勝ちがあって、負けがある。その差は思いのほかに大きく、かつ小さく、それでいて重い。情勢調査から、ある程度の予想はしていたが、これほどの圧勝とは驚きである。自民党が衆院選で、結党以来の歴史的な勝利を収めた▼定数の3分の2を超える316議席を得て、憲法改正の発議に必要な数を衆院で確保した形だ。比例当選の数に候補者が足りなかったというから、とうの自民も予期せぬ大勝ちだったか。でも何だろう。このふわっとした感じは?▼忘れたくないのは3分の2の有権者が自民に投票したわけではないこと。自民の比例の得票率は36%で、2100万票。裏返せば6割以上が別の党を選んだ。有権者全体では、投票用紙に自民と書いたのは5人に1人にすぎない▼それでも3分の2の大勝利を生むのが、いまの選挙制度である。小選挙区は二大政党制を想定し、勝者が総取りする設計で、死票が多い。5万票の当選があれば、10万票を得た落選者もいる。そうした票を投じた人の思いを想像するのも、当選者の役目である▼そもそも民主制は、みんなで決める、という仕組みである。1億人が一堂に集まるのは不可能だから代表を選ぶが、それは単純な多数決ではない。異論に向き合わず、数の力に頼る政治ほど危ういものはない▼1986年の衆院選で304議席の圧勝をしたときの首相、中曽根康弘は言っていた。政治家とは「歴史法廷の被告」である。過去に、未来に、重い責任を背負う政治に期待したい。
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