娘は少年院を出たばかりの15歳に殺された 幼少期に虐待を受けた少年、その母親に責任「なし」 遺族が見た壮絶な現実
ミサトさんの母は憤る。「どんなにひどい虐待をして子どもの人格をゆがめても、育児放棄すれば母親の責任は免除される、ということなのでしょうか」
■人を殺すと「予見できず」
この判決をどう解釈すればいいのか。京都弁護士会の吉田誠司弁護士に聞いた。
民事裁判では、起きた犯罪の過失責任を問う場合、「予見可能性」と「回避可能性」があったかどうかを検討するといい、「一審の判決は、少年が施設や少年院に入っていた4年半、母親自身が指導や教育をしていなかったことを重く見て、犯行に直接影響を与えていないと結論付けた」とする。
また、「引き受け拒否をしたことに関しても、少年院を出られるような状態にまで少年の粗暴性が改善しているなどとして、犯行を『予見困難だった』と評価している」と指摘。
原判決では『予見可能性がない』と判断したため、回避可能性は検討していないとし、「母親が関与しなかった、施設での“4年半の空白”を重視する判決は、法律論からすれば、妥当と言えなくもない」。
全く反省なし「いっそこの手で...」
「悔しいね。本当に悔しいね…」。判決後、ミサトさんの母は遺影に話しかけることが増えた。幼い頃のアルバムや作文を見返し、「これだけが生きた証」と思うと、涙が止まらなくなる。
阿弥陀さまの加護がありますようにと、名前に「弥(み)」という漢字を授けたのに。
母の髪を結いたがるようになったのは、幼心に、母の右手にまひがあると気づいてくれたからだった。優しくて友人にも囲まれて、これからという時だったのにー。
今も毎晩、娘の最期がフラッシュバックし、薬が手放せない。歯を食いしばり続けたため、奥歯が欠けてしまった。結び手のいなくなった髪も、ばっさりと切った。
ミサトさんの母は2年前の夏、法務省の制度を利用して少年刑務所にいる加害少年に対し、反省しているか書面で問いかけた。 回答は、目をそむけたくなるものだった。
―娘を実際に刺した時に何を感じたか。 「人はあっけなく死ぬんですね」
―娘はどんな表情をしていて、どんな気持ちだったと思うか。 「猿の顔」「馬鹿ですね」