【滑舌の盲点】「口を大きく」の罠。現役講師が教える、声の輪郭を作る「筋肉」の正体
「口を大きく開けて!」
「もっと舌をしっかり弾いて!」
声優の専門学校や養成所で、必ずと言っていいほど受けるアドバイスですよね。
たしかに、口を大きく開けることで口腔内の空間が広がり、響きが良くなります。舌を強く弾くのも、日本人が苦手な「ラ行」や「ナ行」の滑舌を良くするために、とても有効なトレーニングです。
「舌っ足らずな発声になってしまっているな⋯」と感じている皆さんは、まずは舌を強く弾いて発声するよう意識していけば滑舌の改善が見込めますよ!
……ですが、この言葉の「受け取り方」を一歩間違えると、どれだけ練習しても滑舌が良くならないばかりか、声がぼやけたままになってしまうんです。
「口の奥」よりも「口の先」
滑舌を改善する本当のポイントは、口の開き具合(大きさ)だけでなく、「口の周りの動き」に注目すること。
実は、私たちの口の周りには「口輪筋(こうりんきん)」という筋肉が働いています。
どれだけ大きく口を開けても、この「口の先」がスムーズに動いていなければ、音は出口でバラバラに散らばってしまいます。
「一生懸命、口を開けて練習しているのに、なかなか滑舌が良くならない……」
もしあなたが今、そんな壁にぶつかっているなら、一度「口を大きく開ける」という言葉から離れてみませんか?
意識を「口の奥」から、声の出口である「口輪筋」へと移して練習してみる。それだけで、声の明瞭度は驚くほど変わります。
💡 【1日3分】滑舌が劇的に変わる「口輪筋」王道トレーニング
ここからは、私が実際のレッスンでも取り入れている、口輪筋を鍛えるためのトレーニングをお伝えします。
特別な道具は一切いりません。移動中でも、寝る前でも、なんならマスクをしていれば電車の中でもできる「秘密の特訓」です。
練習方法:母音の「スイッチ」トレーニング
やり方は、母音の口の動きを組み合わせて、素早く繰り返すだけです。
「ア」と「エ」を組み合わせて: 「アエアエアエ……」
「ウ」と「イ」を組み合わせて: 「ウイウイウイ……」
一見シンプルですが、プロレベルの滑舌を手に入れるためには「2つの絶対守るべきポイント」があります。
1. 音を「混ぜない」こと
「ア」と「エ」が混ざって「アェアェ……」となったり、「ウ」と「イ」が「ウィウィ……」と繋がったりしないように注意してください。それぞれの母音の形を「0か100か」でパチっと切り替える感覚です。
2. リズムを「カクカクさせない」こと
ここが一番のポイントです。一音一音区切りすぎて音がカクカクしてしまうと、それは「言葉」になりません。
「ア」と「エ」が全く同じ音のリズムで、かつ滑らかに流れるように発声してください。
この「明確さ」と「滑らかさ」が両立したとき、あなたの滑舌は格段にレベルアップしています。
最後に
物理的なトレーニング(技術)も大切ですが、その土台にあるのはいつも「心」です。
次回は視点を戻して、心理的な面から見た発声や滑舌について深掘りしていこうと思います。
「声と心について、こんな悩みがある」「この記事のここを詳しく知りたい!」というものがあれば、ぜひお気軽にコメントくださいね。
あなたの声が、もっと自由に届くようになりますように。
この記事を書いた人:カナデ
「声が変われば、人生の表現が変わる」をモットーに、声優専門学校での指導と心理学の研究を掛け合わせた独自のメソッドを発信しています。
もし今回の「口輪筋トレーニング」が役に立った!と感じていただけたら、「スキ」や「フォロー」で応援していただけると、これからの執筆の大きな励みになります。
次回は再び「心」の視点に戻り、「なぜ私たちは、人前に立つと自分の声を『嫌い』になってしまうのか?」という、表現者が避けては通れないメンタルの壁についてお話しする予定です。
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