高見道子さん
福岡県
89歳
2008年3月7日 紙面掲載
2021年2月18日 配信
最近、何事も忘れやすくなった私ですが、なぜか毎年この時期になると思い出すのが「爆弾三勇士」の歌です。
1932(昭和7)年、私が女学校1年生の時、上海事変(中国の上海国際共同租界周辺で日中両軍が交戦)が起きました。
2月のある日、朝刊1面の最上段に、3人の工兵の大きな顔写真が並んでいました。3人は、味方の突撃路を築くために、破壊筒を抱えて敵の鉄条網を破壊し自らも爆死した、という記事を感慨をもって読んだことを覚えています。
そして、勇敢な彼らをたたえる歌がすぐにできました。作曲者は忘れましたが、作詞は与謝野鉄幹で、♪……如月(きさらぎ)の二十二日の午前五時……江下、北川、作江たち……、という歌詞も記憶に残っています。
それから十余年、戦争は過酷さを増し、最後は原子爆弾で終結しました。変わりゆく世につれ、爆弾三勇士のことは次第に忘れられていきました。覚えているのはせいぜい私たちの年代と、3人の遺族の方ぐらいでしょうか。歌詞にある年月で、私は毎年思い出すのです。