母が残した最期の言葉「私に時間を使わなくていい」 スキージャンプ銅メダルの丸山希は、葬儀に出ないで競技を続けた 「今もどこかで見てくれている」
「ジャンプ部に入ってからは練習がつらく、よくコーチに反抗してけんかした。それでもジャンプを続けることができたのは、根気強く指導してくださったコーチの皆さんのおかげ」 ▽「人間いつかは終わりが来る」 母が亡くなったのは高校卒業を間近に控えた時だった。自宅で一泊だけしてW杯に戻ったが、予選落ち。「負けたっていうか、どんなジャンプをしたかも自分で覚えていない。けっこう記憶がない感じ」 丸山にとって母は、ジャンプを一番近くで見てもらいたい存在だったという。 「その母の死を経験して、人間いつかは終わりが来ることを感じた。だから頑張れる時に頑張りたいという気持ちが強くなった」 その後も競技に打ち込み、明治大、北野建設と進んで国内のトップ選手に。夢だったオリンピックに近づいたが、2022年の北京大会は、前年10月に負った左膝の大けがで出場がかなわず。4年後の今大会で、ついに飛ぶことができた。
個人のノーマルヒルに加え混合団体でもメダリストになり、15日のラージヒルが今大会の最後のジャンプ。駆け付けた父は、母の遺影を胸に抱き、娘の最後の飛翔を見守った。結果は8位だったが、丸山は笑顔で大会を終えた。 「まさか母も、自分の子がメダリストになるとは思っていなかったと思う。メダル取ったよって伝えたいです」 柔和な微笑みをたたえて父の元へと歩み寄り、写真の中の母をそっと撫でた。