自民党が仕掛けた「ネット動画のブースト効果」

 では、一見無敵に見える高市首相の人気は永遠に続くものなのだろうか。これまでのところ、サナ活の中心的推進力は、これまで政治に興味を持っていなかった無党派層だという分析がなされている。

 この支持層が、日本初の女性首相が古臭いおじさん政治家や化石のような左翼連中と闘い、日本を強く豊かにするために思い切り改革を進めようと病を押して孤軍奮闘しているというナラティブを信じて、ひたすら首相を応援した。

 彼ら彼女らを、巨額資金注入によるネット動画のブースト効果で高市応援の世界に引き込み、あとはアルゴリズムによるフィルターバブルとエコーチェンバー効果で、その層を雪だるま式に増幅したとされる。SNSを使った壮大な詐欺商法のようなものだ。

 比例の得票率を見ると自民は36.7%に対し中道は18.2%で約2倍の開きだが、議席の数では自民316に対し中道49で6.4倍もの大きな開きとなっている。小選挙区で、有権者全体に対する絶対得票率で見ても自民は3割を下回っている。小選挙区制による効果はあるものの、この差をサナ活分だと考えると、逆に、推し活がしぼんでいけば、約2年半後の参議院選挙の時には、情勢が大きく変わる可能性があるとも言える。

 高市首相の暴走を止めるのは、逆説的だがサナ活の終焉だけなのかもしれない。一般にアイドルの推し活は、「総選挙(人気投票)」などの大きなイベントの時にピークを迎えると言われる。政治家高市の推し活では、まさに選挙の時がピークだ。衆議院選挙が終わり、次の大きな国政選挙は28年夏の参議院選挙までないが、27年秋の自民党総裁選挙は強力な対抗馬が出れば大きなイベントになる。

 逆にいうとそれまでは推し活は勢いを落とし、支持率が下がる可能性がある。国民生活を目に見える形で向上させられなかったり、外交面で中国との関係を正常化することに失敗してレアアースの輸出を止められたり、あるいは、多数誕生した高市チルドレンや裏金議員や旧統一教会疑惑議員などのスキャンダルが追及されれば、総裁選前までに徐々に支持率が下がることもあるだろう。

 そうした批判を封じ込めるには、もう一度推し活をピークに持って行きたいところだ。そのためにどうするか。それは、政策の結果を出すよりも、むしろ国会内での中道などとの対立を煽り、闘う高市を演出するほうが効果的だ。

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