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先進国の中でも理工系に進む女子が極めて低い現状を是正するため、理工系の大学入試で「女子枠」を導入する動きが広がっています。中には女子枠の入学者全員に奨学金を給付したり、学生寮への入寮を確約したりするなど、入学後も手厚くサポートする大学もあります。(写真=Getty Images)
高まる「理系女子」のニーズ
理工系学部で拡大している「女子枠」は、総合型選抜や学校推薦型選抜で女子を対象とした選抜枠のことです。その背景には、日本では理工系分野に進学する女子が極端に少ないという社会課題があります。2024年の学校基本調査によると、大学の理学部で学ぶ女子の割合は28.3%、工学部は16.7%で、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で最も低い水準です。
研究者や技術者など理工系の女性人材を求める企業などからの要請を受け、文部科学省は22年に多様な背景を持った者を対象とする選抜を推奨し、一例として「理工系分野の女子」を挙げました。そのことが追い風となり、女子枠を導入する大学の数は23年度入試から急増しています。
東京科学大学(東京工業大学と東京医科歯科大学が統合して24年10月に設立)は、24年度入試から女子枠を導入し、25年度の理工学系の入試では一般選抜を含む募集定員1068人の約14%に相当する149人まで女子枠を拡大しました。
18年度入試から女子枠を設け、22年度からは一般選抜を含めた成績優秀な女子入学者100人以上に入学金相当(28万円)の奨学金を給付している芝浦工業大学では、25年度の入学者のうち、女子が27.8%を占め、過去最高を更新しました。学部生全体に占める女子の比率も、女子枠導入前である17年度の16.4%から25年度は23.7%に上昇しました。
26年度入試では、京都大学の理学部と工学部、大阪大学の基礎工学部、青山学院大学の理工学部、創価大学の理工学部なども女子枠を設けます。九州大学の工学部は27年度入試から4学科で女子枠を設ける予定です。
一度の出願で2つの方式のチャンス
創価大学理工学部は総合型選抜に「女子特別選抜」を導入します。理工学部は26年度にグリーンテクノロジー学科、生命理工学科が新設され、既存の情報システム工学科と合わせて3学科に再編されます。女子枠はこの3学科が対象です。
女子特別選抜に出願すると、高校での学習状況を書類審査と筆記試験(1科目)、面接で評価する基礎学力方式に自動的にエントリーされ、女子特別選抜が不合格の場合でも、基礎学力方式の合否判定の対象になります。女子特別選抜は、書類審査と筆記試験、面接で選考され、それらは基礎学力方式の合否判定の対象にもなるため、一度の出願によって2つの方式で合格のチャンスがあることになります。筆記試験はマークシート方式で、英語、国語、数学から1科目を選択します。
女子特別選抜の面接では、「平和な社会の実現やSDGsの課題解決に向けて何を学びたいか」が問われます。アドミッションズセンターの藤下泰子さんはこう話します。
「日常生活やニュースから感じる課題に対して、どうすればより良くなると考えるのか、そのために大学4年間で何を学んでいきたいのかが問われます。例えば、本学では学生たちがSDGsについて学ぶ中で『生理の貧困』という課題を見つけ、生理用ナプキンの無料ディスペンサー(配布装置)の設置を決めました。このように、日常生活で感じたことが学びにつながるという意識をもった受験生に来てもらいたいと考えています」
女子枠での入学者に、初年次50万円を支給
女子特別選抜の入学者に対しては、初年次に50万円の奨学金を給付したり、希望者には学生寮への入寮を優先確約したりするなど、サポート体制も充実しています。成績優秀者には、50万円が4年間支給される制度もあります。
「本学の学生は、約半数が関東圏以外の出身で、奨学金の貸与を受けている学生も多くいます。地元を離れる不安を抱えている方や、経済的理由から進学を迷っている方に向けて支援ができたらと考えて奨学金や寮を用意しました。チャレンジのきっかけになるとうれしいです」
入学後は、キャリアビジョンなどについて、女性の教員や大学院生に一対一で相談できるアドバイザー制度もあります。研究職や企業の専門職として活躍する卒業生による理系リーダーシップセミナーも実施する予定です。社会で結果を残してきた女性のロールモデルに出会うことで、進路やライフスタイルの悩みを解決するヒントにしてもらいたいという狙いです。
創価大学では、30年までに情報システム工学科に占める女子学生の割合を30%まで、グリーンテクノロジー学科と生命理工学科は40%まで伸ばすことを目標に掲げています。さらに、女子特別選抜の導入をきっかけに、大学全体で社会課題への取り組みを活性化させたいと考えています。
「まずは女子特別選抜を成功させ、女性の理工系人材輩出を目指して、多様な進路やライフスタイルを切り開いていくための取り組みを進めていきます。女子特別選抜は理工系分野における男女比の不均衡という社会課題を解決するための対策です。導入にあたっては、日本で女性の理工系人材が足りていない歴史的背景やジェンダーバイアスの問題について議論を重ねてきました。社会課題の解決に向けて今できることは何か、女子特別選抜の導入を転換点として、教職員も学生も一体となって率直に議論していきたいです」
(文=大室みどり)
【写真】2026年度入試でさらに増える「女子枠」 オープンキャンパスに集まる高校生たち
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