リベラル勢力の衰退が言われて久しい。衆院選で自民党が圧勝し、「生活者ファースト」をうたった中道改革連合が大敗した理由や背景について、「なぜリベラルは敗(ま)け続けるのか」(集英社インターナショナル)の著者、岡田憲治・専修大教授(政治学)に聞きました。
【インタビュー連載】この国のゆくえ
衆院選で高市首相の率いる自民党が圧勝しました。大きな力を得た政権は、数々の分野で「国論を二分する政策」を推し進めようとしています。国のかたちはどう変わるのか。日本はどこに向かうのか。国内外の識者にインタビューします。
――今回の衆院選では、「リベラル政党」が大敗したと評価されています。
「小選挙区で野党が乱立すれば自然にこうなるのですが、それだけではありません。リベラルと言われる政治家たちは、正論をぶつ、批判ばかりで具体的な提案もしない人たち、と有権者から受け取られてしまった可能性が高いです」
「私の知る高校生は、中道改革連合の共同代表たちが話している様子をYouTubeで見て、『ないわー』と反応していました。彼らにとって旧立憲議員のイメージは、正しさを押しつける感じの悪い社会科教師。高齢男性だからというわけではなく、女性議員であっても似たイメージだそうです」
「リベラルが負けた」では見誤る
――そもそもリベラルとは何ですか。
「本来は、国家よりも個人、伝統よりも新しい価値観を優先し、公正な競争のために適宜市場に介入する政治思想を指します。今回、中道は抽象的な『人間の尊厳の重視』を掲げていましたが、野田佳彦共同代表はリアルに社会が直面する状況を言語化して、具体的に選択肢を示すことができなかった。これまでコアだった支持者に去られ、潜在的なリベラル層の受け皿にもなりませんでした」
――逆に、高市早苗首相はなぜ支持されたのでしょうか。
「高市氏は国家権威主義的な政治家です。示した政策のすじが正しいかは別として、『大きな決断をしなければいけない』などと言語化して選択肢を示し、リーダーらしさを強調しました。くらしや将来に不安を抱えた人たちには、『はっきり言う』『逃げない』『変えてくれそう』と映ったようです。有権者は、政治家やメディアが思うほど『リベラルか保守か』という観点で政党を判断していないと思います」
――今回の選挙結果から、「日本社会が右傾化している」と言えるわけではない、と。
「権威主義的な国家を求める人たちが大勢を占めているわけではないと思っています。たとえば、リベラル寄りの価値観といえる『選択的夫婦別姓の導入』については、各種世論調査でも『賛成』が上回っています。30代、40代の働く女性たちは、家庭のことを全て背負わされるような20世紀のシステムに戻りたいとは思っていない。単純に『リベラルが負けた』というおおざっぱな表現では、今日起こっていることを見誤ります」
「自民党が316議席もとっ…