<ソフトバンク0-2オリックス>◇21日◇ヤフオクドーム
惜しい!
オリックス金子千尋投手(29)が残り打者4人でノーヒットノーラン達成を逃した。球威、制球ともに抜群の内容で、ソフトバンク打線を封じた。自身初の偉業はならなかったが、9奪三振、1安打完封で2年ぶりの2桁勝利。これぞエースの投球で、チームの借金「10」を阻止した。
その打球が右中間で弾むと、敵地にため息と歓声が交錯した。ノーヒットノーランは残り打者4人で、夢と消える。8回裏2死。金子が投じた100球目だ。ソフトバンクの代打柳田が二塁打を放ち、球団では昨年の西以来、2年連続の快挙達成を阻まれた。場内に高まった緊張が緩んでいく。そんな中で何も変わらなかった男がいた。
金子
知っていたが、意識したところで、何が変わるわけじゃない。勝つためにやっている。ノーヒットノーランをやるために、やっているわけじゃない。
悔しがるそぶりは全く見せなかった。そして残りのアウト4個を冷静に取った。9奪三振で被安打1。今季3度目の完封で2年ぶりの2桁勝利を挙げた。
快投を支えたのは、直球にフォーク、スライダーといった8種類の球種。キレと制球が抜群で、相手打線に的を絞らせなかった。すべての球種を高いレベルで使いこなすのは、手先の器用さだけではない。自分で「限界」を作らない考え方があった。
金子
ブルペンで完成するまで使わないなんて、もったいない。自分が見た変化とバッターが見た変化は違うかもしれない。実戦で投げてみないと分からない。
キャッチボールで新球を試し、未完成のまま本番に投入する大胆さがある。実戦で通用しなければ意味がない。それはすべて勝利のためだ。
エースが瀬戸際のチームを救った。この日負けていれば、借金はワーストの「10」。2桁の大台到達を阻止した。無安打無得点のかかった緊張感もあって、試合後のベンチ裏は大盛り上がりで勝利を祝った。
金子
このままズルズルいってしまうかもしれない中で、いいピッチングができた。上に上がるには、勝ち続けるしかない。まだあきらめていない。
終戦には、早すぎる。流れよ、変われ-。会心の111球が、まばゆい輝きを放った。【田口真一郎】