経産省が公表した「2040年の就業構造推計(改訂版)」の衝撃的な内容 人口減少でも「大きな人手不足は生じない」と結論、逆に事務職・文系人材は“人余り”も
「AIロボット人材」と並んで大きく不足するのが「現場人材」(生産工程従事者や建設・採掘従事者、サービス職業従事者など)である。2040年時点で3283万人の需要に対し、供給数は3023万人にとどまり260万人不足するという。 産業別では、製造業で256万人、農林水産業で110万人不足する一方、運輸業・郵便業では26万人の余剰が生じると予想している。 すでに一部の業務で遅滞が生じているが、建設業やサービス業の担い手を確保できない状況がさらに深刻化したならば、国民生活に多大な支障が出よう。例を挙げるならば、住宅の修繕やエアコンの取り換えが簡単にできなくなるかもしれない。
“文系受難の時代”の始まり
これら2分野に対して、逆に大きな余剰となりそうなのが「事務職」だ。需要が1039万人しかないのに1476万人の供給が見込まれており、437万人があぶれる可能性があるというのだ。 情報通信業50万人、運輸業・郵便業27万人、卸売業・小売業26万人、建設業20万人と幅広い分野での余剰を予想している。一方、製造業は40万人不足するとしている。 次に、2つめの「学歴間」のミスマッチを見てみよう。 「職種間」と密接に連動するわけだが、とりわけ不足するのが理系人材である。大学卒は96万人、大学院卒が27万人、高等専門学校卒が15万人、工業科高校卒が91万人足りなくなるとしている。大卒者に関しては「AIロボット人材」が108万人不足するとの見立てだ。 これに対して、文系人材は大学卒で61万人、大学院卒で15万人、普通科の高校卒で31万人の余剰が生じるとしている。とりわけ大学卒は「事務職」において163万人もの余剰を予測している。 まさに“文系受難の時代”の始まりであり、このままでは「学校を出たものの……」となりかねない。 ■後編記事につづく:2040年「東京圏」の余剰人材は約200万人と推計、特に「事務職」採用は熾烈な競争に なぜ「労働需要のミスマッチ」が起こるのか? 政府に求められる新たな対策 【プロフィール】 河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。小学館新書『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』が話題。
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