喉(のど)を開く。「あくび」で響かせる、低音の共鳴板。
読むだけで口が変わる 英語発音譜面(English Score)第3回
はじめに:あなたの英語が「安っぽく」聞こえる理由
前回、私たちは「犬の呼吸」を手に入れ、エンジン(肺)を強化しました。 しかし、まだあなたの音は完成していません。
録音した自分の声を聞いて、「なんか薄っぺらいな」「キンキンするな」と感じませんでしたか? ネイティブのあの**「腹の底から響くような、太くて低い声(Deep Voice)」**は、一体どこから出ているのでしょうか。
答えは、**「喉(のど)の空間」**です。
安いギターと高級なギターの違いは、「ボディ(共鳴板)の空洞」の質にあります。 今日、私たちはあなたの喉を工事して、ストラディバリウス並みの響きを持つ「英語専用ホール」を作ります。
日本語は「ストロー」、英語は「土管」
なぜ、日本人の声は高く、細くなるのか。 それは、日本語という言語が、喉を締め上げて、口先だけで発音する言語だからです。
イメージしてください。
日本語の喉: 細いストロー。 息の通り道が狭い。音は鋭く、高くなる。
英語の喉: 太い土管。 息の通り道がガバっと開いている。音は太く、低く響く。
ネイティブが英語を話しているとき、彼らの喉の奥は、常にリラックスして全開になっています。 これを作らない限り、どんなに正しい発音記号を読んでも、音は「日本語の周波数」から抜け出せません。
トレーニング:あくびをして「卵」を産む
では、どうすれば「土管」のような喉を作れるのか。 人類全員ができる生理現象を使います。**「あくび」**です。
【Action:あくびの寸止め】
大あくびをする: 恥じらいを捨てて、「ファーア…」と大きなあくびをしてください。
喉の奥を観察する: あくびのピークで、口の奥の天井(軟口蓋)がグッと持ち上がり、逆に喉仏(のどぼとけ)が下がって、喉の奥に巨大な空間ができませんでしたか?
その空間を維持する: あくびをして、口を閉じる直前の**「喉だけ開いている状態」でストップします。 まるで、「喉の奥にゆで卵を一個隠し持っている」**ような感覚です。
この**「喉に卵が入った状態」**こそが、英語を話すときのデフォルトの構え(ホームポジション)です。 日本語を話すとき、卵は潰れています。英語を話すときは、常に卵を守って話します。
喉仏(アダムズアップル)を触ってみよう
物理的なチェック方法があります。 自分の喉仏に指を軽く当ててみてください。
日本語で「こんにちは」と言う: 喉仏が少し上に上がりませんか?(喉が締まっている証拠です)
あくびの口で「Hello」と言う: 喉仏が下に下がり、その位置でキープされますか?(喉が開いている証拠です)
英語の発音中、喉仏は常に「下」に置いておくのが理想です。
今日のIPA譜面:最も喉を開く音 /ɑː/
それでは、手に入れた「土管のような喉」を使って、音を鳴らしてみましょう。 全母音の中で、最も口と喉を大きく開く音、/ɑː/ です。 お医者さんに「喉を見せてください、アー」と言われる時の、あの「アー」です。
【本日の譜面】/ fɑːðər / (Father)
「ファザー」ではありません。
あくびの準備: 喉の奥に卵を入れる。喉仏を下げる。
吸気: お腹で息を吸う。
演奏:
/ f /: 下唇に上の歯を軽く当て、息を漏らす。
/ ɑː /: ここです! 縦に指が3本入るくらい口を開け、喉の奥の空洞を響かせて、低く太い声で「アーー」。
/ ðər /: 舌先を軽く噛んで振動させ、最後は舌を引く。
どうでしょう? 自分の声が、いつもより**「半音〜一音」低く**聞こえませんか? そして、胸(チェスト)がビリビリと振動していれば成功です。それが「英語の響き」です。
本日の課題(Homework)
次回まで、日常の中でこの動きを癖にしてください。
「『あくび声』で独り言を言う」
トイレやお風呂の中で、わざとあくびをした状態のまま、低い声で "Good morning", "Thank you" と言ってみてください。 最初はマヌケな声に聞こえるかもしれませんが、それがネイティブの耳には「落ち着いた、信頼できる大人の英語」に聞こえるのです。
次回予告:第4回「舌のホームポジション」
呼吸よし、喉よし。次はいよいよ、口の中のメインプレーヤー「舌」の登場です。 実は、日本語と英語では、何も喋っていない時の「舌の置き場所」が真逆だった!? これを知らないと、LとRの発音は一生できません。
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