転職50回…“境界知能”の苦悩「なんで覚えられないの?」社会適応のコツは?国内唯一の“専門塾”に聞くと
■「消しゴムの使い方」から始める支援の道
こうした支援の空白地帯に対し、静岡県浜松市で「境界知能専門の学習塾」を運営するのが、『学びのいろは』代表の寺岡勝治氏だ。元夜間高校の教師だった寺岡氏は、生徒たちの「立ち入り禁止の文字が読めない」「引き算ができずお釣りを間違える」といったトラブルに直面し、道徳教育ではなく学習スキルの向上が必要だと確信したという。 「基本的には学習面のサポート。認知的、能力的なものの弱さがあるので、勉強することで、雑多な情報を整理することができる。国語できちんと教えれば、整理できるようになってくるので、日常的な部分においてもかなり負荷が下がる」。 塾では、勉強の入り口をスムーズにするため「場所・人・時間」の役割を固定化する工夫や、消しゴムの使い方の指導まで行っている。 「消しゴムはすごく重視していて、きれいに消せるようになると、失敗を受け入れられるようになる。答案用紙が白紙のケースが多いが、それは自信があるものでないと書こうとしないから。例えば『あいうえお』と書けばいいだけなのに書かない。それは間違えると嫌だから。ただしきれいに消せるようになると、もういっぺん書いてみようと言えば、どんどん書けるようになる。それで自分で成長していく」。 寺岡氏は、適切なやり方があれば能力は伸びると強調する。実際に、IQ65だった生徒が英語の偏差値を65まで伸ばした事例もあり、学習を通じて自身の長所や短所に気づくことが、将来の就職や離職率の低下、人間関係の改善に繋がると語った。
■支援の「隙間」を埋めるために
議論を通じ、EXITのりんたろー。は、テクノロジーの発展が知的障害者向けには進む一方で、境界知能への対応が後回しにされている現状に触れ、「正しく寄り添えば救い上げられる気がしている。これは民間だが、こういうところに国の支援がもっと入ってほしい」と、公的なサポートの重要性を指摘した。 また古荘氏は社会の向き合い方について「支援の狭間だと皆さん共有していただくのと、それから当事者の方も、今までできるだけ被害を受けないように隠してきたが、オープンにした人を『よく言ってくれたね』と社会が認める、それがスタートになるのではないかと思う」と述べていた。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部