【差戻第1審】内部通報を理由に業務命令拒否?研究所員の業務未遂行で解雇有効か?(令和2年11月24日名古屋地裁)
概要
平成4年採用の研究系所員として勤務していた原告が、平成29年3月30日の普通解雇の無効を主張して提訴した事案。原告は、労働契約上の地位確認に加え、解雇後の賃金として平成29年4月から判決確定まで毎月25日限り月額75万1472円の支払、さらに裁量労働制を適用しなかったことや「書き記し」を余儀なくされたこと等が不法行為だとして302万5275円の損害賠償を求めた。背景として、海外出張報告書の提出先・査読や修正指示、平成28年度業務として指示された国内外の研究動向調査、その後に指示された所内のCAE・シミュレーション研究に関する報告書調査などをめぐり、原告が上司・役員らに異議申立てや内部通報を繰り返し、面談・文書回答が行われた経緯がある。勤務状況の確認等のため産業医面談や外部受診結果の開示を求められ、平成28年7月に戒告、同年11月に出勤停止の懲戒処分を受け、労組による団体交渉も実施された。差戻し前の第1審で請求棄却となり、控訴審で手続上の理由から差戻された後、本件判決に至った。
結論
棄却
要旨
本判決は、原告の請求(①解雇無効による地位確認、②解雇後賃金の支払、③裁量労働制不適用や「書き記し」を強いられた等を理由とする損害賠償)をいずれも棄却し、訴訟費用も原告負担としました。
裁判所は、原告が平成28年3月頃から約1年にわたり、上司から指示された業務(出張報告書の提出・修正、諸動向調査、報告書調査等)に実質的に従事せず、注意・指導、面談、書面回答、期限延長、段階的な懲戒(戒告→出勤停止)を受けても態度を改めなかったこと、長時間の離席など業務専念義務に反する行動が続いたことを重視しました。原告が主張するハラスメントやコンプライアンス違反、内部通報への報復、総務部長の許可に基づく「書き記し」が業務だったという点はいずれも裏付けが乏しく、正当化理由にならないと整理しました。
その上で、改善や配置転換による解決も期待できない状況だったとして、就業規則所定の解雇事由(能力を著しく欠く等)に該当する客観的合理性があり、社会通念上も相当として普通解雇を有効と判断。解雇が有効である以上、解雇後賃金請求は発生せず、裁量労働制の適用除外や産業医面談指示、団体交渉対応についても違法性は認められないとして、不法行為に基づく損害賠償請求も退けました。


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