高市首相が表明へ 「裁量労働制」の拡大はなぜ問題か? #エキスパートトピ
政府が裁量労働制の拡大の検討を促進しようとしていることが分かった。20日の施政方針演説で表明する見通しだという。
裁量労働制については、第二次安倍政権下の2018年にも拡大が目指されたが、労働者側の強い反発にあったほか、政府が裁量労働制により労働時間が短くなるように見せかけるため、統計を改ざんしたことが大きな問題となり、結局改正には至らなかった。
改めて、裁量労働制の拡大に関する議論はどこに問題があるのか、整理しておこう。
ココがポイント
高市早苗首相が、特別国会の施政方針演説で裁量労働制の見直しを表明する方向で調整していることがわかった。
出典:朝日新聞 2026/2/17(火)
週の労働時間が60時間の労働者に注目すると、裁量労働制の適用されている労働者で9.3%…となり、1.7倍となっている。
出典:今野晴貴 2021/6/26(土)
エキスパートの補足・見解
裁量労働制は業務の遂行に裁量のある労働者に対し、事前に定めた「みなし時間」働いたものとみなし、それ以下しか働かなかったとしても、それ以上働いたとしても同じ額の給与が支給される。だが、実際には、裁量労働制は「みなし時間」よりも多く働かせる場合が多く、労働時間は普通の労働者よりも長い。過大なノルマを与えて「みなし時間」以上働かせても給与の支払い義務が発生しないため、「定額働かせ放題」のように扱う事業主が後を絶たないのだ。
実際に、2019年に厚労省が改めて示した資料では、一般的な長時間労働の指標である週の労働時間が60時間の労働者の割合が、裁量労働制の適用されている労働者で9.3%、裁量労働制の適用されていない労働者だと5.4%となり、実に1.7倍にもなっていた。
また、同調査では、「業務の遂行方法、時間配分等」についての裁量は労働者の9割が保持していたが、「具体的な仕事の内容・量」については約3割で上司が決めていた。つまり、業務量に対する裁量を持たない労働者が少なくないのだ。これでは、長時間労働が起こるのも無理はない。
20日の所信表明演説でこれらの調査事実をどこまで踏まえた案が提示されるのか、注目してほしい。