県立芸術大学の元学生が琉球芸能専攻の男性教授からのセクシュアルハラスメント被害を訴え、大学の調査が始まって7カ月が過ぎた。学外識者によるハラスメント防止対策委員会が調査に当たっているというが、情報が示されず進展が見えない。学生や県民の信頼回復のために透明性の確保を求めたい。
卒業生有志が呼びかけたネットアンケートで、セクハラを含めパワーハラスメント、アカデミックハラスメントを体験したり見聞きしたりした事例が43件寄せられた。事例は過去30年近くにわたっており、同大に構造的問題があることが改めて示された。
大学は、2001年、学生のセクハラ被害の訴えを受けて在籍者全員へのアンケート調査を実施、相談員を配置した。05年、08年にも同様のアンケートを実施した。09年には匿名学生からの嘆願書を受けて外部識者による調査委員会を設置した。ハラスメント撲滅を掲げた学内シンポジウムも開催した。
それでも不祥事は続いた。15年には教授が学生や教員に対するセクハラで初めて懲戒免職となり、学長も戒告となった。19年6月にはアカハラ、パワハラ、セクハラで教授が減給3カ月、同年9月にもアカハラで教授が減給1カ月になった。24年には複数の学生の体を触ったとして非常勤講師が懲戒解雇された。
今回の事案は、22~23年に継続して被害を受けたとされる。23年12月に生活相談とハラスメントの相談窓口に訴えたが、被害者に寄り添う対応ではなかった。翌24年度から、相談しやすいよう担当を外部に委託したという。
当該の教授が現在も授業を続けているのは妥当だろうか。大学は昨年10月の後期授業開始前に学生にアンケートを実施し、指導を望まない学生には別の教員が対応している。「学生に意思表示を求めるのは酷だ」と識者は指摘している。
調査に時間がかかりすぎていることも疑問だ。訴えた元学生は心療内科に通い、仕事に行けなくなるなど生活に支障が出ている。事実関係の調査は厳正に行うべきだが、被害者のケアはきちんと行われているのだろうか。
この問題を巡って、卒業生有志らが県議会に陳情書を提出しており、県議会でも議論されることになろう。芸術系大学は少人数教育で教員と学生の距離が近く、師弟関係も強い。音楽系では個室での個人指導もある。ハラスメントが起きやすい構造がある。芸大には、より高い教員のモラルが求められ、何重もの防止対策が必要なはずだ。
24年に県内の文化・芸術活動に携わる人材(アートワーカー)が不安定な収入や雇用、ハラスメントに苦しんでいる実態が明らかになり、議論を呼んだ。アートワーカーを育てている県立芸大が、この問題にどう関わるのかも問われている。