。主人は私には聞き取れない、わけのわからぬ言葉を喚き散らして、シートベルトもものともせずに暴れ出しました。
私は声が出ず、ただ呆然とその光景を見るばかりでした。

もぐもぐもぐもぐ、という音とともに、主人の体がどんどんと、目に痛い極彩色に染まっていきます。沼だというのに、自然にはない色でした。どこまでも人工的な色。
「たす、けて」
主人の首元までがその奇怪な色に染められたあたりで、ようやく私は声を出すことができるようになりました。目はチカチカしていて、代わりに頭がやけにはっきりしていました。

「たすけて、たすけて、おばあちゃん……!」

おばあちゃんに助けを乞うたのは当然のことでしょう。なにしろ今日は彼女の葬儀なのです。私の頭のなかを一番に占めていたのは彼女だったのです。

車の天井を見上げました。まだおばあちゃんは天に昇っていないかもしれませんが、死んだ人とは皆空にいるものだとなんの根拠もなく信じていたのでした。
きっとそれは間違いじゃなかったのだと今でも思います。
だってそうして天を見上げた途端に、ふと思い出したのですから。あれはおばあちゃんが助けてくれたに違いないのです。私の必死の願いを聞き届けてくれたのです。

「進捗どうですか!」



お墓の前で小さな娘と手を合わせます。沼の近くのお墓です。いつも賑やかな声がしていて、彼らはたまに人の名を呼んでいるようです。けれど私はもう怖くありません。
「いい? あの沼に名前を呼ばれたらこう言うのよ──」
私は娘にもその呪文を教えました。娘はよく知らない言葉が面白いのか、楽しそうに、「シンチョクドウデスカ、シンチョクドウ? ドウデスカ?」と笑っています。
いつの間にか、沼から声はしなくなっていました。私は娘とともに、ゆっくりその場を後にしました。
また来年も来るからね。おばあちゃん。

9/118/14

ときしろ :ablobcathiasobi::ablobcatomizunome:
@to_toki_shiro
さっきの謎のろりおね百合をSS名刺メーカーに突っ込んでそれっぽくしたから置いとこ。
閲覧注意ってことは別にないと思うんですが、一応伏せとく
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