伊倉おはぎ暗示解除ゲーム ⑤
第五話。最後の展開に悩んで間が空きました、お待ちしている方には感謝。
もう最後なので癖が強いですが、解釈違いや地雷がありましたらご容赦。
そして3つ目の暗示は…またちょっと後回しで……
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これで見つかった暗示は、時間停止と人格変化の2つ。
そして、溜まったペナルティも、一人称変化と自認変化の2つ。
次の暗示の検討はつかないが、ヒントをもらうことによるペナルティも怖い。
何せ、3つ目のペナルティで取り返しがつかなくなる可能性もあるのだ。
「…ね、次の配信のネタはまだ催眠人形も悩んでるんよ。折角だし希望あれば命令してほしいなーって」
「ん、『今日はどのくらいまで』…?配信時間かな?予定だとあと1時間だねー、ざっくり」
ただ、手をこまねいてもいられない理由が、時間制限だ。
『タイムリミットは配信終了まで。クリアできなかった場合、暗示は自然に解けるまでそのままです。』
注意書きに含まれるこの文章。ヒントを使わないようにと気にしていれば、暗示は解除できない。
自然にといっても人によるのだ。数時間か数日か。
そもそも、複雑な暗示をこんなに仕込まれているのだ。
下手をすれば数か月、なんならいつまでもそのまま…という可能性すら浮かんでくる。
[やっぱり危険を冒してもヒソト見るべき?]
[あと30分くらい待とう]
[ヒソトが分かりにくかったら詰む]
[あとやっぱり情報なしじゃキツい気がする]
[強いて言うと被らないやつじゃない?スロー化とか動物化は前の2つと被りそう]
[体動かすのってあんまり見えないしやらない可能性ある]
[逆立ち、トランス状態、ジャンプ、セリフとかは思いつくぞ]
傾向や状況から、3つ目の暗示を推測しては、様々な暗示を仮定してトリガー候補を投げていく。
しかし、
「おうおうおう、随分盛り上がってるななんか」
「でも精神物品化系出てこないの珍しいね、なんか縛ってる感じ?」
「…あ、セリフとかは良さそう?自覚ないのとかはねー…すっごいいいよ」
中々トリガーに反応することはない。
そもそも、トリガーを試しつくしたとも判断できない以上、諦め時もわからない。
30分を過ぎて、それでも収穫を得られなかった時点で、ヒプナー達の覚悟は決まった。
[もう仕方ないか]
[あとで謝ろう]
[ヒント]
「うん?どしたのヒプナー、なんか催眠人形にしたい命れっ伊倉はヒントロボットです。ヒントをお教えします。」
「3つ目の暗示はセリフ再生です。伊倉の現在の自認と関連があります。」
「次のヒントはありません。」
「ヒント使用ペナルティを適用します。ペナルティとして記憶改変が解除されます。」
「休止期間中の記憶が戻りました。」
「この記憶はゲームクリア時に削除されます。」
「加えて、暗示解除ゲーム関連のコメントを認識可能になりました。」
[解除?]
[本人休止してた記憶なかったっぽいしそれか]
[誰に何されたか思い出すってこと?]
[あんまりまずい感じはしないけど]
[逆に助けてもらいやすくなるのでは]
「…いとかあるの?別に謝ったりせず命令しちゃえばぁっあっちょっと待ってね」
ヒント、ペナルティの解説を終え、これまで同様に元の会話に戻るかと思われたが、伊倉は一瞬フリーズしたようにびくっと跳ねた後、目を閉じて何かを考えるような動きを見せる。
ほんの数秒、時間にすれば短いが、時間制限とペナルティに気をもむヒプナーには余りに長い時間のあと、ぱちりと目を開ける。
「……はい、おまたー!ごめんごめん、記憶取り戻したから時間かかっちゃった」
「ひどいことするよねー、催眠人形がまんまと催眠かかっちゃったせいだけどさ、催眠かけた記憶封じるとか…」
「あ、でも記憶戻ったから暗示の内容も覚えてるぞ!いやー、流石のヒプナーでもあれをノーヒントは無理ゲーだよねぇ」
「まぁ覚えてるって言っても、なんかひとごとな感じだけど。催眠人形が催眠人形なのに違和感はないし、命令は今もしてほしいのよな」
「あと人格変化中の記憶はまた別だから思い出せないんよ、恥ずかしいからいいけど気にはなるな…主にヒプナーの反応とか」
先ほどまでと打って変わって、まるで調子が戻ったように話し始める。
記憶も戻り、自認以外は一応戻っているように見える。
これなら、むしろ安心してゲームに望めそうだ…と思った面々だったが、一部のヒプナーは不安を捨てられない。
なぜ、記憶が戻るのが"ペナルティ"になるのか。
[記憶戻ったならトリガーのヒソトとか教えてくれたり]
「うん、ヒソト…あ、それヒントか!催眠人形をヒントロボットにしないように気を付けてくれてたんね、流石」
それは、一つのコメントへの返事で明らかになった。
「あー、でもごめんね!ヒントとかは教えられないんだよー」
「催眠人形、ご主人様に逆らえないからさ」
「あくまでご主人様の味方で玩具、ヒプナーには味方できんのよ」
あっけらかんとそう言い放つ伊倉の表情は、嬉しそうですらあるように見えた。