「璃来が龍一くんのために滑るね」北京とは逆だった、フリー前の言葉
ミラノ・コルティナ冬季オリンピック(五輪)は16日、フィギュアスケートのペアフリーがあり、ショートプログラム(SP)でミスが出て5位と出遅れた三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)が、逆転で金メダルに輝いた。フリーは、歴代世界最高となる158.13点をマーク。この種目で日本が表彰台に上がるのは初めて。
取材エリアに現れた木原は、泣きすぎて目がはれていた。コーラで乾杯する場面もあった。
報道陣との主なやり取りは以下の通り。
木原 「本当に感謝の言葉しかないです。昨日(15日)『逆転可能な範囲だと思いますけど』という言葉(質問)をいただけたので、少し気持ちを前向きにすることもできました。本当に皆さんに感謝しています」
――ブルーノコーチが「龍一は昼寝から帰ってきたら、戦う感じだった」と言っていました。
木原 「やっぱり今日、涙が止まらなくて。昨日の夜も悔しくて眠れなくて、全然睡眠の質が良くない状態で。夕方の練習も、リンクに来てウォームアップから、なぜか涙が止まらない。よく分からない気持ち。経験したことのない感じでした」
「やはり(SPが)終わった後、璃来ちゃんも僕の気持ちを立て直してくれました。色々な方からのメッセージや、ブルーノコーチもそうなんですけど、そこでもう一回奮い立たせた」
「その後、しっかり寝たので気持ちも切り替わった。『もう一回戦うんだ』『ここでオリンピックを諦めていいわけがない。絶対自分たちで攻め切るんだ』という思いをもう一回持って」
「なんだろう。もう朝からずっと泣いていたので。璃来ちゃんが、今日は本当にしっかりしてくれていました(三浦が隣でガッツポーズ)。試合前に、しっかりメンタルを立て直したので、璃来ちゃんに『大丈夫』って伝えました」
――三浦選手からはどんな言葉があったんですか?
木原 「『まだ終わっていない。積み重ねてきたことがあるから、絶対できる』ということを言われました」
――三浦選手はどんな気持ちだったんでしょうか。
三浦 「以前の私だと、ここまで強くなれなかった。本当に積み重ね。毎試合(木原選手が)ずっとサポートしてきてくれたからこそ、今大会は私が強くなれたのかなと思っています」
――4年前の北京五輪のフリー前は、木原選手が三浦選手に「フリーを滑らせてくれてありがとう」と言っていました。今回はどういう言葉をかけたんですか?
木原 「逆に『璃来が龍一くんのために滑るね』っていうことを言ってくれました。僕も『璃来のために、お互いがお互いのために滑ろう。自分たちなら絶対できる』という話をしていました」
――演技後、リンクで抱き合っている時はどんな話を?
三浦 「とりあえず、ずっと龍一くんが泣いていたので」
木原 「もう泣いていた。ずっと泣いていたんですよ」
三浦 「そう、本当に。もうウォーミングアップ中も泣いていて。結構ずっと泣いていて。フリープログラムのウォーミングアップ中も泣いていて」
木原 「いや? ウォーミングアップで?」
三浦 「今回は泣いていた、泣いていた。今はどんな気持ちで泣いているの?って聞いたら……」
木原 「朝でしょ。練習前」
三浦 「違う違う。あなたはもう『今、なんで泣いているのか分からない』って言うから。いや、赤ちゃんだねって言ってね」
木原 「みなさん、心配してくださって」
――昼寝後に切り替えられた理由は?
木原 「眠かったんですかね」
三浦 「赤ちゃんやん」
木原 「睡眠って大事ですよね。昨日は睡眠の質が非常に良くなかった。8時間は確保したんですけど、寝ているけど寝ていない状態で8時間。でも、明らかにリンクに入っても体が動いていない、頭が覚めていない。寝ていないと気持ちの余裕もなくなってきますし。普段、あまり試合の前は寝ないんですけど、今日は眠すぎたので、30分だけ寝るから起こしてって。宿舎に戻れなかったので」
三浦 「1時間弱寝ていた」
木原 「1時間弱寝ていたので。しっかり。それが逆に良かったかな」
(スタッフから水分補給でコーラが支給される)
木原 「ちょっと飲んでいいですか?」
三浦 「コーラ!」
木原 「低糖気味で」
三浦 「フラフラしちゃって」
2人 「乾杯!」
木原 「ずっとジュースを飲んでいなかったので」
――金メダルのコーラの味はどうですか?
三浦 「おいしい。コーラとかいつぶり?」
木原 「おなかが減ってしまって。空っぽで今、体力が。ちょっとフラフラしてきたんですよ」
――昨日とは種類が違いますけど、演技でのリフトへの怖さはありましたか?
木原 「怖さしかなかったですよね。ラストの時、明らかに力が入っていた。昨日はちょっとテクニックより、ホールドしているポイントがスカートとパンツ……、決して衣装が悪いとかじゃないんですけど、土台から滑り落ちたので」
三浦 「ちょっと運が悪かったね」
木原 「だから、支えているポイントがずれちゃった。それで落ちてしまったんですよね。テクニックの問題じゃなかったので、切り替えが非常に難しかった。怖さしかなかったです。とにかく力が入っていた。普段は演技中、あまり(三浦選手に)声をかけないんですけど、スローの前だったね。『リラックス』って言葉をかけました」
三浦 「だから言っていたの? 璃来は滑り落ちたくないから、ずっとギューって握っていたの」
木原 「もう明らかに力……」
三浦 「あれはわざと。違う違う。もう絶対落ちないと思って」
木原 「軸が外れるからやばいと思って、逆に」
三浦 「あっ、ごめんなさい」
――プログラムは全体的に慎重にしたんですか?
木原 「ちょっと今日は、プログラムは全体的に後半までは慎重に入ってしまいました」
――三浦選手は昨夜から今日の演技にかけて心の揺れ動きは?
三浦 「本当に龍一くんの落ち込みようがすごかった。逆にサポートする側に回って、そこまで自分は落ち込んでいなくて。まだフリープログラムがある。団体戦で150(点台)を出させていただいた。本当にノーミスすれば、(金メダルの)可能性はあるってずっと思っていました。私は折れることはなかったかな」
――団体から大きく点数を上積みしました。点数への受け止めは?
三浦 「団体もすごく良い滑りをさせていただいたんですけど。それを3点も上回るパフォーマンスをすることができた。本当に可能性って無限大だなって」
木原 「団体の時に(3連続ジャンプの)スリーコンボに(軽微な回転不足を示す)『q』がついていた。まだ、そこは伸ばせるって自信はあった。そこを決め切ると2人とも思っていた。今日はそこで点数を稼ぐことができて良かったと思います」
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