映像は不鮮明だったが、国営テレビは「スクラトフ氏と似た男」「女性は売春婦」と放映。同氏は否定したが、当時、KGB後継機関のロシア連邦保安局(FSB)長官だったプーチン現大統領が「ビデオは本物」と断定し、同4月にスクラトフ氏は解任され汚職捜査も中止となった。ビデオ作成を指揮したとされるプーチン氏は、首相、大統領と出世の階段を上った。
KGBが常駐
外国人らからもこうしたスキャンダル情報を得ようと、タリンの同ホテルでは全客室約200のうち60室に盗聴無線器や写真撮影のための穴、空洞の壁、録音装置が入った花瓶などが仕掛けられていたという。
同ホテルはソ連時代の72年、クレムリン(ソ連指導部)が外国人観光客を迎えるため、タリン随一の高級ホテルとして建築された。表向きは22階建てだが、23階部分に秘密部屋が設けられ、常駐するKGBの要員が監視対象の客の会話を盗聴したり、隠し撮りした写真を確認したりしていた。
91年9月の独立直前にKGBが突然逃走。94年にホテルを買い取った民間業者が盗聴器や録音機などの機材が残された秘密部屋を見つけ、2011年から「KGB博物館」として公開した。レストランでも、裏側に録音機が仕掛けられた灰皿が見つかったほか、秘密の会話が交わされることが多かったサウナにも盗聴器があった。