西武が阪神相手に“ノーノー未遂”で完封勝ちした。9回2死まで継投でのノーヒットノーランも、阪神前川に数センチの差での内野安打を許し、リクエストでも覆らなかった。西武の新指揮官、西口文也監督(52)といえば、現役時代に3度のノーノー未遂でも有名。ただ未遂年は全てAクラス入りと吉兆もある。昨季は借金42、91敗。ノーモアどん底。ノーマークからひょうひょうと勝ち上がる。
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「9回2死」への敏感度では、球界に類を見ない。予感もあった。「心の中でひょっとしたら打たれるんじゃねえのかな…思ったりしなくはなかったけどね」。西口文也だからこそ。「自分がツーアウトから2回打たれてるから、打たれるならそこしかないって」。
獅子党はこの言葉の深意を知る。担当記者のSNSで紹介した。瞬く間にコメントや拡散が始まる。試合後2時間で13万人に届く。「経験者は語る」「説得力が段違い」「言葉に重みが」。とめどない通知に、スマホの充電が一気に危険水域にまで減っていく。
通算182勝118敗の大投手ゆえ、この“未遂”っぷりがある種のネタに昇華する。「ノーノーの難しさ? 何もございません。私の場合は途中から打たれてもいいと思って投げてたから」と悟りの域だ。
演出はした。先発候補の21歳左腕の菅井に対し、組ませた捕手は1軍初昇格の育成3年目是沢。「本当は違う捕手でいこうかなと思ってたけど」。菅井と是沢はファームで20回近く、バッテリーを組んでいる。「せっかくなんでね。大正解でした。ナイスリードでした」。若い2人が5回無安打でゲームを作った。
唯一の内野安打を打たれた新外国人トレイ・ウィンゲンター投手(30=カブス)も、ボスの未遂歴を耳にしていた。「後悔してます。反省してます」。笑いながら謝る。昨季勝率3割5分のチームだ。でも助っ人は「今はそういうチームに見えないですね。ここまですごくいい戦いができている」と実にうれしそう。