トランプ氏、10%の代替関税に署名 最高裁の違憲判断受け
Gram Slattery Andrea Shalal David Lawder [ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米大統領は20日、連邦最高裁が違憲と判断した関税に代わって各国からの輸入品に150日間限定で10%を課税する大統領令に直ちに署名した。同時に、別の法律に基づいて再び関税を導入する調査を開始した。 トランプ氏は記者会見で、1974年の通商法第122条に基づき、現在も有効な関税に加えて新たな関税を課すと発表した。その後に自身の交流サイト(SNS)で、全ての国を対象とした命令に署名したと表明。「ほぼ即時発効する」と書き込んだ。 米連邦最高裁はこの日、トランプ氏が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき発動した相互関税を違法とする判断を下した。議会の承認なく関税を発動することは、大統領権限を逸脱しているという下級審の判断を支持した。 トランプ政権はこれを受け、IEEPAに基づく関税は直ちに終了すると発表した。 一方、ベセント財務長官は暫定的に導入する10%の関税に加え、通商法301条(不公正貿易慣行の調査)や232条(国家安全保障を理由とする調査)に基づき関税を引き上げることができれば、2026年の関税収入は実質的に変化しないだろうと述べた。 同長官はFOXニュースの番組で、「関税の水準を元に戻すつもりだ。ただ、その方法はより間接的で、やや複雑になるだろう」と語った。また、今回の判決でトランプ大統領の貿易相手国に対する交渉力が弱まったと話した。 暫定的に導入するとしている10%の関税の根拠となる通商法122条は、国際収支を巡る問題に対処するため最大15%の関税を最長150日間課す権限を大統領に与えるもの。発動に当たって調査の手続きなどは必要なく、延長する場合は議会の承認が必要となる。 トランプ大統領は、「我々には素晴らしい代替手段がある」と主張。「より多くの資金が得られるかもしれない。我々はより多くの資金を得て、それによりさらに強力になるだろう」とした。 ワシントンのシンクタンク、アトランティック・カウンシルで国際経済部門を統括するジョシュ・リプスキー氏は、122条には法的な異議申し立てが出てくる可能性が高いと指摘。一方、その法的判断が出る前に150日間の期限が終了するとの見通しを示した。 トランプ大統領は、通商法301条に基づき国別の調査を開始することも表明。「他国や企業の不公正な貿易慣行から我が国を守るため」だとした。 <徴収済みの税の返還> トランプ氏は暫定的に10%の関税を課す150日間の期間内に、301条や122条などにも基づき新たな関税を課す可能性を探る。トランプ氏は「関税強化に向けた調査を完了できる」と述べた。これまでよりも税率が上がる可能性も排除せず、「我々が望む水準に設定する」と語った。 ペンシルベニア大学ウォートン校の予算モデル研究チームによると、最高裁の判断を受け、過去1年間で徴収された約1750億ドルの関税収入が返還対象になる可能性がある。トランプ氏は、IEEPAに基づいて徴収した関税を返還するかとの質問に対し「向こう2年間にわたる訴訟になる」と指摘。迅速、かつ自動的に返還手続きが行われる可能性は低いとの見方を示した。 企業関係者を前にダラスで講演したベセント財務長官は、最高裁が関税収入の返還について何の指示も出していないことから「係争中」だと話した。「私の感覚では、この問題は数週間、数ヶ月、あるいは数年にもわたって長引く可能性がある」とした。