2026神奈川県公立高校入試 問題分析と解説【国語】
2026年2月17日、神奈川県公立高校入試(共通選抜)が実施されました。前夜の雨は上がり、ピリッとした寒さは程よく受験生の気持ちを引き締めてくれたのではないでしょうか。
今年からはこちらのnoteで各問題の難易度も含めて、神奈川県公立高校入試国語の問題分析をしていきます。
受験生のみなさん、まずはお疲れ様でした。散々、「過去を振り返るな」と言われてきたと思いますが、終わりましたので、振り返ってもOKです。特色検査が残っている人は、あと1日、気持ちを切らさずに臨みましょう。
また、体調やその他の事情により、本試験に臨むことができず追検査を受けることになった方の何かの参考になれば幸いです。
各校の過去3年間の国語の合格者平均点推移も最後に載せています。よろしければ、ご覧ください。
神奈川県入試の“国語”
2017、2018、2020、2023、2025年では5教科の中で最も得点の取りやすい科目でした。過去数年の合格者平均点の推移を見ると、70点台となった翌年は必ず難化しています。2025年が易しかった影響で、2026年度は難化が予想されていました。実際はどうだったのでしょうか。
選択肢重視でありながらバランスの取れた問題
2022年度から問題の順番が変わり、形式と配点にマイナーチェンジがありました。また、2024年度より問5が流行りの複数テクスト問題へと変化しました。
漢字:読み選択問題(2021年度までは読みを書く形式)+適する漢字を選択する問題
短歌 or 俳句:(交互に来てます。2026年度は短歌の年)
小説文読解:人物の心情・情景描写の読み取り・文章全体の特徴
論説文読解:筆者の主張を追い、具体と抽象を言い換える力を問う(文法識別・国語知識問題含む)
古文:内容把握(文法問題・現代語訳問題はない)
複数テクスト問題:文章の構造理解と共通点の読み取り
難易度・バリエーションともに論理的思考と言語知識や読みの力をバランスよく問う問題が出来上がっています。ただ、文章の長さは特筆もので、大学入試に匹敵する全国No.1の文字数を誇ります。文章を読み慣れていること、素早く読むスピード感も求められているのが神奈川の国語です。
2026年 国語 分析と考察
所感は、「難化」です。昨年よりも平均点が下がります。
漢字読みは難易度同等。漢字選択はやや難化、小説文は解きやすいものの選択肢でパターンが変わり、説明的文章は文章の難易度が上がり、選択肢も難しくなりました。古文は2024年ほどではないものの決して簡単ではなく、昨年よりは難しかったです。問5は練習を積んでいれば大丈夫かな、と。
昨年の大幅な易化を受けて難化を想定して学習してきた受験生にとっても、今年は国語でも差がつく問題となったと思われます。
受験生の声をお伝えしておきます。原文ママです。言わせているわけではありません。
時間は足りた
説明文が頭に入ってこなかった。選択肢もややこしかった
小説文は特に感想なし。いつもより短い?
選択肢のパターンが違うものがあった。何度も読み返して時間がキツくなった
古文、読みやすかったけど、間違えちゃった
「創造←→模倣」は予想通りで神だった
短歌は授業でやったことがあるのが出てきた。神
複数テクストは簡単だった
大問分析
問1 漢字(読みと客観式選択)・短歌
漢字の読み→難易度変わらず
引き続き選択問題
「委嘱」がやや難しい
観測できる範囲では、全県模試での出題がなかった模様。
「草履」は、昨年度2024年度全県模試7月号で出題。惜しい。全県の過去問やっていた人、おめでとうございます。
漢字の選択→難化
a「巻末」は意味的に「朝刊」に引き寄せられそうだが、「圧巻」。圧巻という言葉を知らないとアウト。やや難。
b「起業」は分かっても、奮起が「奮気」だと思う人が多いかも。「机上の空論」という言葉を知らないが故にこれを選ぶ可能性も。
c「洗礼」も言葉がやや難しいから思いつかない。洗練はいけるけど。
d「配る」はいいけど「配合」も意外と迷うかも
例年よりも簡単に見せておいて、語彙力がいつもより求められる。
短歌
やはり順番通り短歌
下から見上げているということが分かれば解ける
滝だけど音は聞こえていない。視覚的な短歌であるということが分かれば大丈夫。
問2 小説文→難度変わらず
2026年度は永井紗耶子「秘仏の扉」より。舞台設定はやや古いものの写真で何を切り取るのか、という問いは論説文の「人間が持つ想いと身体性」というテーマに結びつくものであり、橋渡しはなかなか良かったですね。
全国の教育委員会には、出題候補作品リストが配られているため、他県でも出題の可能性あります。和歌山とか長崎とか岡山とか佐賀とか出るかもしれません。他県の中3の方も神奈川の問題を解いておくと良いのではないでしょうか。解きやすいので自信も付きます。
本文
全体で4000字弱。例年よりも短くなりました。それでも長いですが。
方言が多く、文体もやや古いため読みづらさはあったかもしれません
「こだわり」vs「新境地」のテーマは、いいですね
(オ)も(カ)も全体を読んで理解しなければいけないので、部分読み、傍線部付近読みだけで解く人は解きづらかったと思います
設問
視力検査からの脱却。文末決定が簡単にはいきません
(ア)は、「怪訝」の意味が取れずに苦しむ人がいるかも? 表情で表そうとしたことを正確に読む
(エ)の朗読問題は、今年はとても良いですね。一眞の「さあ、どうでしょうな」がちょっとカッコいい。
(オ)が新しいパターンでした。Before/Afterで対比しながら、その違いについて説明した正しいものを選ぶ問題。文章での題意を抽象化しなければいけないので、やや難しいですね。
(カ)の文章理解は細部をチェックしながら選ばなければいけなかったので、大まかにやっているとミスります
問3 論説文→難化
平易だった昨年と比べると、文章の抽象度も高く難度も上昇。また、選択肢も選びづらいものが増える。
機械は身体を持たないが、人工知能の中には人間の身体性が内包されている。人工知能と向き合う私たちは、機械と向き合うのではなく、私たち自身と向き合っているのだ。
……という話。
大人が読めば面白いが、中学生が入試の場で読むには、馴染みがなさすぎて頭に入ってこない文章でもあった。今年は論説文が厳しかったですね。
本文
冒頭部分。「なるべく抽象的な表現を避けて言おうとすると、ちょっと妙な言い方になるが、身体とは『どうしようもなくここにあるもの』、あるいは『どうしようもなく私がそこに埋め込まれているもの』とでも言うほかない。」を読んだ瞬間に、えっ、抽象的な表現が避けられていないと思うところからスタート。
抽象度が高いし、AIへの解像度が高くない中学生にとっては、苦しい文章でした
「ではなく」を連発しすぎて、話が見えなくなる
設問
文法は、頻出の「と」の識別です。
対義語「創造・模倣」は、知っていればもちろん取れるが、際どいところを突いてきましたね
(オ)は言い換えを丁寧にやらなければ選べないので、意外と難しかったかもしれません。
(ク)(ケ)は、文章全体を読んで解く問題。昨年から全体把握の問題が2題になっていたのですが、昨年は易しかったため、そんなに苦労しなかったはず。今年は、(ク)で結構苦戦したのではないでしょうか。
問4 古文→やや難化
難度としてはそこまで難しくはありませんが、いつも通り語注が少なく、古文単語の力がさりげなく響いてくる問題でした。
古文が4問構成になって以降、14年連続で(ア)から(エ)の選択肢が1〜4でバラバラになる記録を更新しています!
本文
童子は実在か、夢の中のみか
経を読んでいたことが何につながるかが読めたか
「かく参りたるをだによしなしと見ゐたる」が訳せたか
設問
(ア)は助詞を補って読めたか。あとは直前の「つゆ目も見かくる人もなきに」の意味が取れたか
(ウ)は易しかったと思いますが、(エ)も少し悩みますね
2024年よりは楽でしたが、去年よりは難しかったですね
問5 複数テクスト問題→難易度変わらず
(ア)の「Kさんのメモ」がずいぶん簡略化されちまったな…
(イ)の問題は指定語句である「枠」と「表面的」をそれぞれの文章で触れられている箇所を探せればまとめられました。
もうちょっと問題に工夫がほしいです
総評
2026年度国語入試問題の総評
問1→漢字選択がやや難しい
問2小説文→変わらず
問3論説文→難しい
問4古文→少し難しい
問5複数テクスト→変わらず
トータルすると難化です。
最上位校でも3~5点は平均点が下がりそうです。進学重点エントリー校では5~7点、全体としても10点弱下がると思われます。
さすがに昨年度の易しさは看過できず、難易度調整のしやすい漢字を難しくし、さらに論説文のテーマと選択肢の複雑化で難化へ導いた印象です。
さいごに
なんとか走り切って、ホッとしている人。
過去最高の点数が取れて、笑いが止まらない人。
本当に全力で頑張ってきたのに、うまくいかなかった人。
周りの「点数とれた」と言う声、「いつもより出来ました」と言う声が、出来ていない自分を責めているように聞こえる人。
もう一度時計の針を戻したいと思っている人。
受験は、色んな「今」を映し出してきます。
少し前まで「未来」だったことが、舞台に立った今日「今」になりました。そして、あっという間に「過去」になります。時間は止まりません。
でも、想いを留めることはできます。
今日、この日のために抱えてきた想い、それは決して流れることはありません。
なかなかうまくいかない苦しみ、
出来なかったことができるようになった喜び、
ずっと憧れてきた学校に近づいてきた希望、
自分の可能性を信じる自信。
一つひとつの想いが、2026年の高校入試に向けられました。
その想いは確かなもので、ずっとあなたの心に残ることです。
今回の受験に賭けた想いが、皆さんにとっての礎となり、次なる羽ばたきにつながるものであることを願ってやみません。
高校受験、お疲れ様でした。
(特色検査が終わったら)ゆっくり休んでください。
付録:各校の3年間の合格者平均点推移
過去3年間の各校の国語の合格者平均点推移です(神奈川全県模試 追跡調査より)。各受験校で何点取れば良さそうか、という参考にしてください。
《学力向上進学重点校》
横浜翠嵐・湘南・柏陽・厚木・横浜緑ケ丘・多摩・川和・小田原
《学力向上進学重点校エントリー校》
希望ケ丘・大和・横須賀・相模原・光陵・鎌倉・平塚江南・横浜平沼・横浜国際・茅ケ崎北陵
《横浜北部》
サイエンスフロンティア・神奈川総合(個性化)・神奈川総合(国際文化)・市ケ尾・市立東・港北・元石川・鶴見・岸根
《横浜中部》
市立桜丘・市立戸塚・松陽・横浜瀬谷・金井
《横浜南部》
市立金沢・横浜栄・市立みなと総合・横浜氷取沢・横浜立野
《川崎》
新城・生田・市立橘(普通)・住吉・高津・麻生・県立川崎
《横須賀三浦》
追浜・横須賀大津・横須賀総合・津久井浜・逗子葉山
《鎌倉藤沢茅ケ崎》
七里ガ浜・大船・藤沢西・湘南台・鶴嶺・茅ケ崎
《平塚秦野伊勢原》
秦野・西湘・大磯・伊志田・伊勢原・秦野曽屋・足柄
《県央県西》
海老名・座間・大和西・厚木王子・有馬・厚木西
《相模原》
相模原弥栄・麻溝台・上溝南・橋本・上溝
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