米連邦地裁、トランプ政権に奴隷制展示物の復元命令 ディストピア小説「1984年」に言及
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【2月17日 AFP】米連邦地裁は16日、判決で英作家ジョージ・オーウェルのディストピア(反ユートピア)小説「1984年」に言及し、ドナルド・トランプ政権に対し東部ペンシルベニア州フィラデルフィアにある国立公園から撤去した米国の奴隷制度の歴史的経緯を伝える展示物を元に戻す仮処分を命じた。
トランプ氏は大統領に復帰して以来、米国における人種関係をテーマとする教育・歴史カリキュラムや展示物を標的とし、文化施設に対する前例のない統制を強めている。
トランプ氏の取り組みは、マイノリティーに対する組織的差別への言及を消し去り、米国における奴隷制の歴史を覆い隠すことに重点を置いている。
3月に発令された大統領令では、連邦政府は長年にわたり米国の「建国の理念と歴史的節目を否定的に描いてきた」と主張し、「歴史にささげられた連邦政府の史跡を復元する」ことを義務付けた。
1月には、国立公園局がフィラデルフィアの大統領公邸から奴隷制に言及した教育パネル34点を撤去し、ビデオプレゼンテーションを停止したため、市が展示物の返還を求めて仮処分を申し立てた。
シンシア・M・ルーフェ判事は16日の判決文で、1984年に言及し、「政府は、歴史の記述を消去、改ざん、削除、隠蔽(いんぺい)する権限を自らのみ有していると主張している」と述べた。
さらに、「まるでジョージ・オーウェルの小説『1984年』に登場する『無知は力なり』をモットーとする真理省が今まさに存在するかのように、連邦政府が歴史的事実に対する権限をある程度有している時、歴史的真実を偽装し、解体する権限を有しているのかどうかについて、本裁判所は判断を求められている」「連邦政府はその権限を有していない」と付け加えた。
初代大統領ジョージ・ワシントンはフィラデルフィアが暫定首都だった時代に大統領公邸に住んでいた。ワシントンの奴隷たちもここで暮らしていた。
「新国家の形成における自由と奴隷制」と題されたこの展示物は、2010年から展示され、ワシントン夫妻が奴隷として働かせていた9人に敬意を表するものだった。
判決を受けて、フィラデルフィアの一部地域を代表する民主党のブレンダン・ボイル下院議員は、「私はわが国とその建国の理念を誇りに思っている。それは、わが国の歴史について、良いことも悪いこともすべて真実を語ることを意味する」と述べた。(c)AFP