娘は少年院を出たばかりの15歳に殺された 幼少期に虐待を受けた少年、その母親に責任「なし」 遺族が見た壮絶な現実
義務教育年齢の15歳で、少年院から仮退院した2日後の犯行だった。福岡県内の更生保護施設を脱走し、商業施設で包丁を2本盗み、好みの女性を探した。ショッピングを楽しんでいたミサトさんが、友人とトイレに入るのを見て、少年は後を追ったという。
個室から出たミサトさんは包丁を突き付ける少年に気づき驚いた。とっさに、「警備員を呼んできて」と友人に叫んだ。さらに、向けられた包丁の刃の部分をつかんで、「自首しなよ」と諭したという。
その毅然とした姿に少年は逆上し、別の包丁でミサトさんの腰を刺した。「こんなことをしても何にもならないよ!」。そんな叫びを聞きながら、少年は、何度も刃物を振り下ろした。 血だらけでぐったりと壁にもたれこんだミサトさんに、とどめを刺すかのように首を切ったという。
「どんなに怖かっただろう」。ミサトさんの母は、娘の最期を知ってから、毎晩その姿がフラッシュバックし、眠れなくなった。 刑事裁判を通じて明らかになった加害少年の家庭環境は、想像をはるかに超えて劣悪だった。
「死ねばいい」幼少期に受けた虐待
少年は幼い頃から、母親や兄、離婚した父親から、暴力、暴言、ネグレクト、といった虐待を日常的に受けていた。
両親の性行為を見せられるなどの性的虐待や「お前なんかいらん」「死ねばいい」といった言葉も含まれていた。少年を鑑定した精神科医は「信じがたいような、極めて不適切な養育環境」と表現した。
少年は、保育所の時から暴力傾向がみられ、小学校に上がると別の児童の首を絞めたり、ガラスを割るなど激しくなった。性的関心を持つのも年齢不相応に早かったという。
5年生の時に、母親から施設に預けられた。粗暴な行為を繰り返したため施設を転々とし、3年半後の2019年6月に少年院に入れられた。その間、少年の母親は積極的に面会せず、さらに成人漫画を差し入れたこともあったという。
翌年の2020年春、少年院の仮退院が決まり、母親から身元引受を了承された。少年は「母の元に帰れる」と喜んだという。だが直後、経済的困難を理由に母親に拒否された。