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アンドルー王子逮捕で注目「misconduct」──日本の「不祥事」とは違う?

翻訳家/オンライン洋書多読コミュニティ主宰
BBC・CNN頻出!国際ニュースを読むための必須単語

2026年2月19日、英国で歴史的な出来事が起きました。チャールズ国王の弟、アンドルー・マウントバッテン=ウィンザー(元アンドルー王子)が逮捕されたのです。

BBC、CNN、ロイターなど世界中のメディアが一斉に報じたこのニュースで、繰り返し登場する英語表現があります。

それが「misconduct」です。

「公務上の不正行為の疑い(on suspicion of misconduct in public office)」──この表現は、英国メディアが何度も何度も使っています。

日本語では「不正行為」「不祥事」と訳されることが多いこの単語ですが、英語の"misconduct"には日本語の「不祥事」とは少し異なるニュアンスがあります。

今回は、この「misconduct」という単語を深掘りし、ニュース英語を理解する上で欠かせないこの表現の使い方を学びましょう。

「misconduct」の意味とニュアンス

misconduct = 不正行為、非行、職務違反

発音: /ˌmɪsˈkɒndʌkt/ (ミスコンダクト)

"misconduct"は、地位や職務にある人が、その立場を悪用したり、期待される行動基準から逸脱したりする行為を指します。

日本語の「不祥事」が「会社のイメージを損なう出来事」という広い意味で使われるのに対し、英語の"misconduct"はより具体的に「不適切な行為そのもの」を指します。

特に重要なのは、「misconduct」は個人の行為に焦点を当てるという点です。組織全体の問題ではなく、「この人がこういう不適切な行為をした」というニュアンスが強いのです。

語源・成り立ち

「misconduct」の語源とイメージ
「misconduct」の語源とイメージ

"misconduct"は2つの部分から成り立っています:

  • mis-:「誤った」「悪い」を意味する接頭辞
  • conduct:「行為」「振る舞い」を意味する名詞

つまり、「誤った行為」「不適切な振る舞い」という意味が語源から明確に分かります。

同じ"mis-"を使った単語には、以下のようなものがあります:

  • mistake(間違い)
  • misunderstand(誤解する)
  • misbehave(行儀が悪い)

類義語・関連表現

類義語

  • wrongdoing:不正行為(より一般的な表現)
  • malpractice:医療過誤、職務上の過失(特に専門職で使われる)
  • malfeasance:不正行為、職権乱用(法律用語として使われる)

関連表現

  • professional misconduct:職業上の不正行為
  • sexual misconduct:性的不正行為
  • academic misconduct:学術上の不正行為(論文盗用など)
  • misconduct in public office:公務上の不正行為(今回のニュースで使われた表現)

"misconduct in public office"は、公務員や公的な立場にある人が、その地位を利用して不適切な行為をした場合に使われる法律用語です。

実際のニュースでの使われ方

BBC News : Andrew Mountbatten-Windsor arrested on suspicion of misconduct in public office

"Start with breaking news about Andrew Mountbatten Windsor. The BBC understands that he has been arrested on suspicion of misconduct in public office. Uh that's from our correspondent who has uh found that information out." (アンドルー・マウントバッテン・ウィンザーに関する最新ニュースから始めましょう。BBCは、彼が公務上の不正行為の疑いで逮捕されたと理解しています。それは、その情報を発見した私たちの特派員からのものです。)

動画の0分0秒あたりでこの表現が登場します。 0:00から再生

動画内でのその他の使用箇所

0分36秒付近:

"the former Prince Andrew has been arrested on suspicion of misconduct in public office." (元アンドルー王子アンドルー・マウントバッテン=ウィンザーが公務上の不正行為の疑いで逮捕されました。)

0:36から再生

4分2秒付近:

"Andrew Mountbatton Windsor has been arrested this morning on suspicion of misconduct in public life." (アンドルー・マウントバットン・ウィンザーが公務における不正行為の疑いで今朝逮捕されました。)

4:02から再生

動画の内容まとめ

逮捕の概要

BBC Newsの報道によれば、アンドルー・マウントバッテン=ウィンザー(元アンドルー王子)が2026年2月19日、公務上の不正行為の疑いで逮捕されました。

逮捕されたのは彼の66歳の誕生日で、サンドリンガム邸宅内のウッド・ファームという住居に住んでいたところを警察に連行されました。

疑惑の内容:機密情報の漏洩

疑惑の内容は、彼が2001年から2011年まで英国の貿易特使を務めていた際に、機密の政府文書や商業情報を、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインに転送していたというものです。

具体的には:

  • ベトナム、シンガポール、中国への訪問に関する政府報告書
  • アフガニスタンの金とウランへの投資機会に関する情報

これらの情報が、2010年頃にエプスタインに送られていたとされています。

貿易特使には「公式訪問に関する機密の商業情報や政治情報について守秘義務」があり、これに違反した疑いで逮捕されたのです。

チャールズ国王と王室の対応

動画では、チャールズ国王がこの問題に対して何度も先手を打とうとしてきた様子が語られています。

2025年10月:王室の称号剥奪

  • チャールズ国王は弟からすべての王室の称号を剥奪しました
  • これ以降、「プリンス・アンドルー(Prince Andrew)」ではなく「アンドルー・マウントバッテン=ウィンザー」と呼ばれるようになりました

2026年2月初旬:王室住居からの追放

  • 今月初め、王宮(ウィンザー城のロイヤル・ロッジ)から追い出され、サンドリンガム邸宅内のウッド・ファームに移されました
  • これは兄チャールズ国王の決定でした

警察捜査への協力表明

  • チャールズ国王は、警察が行うあらゆる捜査に協力する用意があると述べており、この問題に対する王室の姿勢を明確にしようとしていました

王室へのダメージ

動画の中で、BBCの記者ルーシー・マニング氏は「王室にとって極めて深刻なダメージ(extremely damaging)」と表現しています。

王室は過去にエプスタイン被害者への思いを表明する声明を2度出していますが、アンドルーと距離を置くだけでは不十分だという意見もあります。

近代史上初めて、王室の上級メンバーが英国警察に逮捕されるという異例の事態となりました。

アンドルーの過去の主張との矛盾

アンドルーはこれまで、エプスタインとの関係について「エプスタインが性犯罪で有罪判決を受けた2008年以降、関係を終わらせた」と主張していました。

しかし、今回公開されたエプスタイン・ファイルの電子メールによれば、2010年にも機密情報をやり取りしていたことが明らかになり、彼の過去の主張が虚偽だった可能性が高まっています。

日常での使い方・例文

1. ビジネスシーン

The CEO was fired for misconduct after an internal investigation revealed he had been embezzling company funds for years. (社内調査で何年も会社の資金を横領していたことが明らかになり、CEOは不正行為のため解雇された。)

She was accused of professional misconduct when she shared confidential client information with a competitor. (彼女は機密の顧客情報を競合他社と共有したとして、職業上の不正行為で告発された。)

2. スポーツ・学術シーン

The athlete was banned from competition for two years due to misconduct involving performance-enhancing drugs. (その選手は、パフォーマンス向上薬物に関わる不正行為により、2年間の出場停止処分を受けた。)

The professor resigned after being investigated for academic misconduct related to plagiarism in his research papers. (その教授は、研究論文における盗用に関連する学術上の不正行為で調査を受けた後、辞任した。)

3. 日常会話

His misconduct at the party last night was embarrassing – he needs to apologize to everyone. (昨夜のパーティーでの彼の不品行は恥ずかしいものだった──彼はみんなに謝罪する必要がある。)

まとめ:この表現を覚えると、こんな場面で役立つ!

  • 国際ニュースの理解:BBC、CNN、The New York Timesなどの報道で頻出。政治スキャンダル、企業不祥事、スポーツ界の処分など、様々な場面で使われます。
  • ビジネス英語:企業のコンプライアンス、内部調査、懲戒処分に関する文書で必須の単語です。
  • 法律・規制関連:契約書、就業規則、行動規範(Code of Conduct)などで「不正行為」を指す際に使われます。
  • 英語での議論:「その行為は不適切だ」と主張する際、"That's misconduct"と言えば、単なる「マナー違反」ではなく「職業倫理や規範に反する行為」というニュアンスが伝わります。

"misconduct"は、単に「悪いこと」ではなく、「立場や職務にある人が、その地位を悪用したり期待される基準から逸脱したりする行為」を指す重要な単語です。

国際ニュースを読む際、この単語が出てきたら「ああ、これは単なるミスではなく、職務上の不正行為として問題になっているんだな」と理解できるようになります。

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ありがとうございます。
翻訳家/オンライン洋書多読コミュニティ主宰

国際金融の現場で 企業リサーチや日本株投資に約16年 関わった後、翻訳と言語の世界へ。現在は、海外メディアが取り上げる英語ニュースをもとに、英語学習者が知っておきたい表現や言い回しを、「この英語、なんでこう言うんだろう?」という視点から、わかりやすく解説・活用法まで紹介しています。 オンラインで洋書を読む 多読クラブを運営。やさしい英語の本や音声に毎日少しずつ触れることで、英語を「勉強」しなくても、気づいたら意味がそのままわかるようになる過程を、実例とともに発信中です。

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