転職50回…“境界知能”の苦悩「なんで覚えられないの?」社会適応のコツは?国内唯一の“専門塾”に聞くと
人口の約14%、7人に1人が該当するといわれる「境界知能」。SNS上では、他者を攻撃する際のスラングとして悪用される実態もあり、当事者たちの深刻な苦悩を招いている。「ABEMA Prime」では、境界知能の当事者や専門家を交え、知能指数(IQ)という数値に翻弄される人々の実態と、社会に求められる支援のあり方について深掘りした。 【映像】境界知能の認定法
■「診断名ではない」ために見過ごされる実態
境界知能とは、IQが70から84の範囲にあり、知的障害ではないものの平均より低い状態を指す専門用語である。青山学院大学教授で小児精神科医の古荘純一氏は、この特性について次のように解説する。 「単にIQが70から84の人を指す言葉であって、そこにはいろいろ属性が含まれている。診断名でもないので支援にもつながらない。一方で、数字で70から84と(中間値の)100より低いことで、いろいろなことにくくられて見下されやすい問題もある」。 境界知能の中身は多様であり、言語理解が苦手な者、処理速度が遅い者など、個人によって課題は異なる。しかし、それらが一括りにされ、教育や福祉の現場では「平均的ではない」とされながらも、明確な診断がつかないため公的なサポートから漏れてしまう現状がある。
■50回の転職、浴びせられた「クズ」という言葉
番組には、境界知能の当事者であるのぞみさんが出演し、これまで歩んできた過酷な経験を語った。のぞみさんは仕事上の失敗が続き、50回ほどの転職を繰り返してきたという。 「(大変なことは)人と話すのが苦手だったり、集中できなかったりすること。長い話や、同時に複数、指示されると混乱して失敗し、怖くなって仕事を辞めてしまう。(飲食店で)料理を運んでいる時に話しかけられても我慢したり、質問に対してよくわからない答え方をしてしまって『頭、おかしい』と言われたこともあった」。 職場では「クズ」「なんで一回で覚えられないの?」といった心無い言葉を浴びせられることもあったという。のぞみさんは、SNSでこの言葉が差別的に使われていることに対し、「(批判は)なくなってほしい。境界知能だから自分はできないとか、そういう思い込みで当事者がどんどん苦しくなっていく」と不安を口にした。 古荘氏は、こうした失敗体験の積み重ねが「二次的な合併症」を引き起こすと指摘する。周囲の理解が足りないことで本人が達成感を得られず、自信を喪失し、自らを責めてしまう悪循環に陥るのだという。