娘は少年院を出たばかりの15歳に殺された 幼少期に虐待を受けた少年、その母親に責任「なし」 遺族が見た壮絶な現実
娘を15歳少年に殺害された母の慟哭
「お母さん、髪を結ってあげる」。娘は幼いころから母の髪を結ぶのを好んだ。母はその温かな手を思い出すたびに「あの子はもういない」と喪失感が増す。 【事件の経過】少年院を出て、わずか2日後に…
娘は、2020年8月、福岡市の大型商業施設の女子トイレ内で首などを刺されて殺害された。テレビの中だけと思っていた「少年による通り魔殺人事件」。被害者遺族に、突きつけられた現実は壮絶だった。 犯人は、少年院を出たばかりの15歳だった。その母親は、「お前なんかいらない」と、少年を幼少期から虐待し、小学校高学年で施設に預けた。さらに、少年院仮退院時の身元引受も拒んだ。
「子どもの監督義務を果たしていない」。遺族は少年の母親を訴えたが、一審で裁判所は母親の責任を認めなかった。「育児放棄すれば、逆に母親の責任は免除されるのか」。遺族の憤りと、控訴審判決の行方はー。
司法解剖を経て対面 娘のほお、冷たく
「中央署です。娘さんの命にかかわることです。署まで来ていただけますか」
2020年8月28日夜。福岡市内でパソコン教室の授業を受けて帰宅すると、母の携帯電話が鳴った。警察を名乗る声に最初、詐欺かいたずらだと思った。
「何のことですか?もう遅いので用があるなら家まで迎えに来て下さい」。するとほどなく、自宅前にパトカーが到着した。
「本当なの」。急に、母の体が大きく震え始めた。
事件が発生したのは、その日の午後7時半ごろ。福岡市の大型商業施設の女子トイレで、少年院を出たばかりの15歳少年が、見ず知らずの21歳女性に性的な興味を抱いて後をつけて入り込み、首などを刺し殺害した。
殺害された女性が、娘のミサトさんだった。
司法解剖を経て、母が娘と対面できたのは深夜。
「寝てるのかな」。そう錯覚してしまうほどきれいな顔だった。思わず娘のほおに、自分のほおをそっと、くっつけた。「そしたら、冷たーくなってて。ああ、本当なんだって思って…。首のあたりを見たら、こう、傷が縫われた痕があって。ああ、本当なんだと…」
後を追い、女子トイレへ
娘を殺めた加害少年について、警察から聞く話は耳を疑うばかりの内容だった。