伊倉おはぎ暗示解除ゲーム ③
Xにて公開していた「暗示解除ゲーム」を一部見直してpixiv向けに再投稿したものです。
第三話。ペナルティの時点で筆が乗りすぎたため、暗示パートと分割しました。
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「伊倉はヒントロボットです。ヒントをお教えします。」
ヒントを要求された伊倉は、時間停止された状態から背筋を伸ばし、
つらつらと解説を始めた。
「人格変化暗示により現れる人格は、通常人格、メイド人格、カーナビ人格の3種類です。」
「次のヒントは、暗示を1つ発見すると回復します。」
[トリガーの情報はないか]
[カーナビ…???]
[トリガー部分が分かれば関連単語くっつけていけるかな]
[カーナビ?]
「次のヒントは、暗示を1つ発見すると回復します。」
「ヒント使用ペナルティを適用します。ペナルティとして自認変化が行われました。」
「自認が"ヒプナーの操り人形"に変更されました。」
「伊倉は配信者モードへ切り替わります。」
ヒントとペナルティ、どちらも確実に自分の尊厳を傷つける内容を、
淡々と報告した伊倉は、そのまま話しはじめ…ることなく、固まっている。
前の時間停止暗示を引き継いでしまっているようだ。
[これ本当に使っていいヒント??]
[最後に特大ペナルティあるとこわいね]
[なんか動かないな]
[多分時間停止したまま]
[結構めんどくさいねー、"らおはスタート"]
「………むるよねー。…あれ、なんか噛んだかな」
口を閉じた状態で動き出したせいで、
停止前の発言を続けようとして、変な話し方になっていても、それを自覚することはない。
当然、コメントの流れにも気づいていないようだ。
「あ、ていうかごめん!なんか催眠人形勝手に話しちゃってたよね?」
「操り人形は操り人形らしく、ちゃんと指示待ってなきゃなのに…おかしいなー、ヒプナーなんか変な命令した?」
そして、ペナルティも追加されている。
一人称だけでなく、自認まで人形にされてしまったことで、
自分で考えて喋るという当然のことを謝っている始末だ。
「とりあえず、いつも通り催眠人形は命令待機すっから。いつでも何でも言ってね~」
そういうと、コメントを見ている状態で話さなくなる。
時間停止とは異なり、瞬きもするし細かい動きもある。
ただ、命令があるまではコメント欄から目を離す様子はまるでない。
[最後どうなるんだこれ]
[とりあえずトリガー探しでしょ、〇〇らおはみたいなのかな]
[命令聞くならいっそ聞いてみちゃう?自覚あるのかわかんないけど]
[まぁ物は試しか。らおはちゃん、人格変化暗示のトリガー教えて]
…反応なし。
命令を聞かないというより、人格変化暗示というワードがあるから認識していない、というところか。
[そういえば暗示関係は反応しないのか]
[じゃあ本人は別にヒントとしては使えないね]
[らおはちゃん、役に立ってないの謝ってみて]
ヒプナーの1人が悪ノリで命令を告げると、伊倉はそれに嬉しそうに反応する。
「あ、やっと来た!はーい、催眠人形は役に立ってないこと…なんの?まいっか、ヒプナーに謝罪します」
無理やり謝らされるというのに、伊倉はいやいやどころか喜んでいる。
まるで、命令を聞くことが幸福とでもいうような感じだ。
「えーっと…何の話かはわかんないけど、操り人形のくせにヒプナーのお役に立ってなくてごめんなさい?」
謝る理由もないのに、伊倉は疑うことなく頭を下げる。その動作に、まるで迷いはない。
申し訳なさそうな表情をしつつも、その声色は命令されたことへの喜びを隠せておらず、
完全に人形にされているという事実をヒプナーにたたきつけていた。
[流石に勝手に命令はNG]
[でもコメント側から制限してもやる人はやるでしょ]
[じゃあ時間との勝負か…]
[カーナビ人格って結局なんだ]
「んー?なんか今日ヒプナー命令少ないね。別に催眠人形は操り人形なんだから、遠慮するのはおかしいよ?」
「また命令待機してるから、好きに命令してね?従えるの待ってるから」
そう言い残して、また伊倉は押し黙る。
少しずつ、この状況を楽しもうと考えるヒプナー。
一刻も早く伊倉の暗示を解除したいヒプナー。
それはそれとして人格変化暗示を発動してほしいヒプナー。
カーナビ人格に興味を隠せないヒプナー。
緊張が走る中、伊倉は何も知らないまま、命令を今か今かと待ち望んでいた。