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大津赤十字病院(大津市)に勤務していた看護師の女性=当時(41)=が2021年に自殺したのは、新型コロナウイルスの感染リスクが高い業務に従事した上、男性医師から受けた叱責(しっせき)が原因だとして、大津労働基準監督署が労災認定していたことが19日、分かった。コロナ禍を経て改正された認定基準「感染リスク」が適用された。遺族は同病院を運営する日本赤十字社に慰謝料など約1億円の損害賠償を求めて大津地裁に提訴した。18日付。
訴状などによると、内科勤務だった女性は21年3月、コロナ感染の疑いがある患者を搬送する際、手袋のままカーテンを閉めようとして男性医師から「感染対策がなってない」「君みたいな人がいるから感染が広がる」などと10分以上とがめられた。その後、女性は抑うつや不眠などの症状が出て休職。同4月に自宅で命を絶った。
大津労働基準監督署は23年2月に労災申請を退けた。遺族は不服として再審査を請求し24年6月、新基準に該当するとして認定された。審査関連の書面では、医師の叱責は「業務指導の範囲内ではあるが強かった」と言及。感染リスクの高い業務の状況もあり女性の心理的負荷は高かったとしている。
遺族側は、男性医師のパワーハラスメント行為で他の看護師も休職していたが対応を怠ったとし、安全配慮義務違反があったと訴えている。大津赤十字病院は取材に対して「訴状が届いておらずコメントを差し控える」とした。
厚生労働省によると、感染リスクについて定めた新基準に該当するとして労災認定された例は23、24年度で計4件という。