辺野古より長い滑走路ないと「普天間返還せず」 米国防総省が見解
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設計画をめぐり、米国防総省が、代替となる長い滑走路が選定されるまで「普天間の施設は返還されない」とする見解を示していたことがわかった。滑走路が短くなることによる「能力不足」を米政府監査院から指摘されていた。同省は選定について、「日本政府の責任」だとしている。
日米両政府は普天間飛行場の返還をめぐる条件の一つとして、緊急時に長い滑走路が必要となった場合の民間施設の使用について定めている。今回の記述はこれを根拠として、米側の意向を明確化した形だ。普天間飛行場の利用継続に関する記述が米政府の資料で明らかになるのは異例。
米議会に付属する独立の調査機関である監査院は2017年、米海兵隊の普天間から辺野古への移転について、移転先の滑走路は「特定の航空機には短すぎる」とし、代替の滑走路を探すよう国防総省に勧告していた。
普天間の滑走路は全長約2700メートルだが、辺野古で計画されているのは約1800メートルが2本。大型機など一部の航空機には短いとされている。
今回の見解が記された資料は、監査院の勧告に対する国防総省の対応状況をまとめたもの。国防総省は代替となる滑走路の選定について、日本政府と協力を続けているとしつつ、最終的には「日本政府の責任」だと記述した。監査院は調査に基づいて政府機関に勧告を出すことができ、政府機関は対応状況の報告を求められる。
木原稔官房長官は16日の記者会見で、今回の米国防総省の資料の内容について「現在、防衛省において確認中」としつつ、「辺野古への移設完了後も、普天間飛行場が返還されないという状況は全く想定をしていない」と強調した。
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普天間基地の返還問題とは 過去にも紆余曲折
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還をめぐっては、これまでも返還時期が繰り返し延長されるなど曲折してきた。米軍にも名護市辺野古への移設計画の軍事的有用性に対する懸念がくすぶっており、米国防総省の見解が波紋を広げる可能性がある。
普天間の返還は、1996年4月に日米が合意した。前年に起きた米兵による少女暴行事件を機に噴出した基地集中への県民の反発に対し、具体的な負担軽減策として生まれたものだった。
返還は「県内移設」が条件とされ、2006年には辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸を埋め立て、V字形の滑走路を造る現行計画で合意。沖縄県の反対を押し切る形で工事が始まった。
ただ、普天間の滑走路は約2700メートルなのに対し、辺野古の2本の滑走路はそれぞれ約1800メートル。オスプレイやヘリコプターの運用に支障はないが、大型輸送機などの離着陸には不十分と指摘された。
こうした中、日米は13年4月、普天間の返還条件として合意した8項目の一つに「長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善」を盛り込んだ。
3千メートル級の「長い滑走路」がある民間空港は、沖縄本島では那覇空港(那覇市)しかない。稲田朋美防衛相(当時)は17年6月、この条件について「米側との具体的な協議、調整が整わなければ(普天間は)返還されない」と国会答弁。沖縄県は那覇空港の軍事利用が返還条件にされかねないとして、当時の翁長雄志知事が「大きな衝撃をもって受け止めている」と反発し、これに対し政府は「辺野古移設後、普天間が返還されないということは想定していない」と説明していた。
辺野古移設は「最悪」 くすぶっていた米側の懸念
そもそも米海兵隊の内部では、以前から辺野古の滑走路の短さに対する不満が根強い。
在沖縄米軍幹部は23年11月、地元メディアなどを対象とした説明会で、辺野古移設を「最悪のシナリオ」と呼んだ。具体的に指摘したのは、滑走路の短さと地理的制約の2点。短い滑走路は「米軍の能力に大きな影響を与える」として、「純粋に軍事的な観点からはここ(普天間)にいたほうがいい」とも語った。
米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」の上級研究員を務める米海兵隊中佐らが執筆し、今月3日にホームページ上で公開した論文でも、辺野古の滑走路は「普天間ほど長くないし、有用でもない」と指摘。日米両政府は、辺野古と普天間の双方を維持すべきだと主張した。米海兵隊や国防総省、政府の政策を代表する見解ではないとしている。
日本の外務省の関係者は「米側が合意をほごにすることはありえない。そうなれば計画がやり直しだ」と語る。一方、防衛省関係者は日本を取り巻く安全保障環境の悪化を踏まえ、「普天間を返還すると日本を守れないと言われれば、考えなければいけないかもしれない」と話した。
沖縄県は、今回の報道を受けて政府に問い合わせたが、具体的な説明を受けていないという。県幹部は「考えが分からず困惑している。普天間の早期返還は日米の約束のはずだ」と話す。
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- 【視点】
普天間の辺野古への移設は当初から海兵隊の中では不満の声が上がっていた。しかし、政治的な状況をふまえて指導部がこれを抑えた。辺野古への移設に想定以上に年月がかかる中、当時不満を持っていた隊員たちが幹部になり、政治的な配慮よりも軍事合理性を重視する傾向が海兵隊の中でみられるのは確かである。他方、普天間が持つ緊急時の滑走路の機能を辺野古に移せないことも明らかである。日米は緊急時を含めた民間空港の自衛隊と米軍による使用を拡大することで合意しており、那覇空港も含めて検討を加速することが求められる。
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- #トランプ復権1年
- 【視点】
常々、政治は裏切るものだということを沖縄県民は経験的に学んできた。真実はいつも別のところにあると思う皮膚感覚は、簡単に摘み取られるものではない。辺野古の場所というのは元々アメリカ軍が狙ってきた場所であり、そもそも普天間飛行場の「代替施設」とはリンクしない。代替施設として唯一であるという政府の詭弁が、今回の米政府の見解によってようやく裏付けられたことになる。 現在、新基地建設は辺野古側の土砂投入がほぼ完了し、軟弱地盤の改良工事が本格化して後戻りできないタイミング。強権を手にした日米のリーダーの下、いよいよ普天間基地と辺野古新基地の併存・活用強化の方針を、堂々と公にできると踏んだのだろう。要塞化する沖縄の使い道は、おそらくこれだけでは終わらない。こうなってくると、那覇軍港を含む他の返還計画、兵士削減計画も、条件後出しのどんでん返しが起きると考えた方がいい。沖縄は滑走路、港湾ともにはばかることなく、ミサイルや基地ありきの「軍民共用の島」と化していくのではないだろうか。 注目しているのは、高市政権で防衛副大臣に就任した宮崎政久氏が果たすべき説明責任だ。「普天間の危険性除去=辺野古移設」という政府方針を沖縄側で強力に推進・正当化してきた中心人物の一人である。普天間を抱える宜野湾を含む沖縄2区で出馬してきた宮崎氏は、2012年の初挑戦以来、過去5回は小選挙区で敗れ、比例復活の常連だったが今回初めて小選挙区での当選を果たした。つまり、当選結果は、普天間の危険性除去に「防衛の責任者」として最も力を発揮すると期待した県民の付託である。普天間の危険性は除去されないのに、新たな機能を強化した新基地が造られるという論理矛盾の核心である。この米政府の見解に対し、否定・肯定いずれにおいても、宮崎氏自身の肉声での説明が求められる。
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